さらに3日後、 12月に突入した月曜日。
木村くんに会うまで 残り6日に迫っていた。
イノシシ似の彼からは あれ以来連絡が来なくなった。
紗良
(さすがにあんな切られ方したら諦めるよね)
紗良
(やっと連絡来なくなって良かった)
風花
あれ、紗良じゃん
紗良
風花
放課後、部活に向かう途中で 風花に遭遇した。
風花
その後イノシシくんから連絡来た?
紗良
風花のおかげで来なくなったよ
風花
よかったよかった
風花
これで木村くん1本に絞れたね
紗良
うん、頑張る
紗良
まだちょっと日あるのに緊張してきた…
風花
良い人だといいね
紗良
そうだね、LINEだけじゃ分かんないからね
紗良
軽そうだし
風花
気を付けてよ?
紗良
……そうだよね、気を付けないと
ただでさえ私は隙だらけだ。
いくら好印象でも、 本性は分からないんだから。
風花
てか部活行くのに呼び止めてごめんね、また報告待ってるよ
紗良
ううん、ありがとう!部活行ってきます
*
*
部活が終わって家に帰ってきた。
木村くんとは変わらず 他愛のないLINEが続いている。
私は意識していることを 悟られたくないので、 ちょっと時間を空けて返信。
向こうは返事が早かったり遅かったり 気まぐれだった。
紗良
本当に会うのかー……
紗良
どんな人なんだろ
毎日のようにFacebookで 木村くんの写真を見ていた。
画面越しに彼の顔を見るだけで ドキドキする。
紗良
スマホだけのやり取りで人のことを好きになるなんて、本当にあるんだ…
……まだ好きじゃないけど。
気になってるだけだけど。
紗良は、久々の感覚に浮かれていた。
紗良
紗良
…………えっ!?
その時、 突然イノシシ似の彼から LINEが来た。
お母さん
お母さん
紗良〜ご飯出来たよ〜
紗良
えっ、あっ、はーい!
通知画面に動揺が止まらなかった。
え、何で。
あんな切り方したのに。
水元
お久しぶりです!
12月突入しましたねー!
12月突入しましたねー!
普通に連絡来た……。
お母さん
紗良ー?降りてこないのー?
紗良
今行くー!
とりあえずご飯を食べて落ち着こう。
後で返信することにした。