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LINE1213

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LINE1213

1 - あ

♥

16

2023年10月06日

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コウタ

おいコウタ!こんどのバーベキューはお前の家でやるんだぞ。

コウタ

ちゃんといい肉を用意しておけよ?

ダイキ

え、俺このあいだ断ったよね。

ダイキ

兄さんたちは酒グセが悪くてすぐ騒ぐし、

ダイキ

煙で近所迷惑になるから、やらないよって…。

コウタ

はあ?おまえ何いってんの。

コウタ

弟の分際で、俺の命令が聞けないのかよ。

ダイキ

命令って…俺は兄さんの手下じゃないんだけど。

ダイキ

そんなにバーベキューがやりたいなら自分の家でやってくれよ。

コウタ

うるせぇな。ウチは賃貸のアパートだって知ってるだろ!

コウタ

だからウチではバーベキューなんて出来ないの!

ダイキ

じゃあ、そういう場所を借りてやればいいじゃないか。

ダイキ

なにもウチの庭を使わなくてもいいだろ。

コウタ

お前ふざけんな!

コウタ

そんな場所を借りたら、金を取られるだろうが。

ダイキ

そりゃ有料に決まってるでしょ。

ダイキ

まさかウチならタダだと思って、やろうとしてるのか。

コウタ

当たり前だろう。それ以外になんのメリットがあるんだよ。

コウタ

お前らみたいな虫ケラにはもったいない家だよな。

コウタ

だから俺たち夫婦が、せめて庭くらいは使ってやろうと思ってんの。

コウタ

お前らも美味しい肉が食えて嬉しいだろ?

ダイキ

全然嬉しくないよ。

ダイキ

だって、肉も野菜も、俺たちに買って来いっていうんだろ?

ダイキ

兄さん達は一円も出さないくせにさ。

コウタ

お前はおカタイ公務員だから、金が余ってるんだろう?

コウタ

だから俺たちが代わりに使って、

コウタ

世の中の経済を回してやるんだよ!

ダイキ

なにその無茶苦茶な理論は…。

ダイキ

お金の使い道は自分達で決めるから!

ダイキ

人の金をアテにするより、

ダイキ

兄さんたちもいい加減、自分の家くらい買いなよ。

コウタ

お前、大学を出たからって偉そうによぉ。

コウタ

俺が中卒だからバカにしてるんだろ?

ダイキ

そういうわけじゃないよ。

コウタ

そうとしか思えないんだよ!

コウタ

お前、俺をなんだと思ってんの?

ダイキ

兄弟だと思ってるよ。

ダイキ

しょっちゅう転職してて、大丈夫かなとは思うけど。

コウタ

だからなんだよ。

コウタ

俺は今、金欠なんだよ。

コウタ

お前は弟なんだから、長男の俺を助けるのが当然だろ。

コウタ

オフクロにもそう言われただろう?

ダイキ

言われたけどさ…。

ダイキ

母さんは、昔から兄さんに甘すぎるから…。

コウタ

分かったなら、今度の日曜日は庭でバーベキューだぞ。

コウタ

わざと出かけたり、安い肉を買ってたりしたら許さないからな!

ダイキ

ええ、、、そんな。

ダイキ

せっかくの日曜日なのに、なんで兄さんたちのために…。

コウタ

一応は分かったようだな?

コウタ

バーベキューのコンロも用意しておけよ?

コウタ

分かったな!

~5分後~

ダイキ

…そういうわけでシイナ。

ダイキ

兄さんたちがまた、ウチの庭でバーベキューをやりたいらしい。

ダイキ

断り切れなくてごめん。

シイナ

ウソでしょ。また義兄さんたちがウチに来るの?

シイナ

先月もウチで騒いで、近所のおばあさんに注意されたのに。

シイナ

なんで断れなかったの。

ダイキ

ホントゴメン。

ダイキ

何回も断ったんだけど、ぜんっぜん聞いてくれなくて。

ダイキ

ああ、もう家の場所を教えるんじゃなかったな…。

シイナ

本当ね。

シイナ

あなたのお兄さんじゃなかったら、とっくに絶縁しているところよ。

ダイキ

余計な苦労をかけてすまない。

ダイキ

なんとかウチに来させないようにしたいところだけど…。

ダイキ

ちょっとやそっとの文句じゃ、兄さんにはきかないんだよな。

シイナ

う~ん、何か考えないとね。

シイナ

こんなふうに毎回、ウチで好き勝手されたら

シイナ

たまったモノじゃないわ…。

ダイキ

そうだな。

ダイキ

一緒に考えよう。

シイナ

うん。

~翌日~

ユウコ

シイナさん、またお庭を使わせてくれるんだって?

ユウコ

あなた達の家はいいわよね、庭があって!

ユウコ

私、家がほしいのよね。

ユウコ

庭を眺めながらワインを飲むなんて最高だわ。

ユウコ

あ、もちろんあなたには、家政婦として出入りさせてあげても良いのよ。

シイナ

え、なに言ってるんですか。

シイナ

この家はダイキと私のものですよ。

シイナ

かわりにローン払ってくれるとでもいうんですか?

ユウコ

まさか。家のローンはずっとダイキさんが払うのよ。

ユウコ

アナタたちは、長男夫婦である私たちに尽くしてくれないとね。

シイナ

そんな。

シイナ

ウチはただの公務員ですよ。

シイナ

義兄さんたちを養う余裕なんてありませんよ。

ユウコ

養う?何をエラそうに言ってんの。

ユウコ

わたしたちに、尽くせっていってるの!

シイナ

いえ、そもそも長男夫婦っていうほど立派な家柄でしたっけ?

シイナ

ダイキさんの実家も、ごく普通のサラリーマン一家でしょ。

シイナ

跡継ぎとか関係ないと思うんですが…。

ユウコ

〇カねぇ、そんなことが言いたいんじゃないの。

ユウコ

あなたもダイキさんも、何のとりえもないから、

ユウコ

私たちが使える人間に育ててあげたいのよ。

シイナ

いいえ、そんなの結構です…。

シイナ

私たちまでフリーターのダメ人間になっちゃうわ…。

ユウコ

はあ?なんですって。

シイナ

あ、すみません。なんでもないです。

シイナ

とにかく、ウチの庭はもう貸せません。

シイナ

義兄さんたちはマナーも悪いし、近所迷惑ですよ。

ユウコ

あら。文句を言う近所の人間なんて、夫がシメてくれるわよ。

ユウコ

だからクレームなんて怖くないわ!

シイナ

義兄さんはケンカが強いようですね。

シイナ

私の夫はケンカが苦手だから…。

シイナ

でも鍛えてもらわなくてもいいんです。

シイナ

あの人は、あのままで十分。

ユウコ

まあ、公務員だもんね。

ユウコ

お金を稼いでくればそれで良いって感じ?

シイナ

そういうわけじゃありません。

シイナ

そんなことより、ほんとにウチでバーベキューやるんですか?

ユウコ

そうよ!こんどの日曜日ね。

ユウコ

肉と野菜、ちゃんと用意しておいてよ。

ユウコ

ついでに焼きやすいように切っておくこと!

ユウコ

もちろんお酒も必要だからね。

シイナ

イヤですよ。

シイナ

いい加減にしてください。

シイナ

ちょっとお義姉さん。

シイナ

まったくもう…。

~翌日~

ダイキ

兄さん、今度の日曜日だけどさ。

ダイキ

天気がいいみたいだから、家の中で害虫駆除をやるんだ。

ダイキ

だから家の中には入れないよ。

コウタ

はあ?なんでわざわざ俺たちが行く日にやるんだよ。

コウタ

別の日にやればいいだろ。

コウタ

お前のヨメも専業主婦でヒマなんだからよ。

ダイキ

ウチは娘がまだ2歳だから、

ダイキ

煙が出るタイプの防虫剤は、使いにくいんだよ。

ダイキ

だから、娘をシイナの実家に預けて、

ダイキ

その間にやってしまおうってわけ。

コウタ

だからってなんで日曜日なんだよ。

ダイキ

シイナの実家は義両親が2人とも中学教師だから、

ダイキ

日曜日じゃないと子供を預かってもらえないんだよ。

コウタ

ふーん。

コウタ

じゃあ、トイレはどうすればいいんだよ。

コウタ

酒も飲むし、トイレがないとキツいんだが。

ダイキ

隣の公園の公衆トイレをつかってくれ。

ダイキ

トイレットペーパーは俺が用意しておくから。

コウタ

ちっ、めんどくせーな。

コウタ

まあ、肉を用意してくれてればそれでいいや。

コウタ

いいか、まちがっても俺たちが到着するまでは、先に食うんじゃねぇぞ。

コウタ

おまえらはもやしでも食っときなw

ダイキ

もやしって。

ダイキ

兄さんたちは、逆に食べ過ぎだから

ダイキ

少し酒量と食事量を控えたほうが良いと思うけど…。

コウタ

余計なお世話だよ!

コウタ

家に入れないのは分かったよ。

コウタ

そういうわけで、日曜日はヨロシクな!

ダイキ

はあ…。

~そして日曜日~

コウタ

おい、ダイキ!

コウタ

お前、なんで家にいないんだよ。

コウタ

ヨメもいないし、いったいどういうことだ。

ダイキ

ああ、ゴメンゴメン。

ダイキ

娘を義実家に預けに来ていたら、つい長居しちゃって。

ダイキ

俺たちはちょっと遅れるけど、代わりの人たちが

ダイキ

兄さんたちの手伝いにいくからさ。

コウタ

代わりの人ぉ?

コウタ

なんでお前らが来ないんだよ。

ダイキ

まあ、いいじゃん。

ダイキ

俺もシイナも久々の義実家だから、ゆっくりしたかっただけさ。

コウタ

ったく、肉を用意しといてくれたから良かったが。

コウタ

適当に火を起こして、バーベキューはじめてるぞ。

コウタ

帰った時に肉がないとか文句言うなよ。

コウタ

まあ、最初からお前らに食わせるつもりはなかったけどなw

ダイキ

それは心配いらない。

ダイキ

おいしい肉を用意したから、食べてのお楽しみだよ。

コウタ

わかった。じゃあ、あとで来いよ。

~30分後~

ユウコ

ちょっとダイキさん、シイナさん!?

ユウコ

なんかトンでもない人が来たんだけど!

シイナ

あら、やっと到着したんですね。

シイナ

ガタイのいいおじさんでしょ。

ユウコ

そ、そうだけど…。

ユウコ

なんか夫が、めちゃめちゃビビってる!

ユウコ

なんであんなヤバそうな人が来るのよ!

シイナ

ヤバそうな人?失礼ですね。

シイナ

今ウチに来てくれたのは、私の父ですよ。

ユウコ

へ?

シイナ

ウチで強引にバーべキューをやって騒ぐから

シイナ

ちょっと大人としてのお行儀を教えてあげてほしいって、お願いしたんです。

シイナ

ウチの父は中学教師だから。

シイナ

しかもコウタ義兄さんの中学時代の担任教師なんですよ!

ユウコ

な、なんですって!

ユウコ

そんなの初耳だわ。

シイナ

そうですね、私たちが結婚したとき、お義姉さんたちはまだ結婚してなかったし、

シイナ

義兄さんも借金取りから逃げてて、

シイナ

結婚式にも来なかったですしw

シイナ

私の父の顔を見る機会がなかったから、知らなかったんですよね~。

ユウコ

ちょっとふざけないでよ。

ユウコ

夫が首ねっこ掴まれて、泣きっ面になってるわ。

ユウコ

アンタのお父さんってそんなに強いの?

シイナ

柔道の有段者で、中学でも顧問をずっとやってます。

シイナ

義兄さんも柔道部だったけど、同学年では一番弱かったって言ってました♪

シイナ

父は、ちゃんと義兄さんの顔と名前を憶えてて、

シイナ

写真を見せたら会ってみたくなったらしいんです。

ユウコ

だからって、こんな急に会わせることはないでしょ?

シイナ

あら、そこは私たちの家ですよ?

シイナ

自分の家に親を呼ぶくらい、別に良いじゃないですか。

ユウコ

そ、そうだけど…。

シイナ

ところで義兄さんは、なんで父に首ねっこつかまれたんですか?

ユウコ

なんか、火のおこし方が分からなかったから。

ユウコ

めんどくさいし、野焼きでバーベキューをやってたの。

ユウコ

そうしたら、「このあたりは野焼き禁止だろう!」って

ユウコ

すっごい勢いでキレられたのよ!

シイナ

え、お義姉さんたち、野焼きでバーベキューをやってたんですか。

シイナ

非常識すぎてビックリです。

ユウコ

うるさいわね、他に火を起こす方法がなかったの!

ユウコ

アナタたちが家にいなかったのが悪いのよ!

シイナ

え、それは違いますよね。

シイナ

私たちは、義兄さんたちがバーベキューを楽しめるように

シイナ

道具も材料も、全部用意してましたよね。

ユウコ

もう、そんなコトどうでもいいの!

ユウコ

夫が今度が土下座をはじめたわ。

ユウコ

アナタのお父さん、一体何なの!

シイナ

土下座ってww

シイナ

野焼き以外にもなんかやらかしたんですか?

ユウコ

芝生の上にタバコを捨ててたから、

ユウコ

「火事になったらどうするんだ!」って怒鳴られてるのよ!

シイナ

えー、ウチの庭にタバコをポイ捨てですか?

シイナ

もう、迷惑だから帰って下さいよ。

シイナ

そしてもう、2度と来ないでください。

シイナ

きたらまた、父を呼びますよ。

シイナ

あ、あともう一つ言っておきますが…。

シイナ

私の兄も柔道有段者で、警察官ですから。

ユウコ

え?

シイナ

ウソじゃありませんからね。

シイナ

今までは親族だから、丁重におもてなししてきましたが、

シイナ

サル並のお行儀しか守れない人とは、もう付き合えません。

ユウコ

さ、サルですって?

シイナ

あ、失礼。つい正直に言っちゃった。

シイナ

そんなわけで、早急にお帰り下さいませ~。

ユウコ

言われなくても帰るわよ!

ユウコ

もう二度とくるもんか、こんな家~!

~後日談~

シイナ

あの後、私の父にキッチリ締め上げられた義兄は

シイナ

冷や汗をかきながら、義姉と一緒に帰っていったそうです。

シイナ

2人とも前からあんな調子だったので、私たち夫婦も困っていたのですが、

シイナ

偶然、私の父が義兄の元担任だと知り、少し協力してもらうことにしたのでした。

シイナ

定年間際の父ですが、ガタイが良く今も柔道は強いので

シイナ

義兄にとっては脅威の存在だったようです。

シイナ

おかげでウチに寄り付かなくなり、助かりました。

シイナ

今後は、タダの親戚として距離をおきながら、

シイナ

適度なお付き合いをしていこうと思います。

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