男にその声が聞こえたかは分からないが、すぐに背を向けその場から消えた
岩泉
あなた
及川
あなた
岩泉
及川
苦笑いで謝る□□を見て、俺も及川も何て声をかけていいのか分からなかった
あなた
及川
あなた
及川
岩泉
及川
あなた
岩泉
及川にそう言って、□□の腕を掴んだ
あなた
腕を掴んだまま歩いていたら、後ろから鼻をすする音がした
岩泉
自分のペースで歩いてしまったのと、少し強く掴んでしまった自覚はあった 掴んでいた腕を離し□□の顔を覗き込む
あなた
首を横に振るも、そこから動こうとしない 髪の毛で顔が隠れていてどんな表情(かお)なのかも分からない
どうしたものかと、周りも見渡すと自販機とその先に公園が見えた
ずっと前にあの公園の近くに住んでいるという会話を思い出した 部活のロードワークで通る公園 その話を聞いてから土日の部活で通るたび少しソワソワしていた
岩泉
また□□の腕を掴み、引っ張りながら自販機で買ったココアを持たせ公園のベンチに座らせる
あなた
岩泉
あなた
岩泉
あなた
岩泉
そう言いドカッと隣に座った
あなた
少し笑いながら突っ込む そして、ポツリ、ポツリと話し始めた
少し前から連絡や会う頻度が減ってきたこと
会うにも向こうの都合次第 ドタキャンはもちろん 会えないと言われたのに急に会おうと言われたり
今日は待ち合わせの時間になっても来なくて、連絡がついたと思ったらやっぱり無理と言われたと
あなた
ドタキャンの連絡を受けてからどうしたものかとブラブラしていたら、知らない女の子と歩いている彼氏を見つけた、と
あなた
あなた
あなた
あなた
あなた
あなた
本当に糞野郎だな と、改めて思った
あなた
岩泉
あなた
あなた
そう言いながら泣き始めた
なんて声をかけていいか分からなかった
ただ、タオルを渡すことしか出来なかった
あなた
□□が落ち着くまでただただ空を見ていた
岩泉
あなた
あなた
岩泉
□□を家の近くまで送ると優しいねと言われた
それはお前の事が好きだからだ
岩泉
とは言えなかった
あなた
つづく 2022/11/21