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解放された教室の窓から入り込む風は爽やかであるのに冷たく、 晴れ渡る空には白いヴェールに包まれて朧げな太陽がまだ低い位置から光を当てている。
昨日は結局帰る方面が同じだった黒木くんと一緒の電車に乗って 私が先に降り、別れた。
家に到着してから私はメモを取り出して佐藤くんへの返事を書いた。
「俺は、橙さんとの手紙のやりとりが一番楽しい。生きてきた中で一番。」
という言葉に対して、どのくらいの温度で返答するのが正しいのかわからず、 散々迷った挙句、何回も書き直して出来上がったのがこれである。
______________________________ 実は私、好きな人がいたんだけど、彼は私の親友と 付き合っているんだよね。 学校が好きじゃない理由は、それが大きいかもしれない。 だけど、佐藤くんとの文通が、今は学校に行く楽しみになっているんだ。 ______________________________
私はその文を周囲に見られないように2度、3度確認する。
そして私は1時間目と2時間目の間の休み時間の今、 図書室に行こうと決心した。
佐藤くんがこれを見るのがいつなのかは不明だが、 どうしても早く届けたかった。
というより、自分の手元に置きたくなかったのだ。 内容が内容だから、そわそわしたまま放課後を過ごしてしまう。
告白した経験はないが告白の返事を保留されている期間のようだった。 そもそもこれはラブレターなんかでは無いが、気分はさほど変わらない。
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rnについて来られたら困る。
少し強引にrnの手を振り切り、私は走る。
黒木くんは昨日言っていた。 「そいつはきっと、お前に好意があるってこと」と。
私はそれを信じている。
だからこそ、好きな人がいたことと、 叶わない片思いだったことを書いたのだ。
もし佐藤くんが私を人として気になっているだけなら、 その情報にはさほど興味はないだろうが、最後の一文を導くための前提とするなら 不自然には思われない。
手紙に描いた内容は 嘘偽りのない私の本心だった。
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______カサッ
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あるページで、私の手は止まった。
徐々に本を持っ両手が震えだし、頭が真っ白になる。
そこには、1枚の便箋が挟まっていた。
______________________________ もう、橙さんとは文通できない。 ______________________________
ごめんなさい。変に分けちゃいました笑
これで今年の「明日をくれた君に光のラブレターを。」 の投稿は最後になります。
では、本当に本当に良いお年を!笑
コメント
7件
えっ、佐藤くん?読んだ瞬間泣きそうになっちゃいました😭1日に2本もありがとうございます!来年も楽しみにしてます!良いお年を〜
1コメだっ!良いお年を!!