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○○
○○
深夜25時。
静かで真っ暗な部屋に、液晶の光が目立つ。
うとうとしながらインスタを眺める。
「カップルのすれ違い」
そんな投稿が目に止まってしまって、好きな人の顔を思い浮かべてしまった。
○○
あ〜…明日朝早いな、もう寝なきゃ…
ピンポーン
○○
誰だろう、なんて思いながらも大体思い浮かぶ顔はさっきと同じ
こんな時間にインターホンを押してくる人なんて、あの人しかいない。
○○
なんて、嬉しい気持ちを抑えるために嘘を取り繕って、急ぎ足で玄関に向かう。
ピンポン、ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーン
○○
急いでドアを開けると、そこには大柄の男性が立っていた。
…全身血塗れの、先程まで浮かべていた顔の男だ。
○○
彼は私を無視して家の中へ入っていく。
楽
そうやって彼は靴を雑に脱ぎ散らかし、 ズケズケとリビングに入って電気をつけた。
扉を閉めて、彼の背中を急いで追いかける。
彼は何食わぬ顔をしてソファーに歩を進める。
○○
ピク、と楽が歩を止めて私の方を向く
楽
○○
…と、彼の腕を引っ張り風呂場まで連れていこうと するが鍛え上げられた彼の体はピクリともしない。
楽
めんどうそうにため息を吐いて、頭をポリポリとかきながら彼なりに譲歩したのであろうことを言う。
○○
○○
断ったらいじけて言う事聞かなくなるのは 分かりきっているので、こちらが譲るしかない。
…が、わがままさえも可愛く見えるのは 私が毒されている証拠だろうか。
服を脱ぎ散らかして、シャワーを適当に 浴びた楽が湯船に飛び込む。
○○
楽
彼は私の小言を無視し、なにかに気づいたのかくんくんと匂いを嗅ぐ。
楽
○○
お湯流さなくてよかった〜、なんて考えながら 私も同じように湯船に入る。
楽
そういえば、彼は殺し屋をやっているらしい。
正直彼の働いている所、ましてや人殺しをしている所なんて想像もつかないが、
この大量に腕に巻かれているテーピングが、なんとなくその説得力を持っている気がする。
楽
うとうと、と彼の瞼が上下する。
私はこの前楽が寝落ちしてしまい、湯船から出すことに相当苦労したことを思い出した。
○○
楽
私の言葉になんて耳も貸さず再び瞳を閉じようとする彼に、またわたしは注意をする。
○○
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…なんとかお風呂から彼を連れ出した。
○○
彼は、私の家に置いてあるTシャツとスウェットズボンに着替えてリビングに向かった。
楽
○○
呆れ気味に笑えば、キッチンに向かう。
正直ご飯を作るのはめんどくさいが、それよりも好きな人にご飯を食べてもらえる方が嬉しい。
彼はキッチンに向かう私を見ると、少し上機嫌そうにしてダイニングテーブルに2対2で置いてあるチェアのひとつに腰掛ける
嬉しいとはいいつつ作り置きしている訳でもないので、何かあるかなと冷蔵庫を探る。
○○
昨日買った牛肉と、タッパーに入った、今日炊いたご飯をふたつ取り出す。
ご飯はレンジであたためて、お肉は適当にバターで焼いて、塩コショウで味付けをする。
ぐぅ〜…と、リビングの方からお腹の音がした。
○○
思わず吹き出しては、ゲーム機に目を向けている彼に聞く。
楽
彼はゲーム機から目を離さずにそう答えた。
○○
なんて言いながら、焼き終わったお肉をお皿にあげて
温めたタッパー2つ分のご飯を彼用の大きいお茶碗に入れる。
○○
2つの皿をテーブルにコト、と置く
楽
ゲーム機の電源を切って、料理に手をつけようとする楽の手を止める。
○○
楽は明らかにめんどくさそうな顔をするが、日々口うるさく言っているためか手を合わせる。
楽
渋々そう言う楽を見ては、私は楽の隣のチェアに座り、無心で山盛りのご飯とお肉を食べる楽を見守る。
…ふと、さっきみたインスタの投稿を思い出した。
別に、楽にそういうのを期待してるわけじゃ ないし
わかってる、つもりだし。
でも、
楽は、私のことをどう見てるのかな
お世話係?それとも都合のいい女?
彼女だとは思ってくれてないんだろうなぁ
こんな小言ばっかりの女、 好きにならないだろうしね
それこそ、楽だってもっと
楽
ぐちゃぐちゃ考えてたことが、楽の一言で止められる。
楽は椅子から立ち上がってはお皿を重ね、シンクまで持っていく。
○○
楽
楽は戻ってくれば、ゲーム機をまた持ち直す。
楽
なんとなく、空白が気まづくて
先程考えていたことが脳を支配してしまって
不安で仕方がなくて
聞いても、 期待してる答えなんか帰ってこないってわかってるのに
○○
とまれ
○○
止まれ
○○
止まってよ
楽