テラーノベル
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無名くん
無名くん
無名くん
昼過ぎから何度も掃除した床に、埃ひとつ落ちていない。
ソファは斜めに傾いていたのを直し、クッションは爆豪の好きな固めのやつに変えた。
テーブルの上には爆豪の好きな辛い食べ物が沢山と爆豪が好きなお酒。
…完璧だ。
轟 焦凍
冷蔵庫の中も、もう一度確認する。
昨日、爆豪が緑谷と話してる時に聞いた…
緑谷出久
爆豪勝己
緑谷出久
爆豪勝己
爆豪はその時チョコケーキを少し口端に付けながら食べていた。
爆豪勝己
その一言だけで買ったチョコケーキ。
轟 焦凍
あの時の笑い声も、声の高さも、再生できる。
爆豪の声も、足音も、笑い方も、怒鳴り声も全部覚えてる。
朝のルート、昼休憩の場所、好きなコーヒー、見ないふりしてたけど、目が合ったことだって何度もある気がする。
きっと、爆豪も俺のことを気にかけてるはず…
轟 焦凍
時計を見る。11時まであと一時間。とても長い…
轟 焦凍
少し優しく微笑む。
轟 焦凍
1時間後。時計の針が、ゆっくりと“23:00”を指す。
その瞬間、インターホンが鳴った。
轟 焦凍
胸の奥が、どくんと跳ねた。
何度もシュミレーションをした。今夜は、爆豪とふたりきりで、飲んで、話して…そうして自然に距離が縮まる夜。
浮かぶ笑みを整えて、ドアを開ける。
爆豪勝己
緑谷出久
轟 焦凍
思考が一瞬真っ白になる。
轟 焦凍
轟 焦凍
直ぐにポーカーフェイスをする。
轟 焦凍
轟 焦凍
緑谷出久
2人が先にリビングへと向かう。
…まじか…これは予想してなかった…
轟 焦凍
轟 焦凍
びっくりしている轟の顔を見て内心優越感に浸る。
爆豪勝己
こいつがヤリモクか何だかは知らねぇ…
でも絶対俺のプライドやらを折ってくる…
だから俺は…!
爆豪勝己
まぁいい…勝己がこの家に来た時点でもう俺の勝ちだ…
轟 焦凍
爆豪勝己
轟 焦凍
轟 焦凍
爆豪勝己
轟 焦凍
流石爆豪だ…完全に読まれてる。
なら——まずは緑谷を酔わせて……
緑谷出久
爆豪勝己
爆豪勝己
緑谷出久
爆豪勝己
爆豪勝己
緑谷出久
緑谷出久
轟 焦凍
次々に壊されていく計画。
用意した高級ウイスキーにも触れず、爆豪は手慣れた手つきで自分の酒を注ぎ、氷まで持参してきたタンブラーに入れている。
…運に…任せるか。
数分後
…これは…流石に予想外だった。
緑谷出久
緑谷出久
ソファに座ったデクが、とうとう泣き出した。
顔は赤く、涙がぽろぽろとこぼれている。
爆豪勝己
デクに視線を向けるとほろ酔いの缶を、ほんの半分しか飲んでいなかった。
爆豪勝己
すると、隣に座っていた轟がゆっくりと立ち上がる。
轟 焦凍
穏やかな声。だがその横顔に、妙な満足げな笑みが浮かんでいたのを、俺は見逃さなかった。
轟 焦凍
轟 焦凍
轟は緑谷の背中に手を添えながら、爆豪へと視線を向ける。
その目が、じわりと熱を帯びていた。
爆豪勝己
爆豪が立ち上がろうとすると、轟は爆豪の頭をガシッと掴んでソファーに戻す。
轟 焦凍
轟は一拍置いて、ふっと口角を上げる。
轟 焦凍
爆豪勝己
轟 焦凍
轟の手は爆豪の頭を撫でる。
轟 焦凍
爆豪が返事をする間も与えず、轟が出ていきドアが閉まる。
爆豪はソファに深く腰を下ろし、額に手をあてた。
爆豪勝己
いや、無理だ…無駄に半分野郎とデクの家は近ぇ…すぐ見つかる…
そのとき、冷蔵庫の上に置かれた黒い小箱に目が止まった。
あいつの家に似合わない、安物のプラスチック製。
爆豪勝己
中を開けると、ポラロイド写真。写真の束。何枚もある。
爆豪勝己
背筋が凍る。
全部俺じゃねぇか…!!
歩いている時、荷物を持っている時、誰かに話しかけられた瞬間。
それだけじゃねぇ。寝ているところ、シャワーの蒸気が映る窓越し、鍵を回す背中。
爆豪勝己
その時、影が背後に落ちる。
轟 焦凍
真後ろから囁くような声。
次の瞬間、両腕がスッと背中に回り、静かに抱きしめられる。
爆豪勝己
轟 焦凍
ポラロイドの束に視線を落とす轟。爆豪の手から、そっとそれを抜き取る。
爆豪勝己
轟 焦凍
轟は爆豪をもっと強く抱き締めて耳元で囁く。
轟 焦凍
爆豪勝己
爆豪勝己
轟はその沈黙さえも優しく許すように微笑んだ。
轟 焦凍
轟 焦凍
コメント
7件
最高です🪦
初コメ失礼しまァァァす!! はいっ!最高です! ストーカーパロとか最高すぎんだろうが… 次回も楽しみにしてます!
わぁー!!やっばいすねぇ 次回も楽しみです!!!