TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

無名くん

今回長いです!!

無名くん

ちょっとH系にしようと思ったけど次にします!!ごめんなさい!!

無名くん

続きどーぞ

昼過ぎから何度も掃除した床に、埃ひとつ落ちていない。

ソファは斜めに傾いていたのを直し、クッションは爆豪の好きな固めのやつに変えた。

テーブルの上には爆豪の好きな辛い食べ物が沢山と爆豪が好きなお酒。

…完璧だ。

轟 焦凍

…服は緩い感じでいいよな…

冷蔵庫の中も、もう一度確認する。

昨日、爆豪が緑谷と話してる時に聞いた…

緑谷出久

そういえば、かっちゃんって辛い食べ物が好きだよね?

爆豪勝己

…ンだよ。

緑谷出久

なのになんで今ケーキを頼んでるの?

爆豪勝己

あー、カフェに辛い物ねぇし…

爆豪はその時チョコケーキを少し口端に付けながら食べていた。

爆豪勝己

まぁ、甘い物も嫌いって訳じゃねぇしな。

その一言だけで買ったチョコケーキ。

轟 焦凍

…可愛かったな…

あの時の笑い声も、声の高さも、再生できる。

爆豪の声も、足音も、笑い方も、怒鳴り声も全部覚えてる。

朝のルート、昼休憩の場所、好きなコーヒー、見ないふりしてたけど、目が合ったことだって何度もある気がする。

きっと、爆豪も俺のことを気にかけてるはず…

轟 焦凍

(…そう、思いたい。)

時計を見る。11時まであと一時間。とても長い…

轟 焦凍

…今夜…必ず俺のものにする。

少し優しく微笑む。

轟 焦凍

…ずっと前から俺のものだけどな。

1時間後。時計の針が、ゆっくりと“23:00”を指す。

その瞬間、インターホンが鳴った。

轟 焦凍

…!(来た…!)

胸の奥が、どくんと跳ねた。

何度もシュミレーションをした。今夜は、爆豪とふたりきりで、飲んで、話して…そうして自然に距離が縮まる夜。

浮かぶ笑みを整えて、ドアを開ける。

爆豪勝己

…来てやったぞ。

緑谷出久

お、お邪魔します…!!

轟 焦凍

な゛っ…!?

思考が一瞬真っ白になる。

轟 焦凍

(緑谷!?なんで…誘ってない…俺は誘ってないぞ…)

轟 焦凍

(…爆豪が…勝己が呼んだのか?)

直ぐにポーカーフェイスをする。

轟 焦凍

…ん゛んっ、

轟 焦凍

…中に入れ。

緑谷出久

ありがとう!轟くん!

2人が先にリビングへと向かう。

…まじか…これは予想してなかった…

轟 焦凍

轟 焦凍

(やっぱり、”俺の勝己”は…勘が鋭い…)

びっくりしている轟の顔を見て内心優越感に浸る。

爆豪勝己

(アホかよ…俺一人でわざわざお前の家に行くわけねぇだろ…)

こいつがヤリモクか何だかは知らねぇ…

でも絶対俺のプライドやらを折ってくる…

だから俺は…!

爆豪勝己

(…ずっと主導権を握ってやる。)

まぁいい…勝己がこの家に来た時点でもう俺の勝ちだ…

轟 焦凍

爆豪、酒飲む——

爆豪勝己

自分で持ってきた。

轟 焦凍

…そうか。

轟 焦凍

じゃあお前の好きな——

爆豪勝己

辛い食いもんも自分で買ってきた。

轟 焦凍

…そうか。

流石爆豪だ…完全に読まれてる。

なら——まずは緑谷を酔わせて……

緑谷出久

ねぇねぇかっちゃん、僕このお酒気になってて…

爆豪勝己

はぁ?テメェ弱いだろ。ほろ酔いでも飲んどけ。

爆豪勝己

他の酒飲んだらぶっ殺すからな。

緑谷出久

えぇそこまで言う…??

爆豪勝己

お前、酔ったら寝るか泣くかだろ。

爆豪勝己

人の家だからダメだ。

緑谷出久

かっちゃんがそこまで止めるの珍しいね…

緑谷出久

わかったよ

轟 焦凍

次々に壊されていく計画。

用意した高級ウイスキーにも触れず、爆豪は手慣れた手つきで自分の酒を注ぎ、氷まで持参してきたタンブラーに入れている。

…運に…任せるか。

数分後

…これは…流石に予想外だった。

緑谷出久

かっちゃぁん…

緑谷出久

うぅ…

ソファに座ったデクが、とうとう泣き出した。

顔は赤く、涙がぽろぽろとこぼれている。

爆豪勝己

(…まじかよ…こいつこんなお酒弱ぇのか…)

デクに視線を向けるとほろ酔いの缶を、ほんの半分しか飲んでいなかった。

爆豪勝己

(この量で酔うとか…まだガキの方が強ぇだろ…!)

すると、隣に座っていた轟がゆっくりと立ち上がる。

轟 焦凍

…緑谷、本当にお酒弱いんだな。

穏やかな声。だがその横顔に、妙な満足げな笑みが浮かんでいたのを、俺は見逃さなかった。

轟 焦凍

俺、まだ水しか飲んでねぇから…

轟 焦凍

緑谷、家まで送ってくる。

轟は緑谷の背中に手を添えながら、爆豪へと視線を向ける。

その目が、じわりと熱を帯びていた。

爆豪勝己

…じゃあ俺も帰る。

爆豪が立ち上がろうとすると、轟は爆豪の頭をガシッと掴んでソファーに戻す。

轟 焦凍

…いや、俺バイクで行くから…2人が限界だ。

轟は一拍置いて、ふっと口角を上げる。

轟 焦凍

だから、勝己はここで待っててくれ。

爆豪勝己

…あ゛?

轟 焦凍

大丈夫だ。緑谷を家に送ったら、すぐ戻る。

轟の手は爆豪の頭を撫でる。

轟 焦凍

すぐ戻る。…待ってろよ。勝己。

爆豪が返事をする間も与えず、轟が出ていきドアが閉まる。

爆豪はソファに深く腰を下ろし、額に手をあてた。

爆豪勝己

…今から…逃げれるか…?

いや、無理だ…無駄に半分野郎とデクの家は近ぇ…すぐ見つかる…

そのとき、冷蔵庫の上に置かれた黒い小箱に目が止まった。

あいつの家に似合わない、安物のプラスチック製。

爆豪勝己

…ンだこれ。

中を開けると、ポラロイド写真。写真の束。何枚もある。

爆豪勝己

…これ…

背筋が凍る。

全部俺じゃねぇか…!!

歩いている時、荷物を持っている時、誰かに話しかけられた瞬間。

それだけじゃねぇ。寝ているところ、シャワーの蒸気が映る窓越し、鍵を回す背中。

爆豪勝己

気持ちわりぃ…!!

その時、影が背後に落ちる。

轟 焦凍

勝己、それ以上は見なくていい。

真後ろから囁くような声。

次の瞬間、両腕がスッと背中に回り、静かに抱きしめられる。

爆豪勝己

っ…!

轟 焦凍

それ、いい感じによく写ってるだろ。

ポラロイドの束に視線を落とす轟。爆豪の手から、そっとそれを抜き取る。

爆豪勝己

轟 焦凍

…勝己。

轟は爆豪をもっと強く抱き締めて耳元で囁く。

轟 焦凍

…部屋、行こう。

爆豪勝己

爆豪勝己

(どうする…俺…!!主導権はどこいったんだよ…!!!)

轟はその沈黙さえも優しく許すように微笑んだ。

轟 焦凍

大丈夫だ、勝己。

轟 焦凍

……ちゃんと優しくするつもりだ。
loading

この作品はいかがでしたか?

201

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚