潔
……
潔
誰?
凛
…何してんだお前
潔
凛……!?
潔
なんで、どうして……!
凛
お前がまだ帰ってねぇって聞いて
凛
何してるか見に来てやったんだよ
凛
そしたらこれか
潔
り、凛…
バッ
凛
こんなん捨てろ
潔
や、やめてっ……!!
潔
それがないと俺は…!!
凛
こんな事しねぇと生きていけねぇってか?
凛
ふざけんな
凛
理由を話せ
潔
……
潔
うるさいっ……
凛
……あ?
潔
凛には分からねぇだろうな!
潔
こうやってでしか自分の気持ちを抑えられないやつの
潔
苦しんでる辛さなんて!
潔
考えたこともないだろ!!
潔
だから俺のことはほっとけ……
凛
……
凛
俺はお前が苦しむ姿を見たくない
凛
だから訳を聞いてるんだ
凛
この気持ちはお前にとって間違ってるか?
潔
っ……
潔
その気持ちはうれしいよ
潔
でもな凛……
潔
それは“余計”なんだよ
潔
失せてくれ
凛
……嫌だ
潔
ッ……!!
バッ
凛
あ、おい!!
潔
はぁ……はぁ……
潔
くそっ……
潔
俺のバカ……
潔
凛がせっかく優しくしてくれたのに……
潔
俺はそれを無下に……
潔
いっ…!!
ポタポタ
潔
あっ
潔
血が……
潔
勢いで飛び出してきたから
潔
包帯も何もかも教室に置いてきちまった…
潔
凛がいない隙に取りに行かねぇと……
冴
……ん、
冴
お前……
潔
!
潔
え、冴……!?
冴
こんなとこでなにして…
冴
……
冴
そういうことか
潔
いや、あの、
潔
(やばいどうしよう…気づかれた)
潔
あの、このことは!
冴
黙っておけ、か?
潔
は、はい…
潔
絶対に知られたくないんです
冴
へぇ……
冴
だとよ、凛
潔
え?
凛
……はぁ…
潔
お前、いつから
凛
途中からだ
冴
今お前のその傷は俺らだけが知ってる
冴
なら、お前が事情を話せるのも俺らしかいないよな
潔
……
冴
もちろん無理にとは言わない
冴
でも、好きなお前には苦しんで欲しくない
潔
はい……え?
潔
す、すき?
凛
おい兄貴!
冴
うるせぇ本当を言ったまでだ
冴
それはさておき
冴
今日、家に泊まらねぇか?
潔
えっ……?
冴
お前の学校関係を見てる限り
冴
いじめとかではなさそうだし
冴
おそらく家庭環境が原因だろ
冴
まぁ違ったとしても……
冴
こんな公共の場じゃ誰かに聞かれるってこともあんだろうし
冴
ゆっくりはできねぇだろ
冴
まぁ気晴らし程度にでも、
冴
どうだ?
潔
えっと……
潔
凛は…いいの?
凛
…好きにしろよ
潔
じゃあ…
潔
泊まらせてもらいます……
冴
決まりだな
冴
俺は部活が終わるまで帰れねぇし
冴
凛、こいつ連れて帰れ
凛
言われなくても分かってるよ
凛
行くぞ
潔
お、おう
潔
おじゃましまーす……
潔
あれ、親は?
凛
海外出張中だ
凛
今は兄貴とふたりで暮らしてる
潔
そうだったのか…
凛
それより
凛
お前それ、いいのか
潔
あ、
(凛が指さしたのは帰り道、 隠したままずっと放置していた傷の跡)
潔
あんま痛くないから気づかなかった……
凛
…それが痛くねぇとか重症だな
潔
はは…
潔
最初は怖かったよ
潔
でもやるうちに段々癖になってくんだよ
潔
だからいつしかこうしないと耐えられないようになっちまった
潔
笑えるよな
潔
みんなが好きな俺は
潔
至って普通だけど
潔
いつもにこにこ笑ってるやつなのに
潔
いざ中身を見て見たら
潔
こんな心が弱いやつで
潔
毎日思うよ
潔
なんでこんなんなんだろうって
潔
すごくっ……
潔
惨めになるんだっ…!!
床に涙が零れ落ちる
すかさず手で押さえ込んでも
次は手首から溢れる血が床に落ちる
潔
っ…!!
潔
ごめんなっ…俺がこんなので……
凛
……
凛
チュッ
潔
え、?
潔
な、なんで?
潔
いきなりなんだよ
凛
……ばか
凛
失望も何もするわけねぇだろ
凛
逆に泣いてくれて感謝してる
凛
こうやって気持ちを少しでも吐いてくれて
凛
今まで知らなかったお前の本性が
凛
少しでも知れて
凛
よかったと思ってる
潔
……!
潔
蔑まないのか…?
潔
俺を見て…
凛
する訳ねぇつったろ
凛
……
凛
勝手に塞ぎ込むんじゃねぇよ
凛
こっちはお前のこと
凛
どれだけ好きでいると思ってんだ……
潔
凛……
潔
グスッ……ケホッケホッ……
潔
ごめんな、
潔
ありがとう
少し、心が軽くなった気がしたよ