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【フォロワー様500人突破記念参加型】黒沼 もちまるさん

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【フォロワー様500人突破記念参加型】黒沼 もちまるさん

6 - 【フォロワー様500人突破記念参加型】黒沼 もちまるさん #6

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2021年02月12日

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それから、延命に延命を重ね、

虎井百合が倒れたあの日から、

実に3ヶ月が経っていた——。

ぺいんと

虎井さん、

ぺいんと

もう、昨日の時点でかなり辛そうに見えたし、

ぺいんと

その……

ぺいんと

ぺいんと

正直言うと、延命はもう無理なんじゃないかって思うんだ……

狼樹 真流

……そっか

狼樹 真流

毎日お見舞いに行ってたぺいんとがそう言うなら、多分そうだろうな

狼樹 真流

狼樹 真流

お見舞い、ありがとな

ぺいんと

うん、別にお礼なんてしなくていいよ

ぺいんと

それに

ぺいんと

ぺいんと

……後は、真流が全部してくれるんでしょ?

ぺいんと

あの時みたいに

狼樹 真流

うん

狼樹 真流

出来る限りのことはしたんだ

狼樹 真流

後は、彼女を救うだけ……だな

ぺいんと

失礼しまーす

虎井百合

……あっ

虎井百合

ぺいんと君…!

ぺいんと

虎井さん、今日は真流も連れてきたんだけど……

俺は彼の背中から顔を出す。

虎井百合

……狼樹さん……か

虎井百合

……ゴホッ

咳で息苦しそうにしながら、彼女はじっと俺を見る。

狼樹 真流

虎井さん、

狼樹 真流

羽は……どれくらいに……?

ベットに横たわっている為、翼の大きさがいまいち見えない。

彼女はゆっくり体を起こすと、こちらに背を向けてくれた。

……前よりも、随分と大きい。

大きくなり過ぎた羽が擦っているようで、肌は赤くなっている。

虎井百合

……正直ね、

虎井百合

そこまでキツくはないの……

虎井百合

背中は痛いし重いけどね…

虎井百合

虎井百合

ただ、天使病っていうのは

虎井百合

翼に栄養を取られ過ぎて死ぬんじゃなくて、

虎井百合

翼が体を突き破って死ぬ病

虎井百合

だから、そこまで症状が酷くなくても、

虎井百合

呆気なく死んじゃうこともあるって

虎井百合

明見が言ってた…

虎井百合

その、明見、

虎井百合

創作とかで使われてた天使病が好きだったらしくてさ、

虎井百合

知識とかいっぱいあるみたいで……

思い出すのは、3ヶ月前に貰ったあの手紙。

あの話は事実だったのか。

それなら、月岡明見も相当な苦痛を感じていたのかもしれない。

ガラガラガラ。

月岡明見

百合……!

月岡明見

って、みんな来てたんだ

狼樹 真流

うん、

狼樹 真流

狼樹 真流

そろそろ虎井さんの余命も近づいて来た……みたいだからね

俺がそう言うと、月岡明見は一瞬にして青ざめた。

月岡明見

えっ…

月岡明見

月岡明見

も、もう余命が近いの…!?

月岡明見

幸せを感じれば、治るんじゃ…?

虎井百合

な、何?明見?

虎井百合

幸せ?治る?なんのこと?

2人がこのような反応になるのも、無理はなかった。

後で謝るべきだろうが、月岡明見には1つ。

嘘をついていた。

ぺいんとが考えた、優しい優しい嘘だ。

それは一体どういうことなのか。

簡単に言えば、

俺は、ぺいんとと虎井さんを会わせて幸せを感じることができれば、

“病は治る”と彼女に言い切ったのだ。

本来なら、この病は治りはしない。

幸せを感じることで、ただ単に

“病の進行を遅らせる”だけなのである。

いずれ死ぬのは、決まっていたことなのだ。

月岡明見

治るんじゃないの!?

月岡明見

ねぇ、狼樹さん…!

月岡明見

私たちを、騙してたってことなの…!?

ただ、

それは、

「俺がいなければ」の話だ。

突然だが、

あなたは「ダークぺいんと」というものを知っているだろうか。

ダークぺいんととは、

漆黒の翼を持った、ぺいんとのもう1つの人格……

なんて言われている。

が、まぁ、言ってしまえば、

ぺいんと、しにがみ、トラゾー、クロノア、そして俺の間での“ネタ”だった。

しかし、

その中で唯一、俺とぺいんとだけがその真相を知っていた。

それは、

厨二病だとか、黒歴史だとか、そんな話ではない。

それは、

虎井百合に襲いかかった、

美しくも恐ろしい病の話である。

——真流の過去?——

ぺいんと

背中、

ぺいんと

まだ痛い……

ぺいんと

ぺいんと

ねぇ、真流

ぺいんと

僕死んじゃうの…?

ぺいんと

こんな痛い思いするくらいなら、

ぺいんと

今死んだ方がマシだよ……

ぺいんと

真流…!

ぺいんと

ぺいんと

お願い…僕を助けて…!

ぺいんと

お願い……

ぺいんと

お願い……

狼樹 真流

狼樹 真流

ぺいんと

ぺいんと

ん…?

狼樹 真流

背中をこっちに向けて…

ぺいんと

う、うん…

その幼い体から生えているのは、

眩く美しい天使の翼。

大きく開いた純白の翼。

俺はその翼に、そっと手を触れる。

そして、指の先に力を込めた。

途端に、

俺の黒い髪が、なびいて。

なびいて。

ふと気付いた時には、

ぺいんとから生える翼は黒くなっていて。

ふと気付いた時には、

俺の髪は真っ白に染まっていたんだ。

次回、最終回。

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コメント

3

ユーザー

そ、そなのか… ここでダーペが来るとはっ…!!

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