テラーノベル
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神々の住む領域。 そこでは今日も、世界の秩序が保たれていた。 ……少なくとも、ある一人が起きるまでは。 「――おはようございます、世界!」 朝早く。 神々の居住区に、妙に元気な声が響き渡った。 黄色い肌。 茶色の巻き毛。 白いTシャツには、大きく「ブレイクジョン」と描かれている。 そして青いデニムの短パン。 一見すれば、ただの陽気な神――Shedletsky。 しかし。 「……誰が朝っぱらから騒げと言った」 低い声が背後から聞こえた。 Shedletskyはゆっくり振り返る。 そこに立っていたのは、オレンジ色のヘルメットを被った灰色の肌の神。 ビルダーマンだった。 「おや、ビルダーマン! おはよう!」 「おはようじゃない」 「朝の挨拶は大事だろ?」 「お前の場合、挨拶の前に何か企んでいるから信用できないんだ」 「ひどいなぁ」 Shedletskyは笑いながら両手を広げた。 「俺は今日は何もしてないぞ?」 「“今日は”という言い方がすでに怪しい」 ビルダーマンはため息をついた。 すると―― 遠くから、何かが転がってくる音がした。 コロコロ……。 二人がそちらを見る。 小さな金属製の筒だった。 「……」 「……」 ビルダーマンの顔が固まる。 Shedletskyの顔には、満面の笑みが浮かんだ。 「おっ!」 「待て」 「なんだ?」 「今の『おっ!』は何だ」 「面白そうなものが転がってきたなって」 「触るな」 「でも――」 「触るな」 「まだ何もしてないぞ?」 「お前は“まだ”が一番怖いんだ」 ビルダーマンが筒を拾い上げる。 そして、裏側を見る。 そこには小さく文字が書かれていた。 『Telamon専用・実験用』 ビルダーマンの眉がピクリと動いた。 「……Telamon」 「……」 Shedletskyは口笛を吹いた。 「知らない名前だなぁ」 「お前だろうが!」 「わははは!」 Shedletskyは逃げ出した。 「待てこの問題児!」 「捕まえてごらーん!」 「待て!」 朝の神々の街に、二人の声が響き渡った。 --- 一方、その頃。 少し離れた場所にある研究室。 そこには一人の神がいた。 黒い肌。 緑色のドミノクラウン。 半透明の緑色の胴体。 赤い目。 そして、口元には普通の口ではなく、ジッパー。 1x1x1x1。 彼は机の前に座り、乾燥ライムを一つ摘まんでいた。 「……」 ぽり。 「……朝から騒がしいな」 ぽりぽり。 「どうせまたTelamonだろう」 彼は淡々と呟いた。 しかし、その直後。 ドアが勢いよく開いた。 「1x!」 「……」 「助けてくれ!」 「嫌だ」 即答だった。 「まだ何も言ってないぞ!?」 「どうせイタズラの尻拭いだ」 「さすが俺の最高傑作。よく分かってる!」 「褒めているつもりなら腹が立つ」 Shedletskyは笑いながら研究室へ入ってきた。 その後ろからビルダーマンが追いかけてくる。 「1x1x1x1! こいつを止めろ!」 「なぜ私に言う」 「お前の創造主だろう!」 「だから何だ」 「少しは責任を持て!」 「責任なら創造主本人に取らせろ」 「1x、お前まで冷たい!」 Shedletskyが胸を押さえて大げさに倒れ込む。 「俺、悲しい……」 「……」 1x1x1x1は無言で乾燥ライムをもう一つ食べた。 「勝手に悲しんでいろ」 「ひどい!」 「お前が悪い」 「そこまで言う!?」 ビルダーマンが腕を組む。 「ところで、あの筒は何だ?」 「……」 Shedletskyが固まった。 1x1x1x1の目が細くなる。 「何をした?」 「何もしてない」 「その答え方は何かした奴の答え方だ」 「……ちょっとした実験を」 「何の実験だ」 「爆発するかどうか」 「帰れ」 「ええ!?」 1x1x1x1が指をさす。 「今すぐ帰れ」 「俺の研究室なのに!?」 「知らん」 ビルダーマンも頷いた。 「私も賛成だ」 「二対一!?」 そのとき。 ドアの向こうから穏やかな声がした。 「朝からずいぶん賑やかだね」 現れたのはドゥセッカーだった。 生命と輪廻を司る神。 彼は三人を見回し、少しだけ笑った。 「Telamon、また何かやったの?」 「やってない」 「本当に?」 「……まだ」 「やっぱりやったんだね」 ドゥセッカーは苦笑した。 「相変わらずだなぁ」 「ドゥセッカーまで!」 Shedletskyは肩を落とした。 だが、1x1x1x1はそんな彼をじっと見つめていた。 「……Telamon」 「ん?」 「今日は何を企んでいる」 「だから何も――」 「嘘をつくな」 「……」 Shedletskyは少しだけ目を逸らした。 そして、にやりと笑う。 「実はさ」 「何だ」 「今日はお前に用事がある」 「私に?」 「ああ」 Shedletskyはポケットから小さな包みを取り出した。 1x1x1x1の目がわずかに動く。 「……何だ、それは」 「プレゼント」 「……」 「開けてみろよ」 1x1x1x1は警戒しながら包みを受け取った。 ゆっくり開ける。 中に入っていたのは―― 乾燥ライムだった。 しかも、いつも食べているものより少し珍しい種類だった。 1x1x1x1はしばらく黙っていた。 「……」 Shedletskyはニヤニヤしている。 「どう?」 「……別に」 「嬉しくない?」 「……」 1x1x1x1は包みを閉じた。 「……少しだけだ」 「おお!」 「騒ぐな」 「嬉しいんだな!」 「うるさい」 「俺が選んだんだぞ?」 「だから何だ」 「大事に食べろよ?」 「……分かっている」 1x1x1x1はそっぽを向いた。 しかし。 その手は包みをしっかり握っていた。 ドゥセッカーは微笑む。 ビルダーマンも、少しだけ表情を緩めた。 「……まったく」 1x1x1x1が小さく呟く。 「こういうところだけは、妙に気が利くな」 「ん?」 「何でもない」 「聞こえたぞ!」 「聞き間違いだ」 「絶対聞こえた!」 「うるさい」 いつもの朝。 いつもの騒ぎ。 いつもの口喧嘩。 それでも―― 1x1x1x1は、もらった乾燥ライムを大切そうにしまった。 その様子を見て、Shedletskyは満足そうに笑った。 「よし!」 「何だ?」 「じゃあ次は――」 Shedletskyは懐から何かを取り出した。 ビルダーマンの顔が青ざめる。 「……まさか」 ドゥセッカーが苦笑する。 「Telamon?」 1x1x1x1の目が鋭くなる。 「お前……」 Shedletskyは満面の笑顔を浮かべた。 「新しいイタズラの時間だ!」 「やめろ!!」 「待て!!」 「やめろTelamon!」 「わはははは!」 こうして。 神々の世界の平和な一日は―― いつも通り、平和ではなくなった。 ただし。 それは誰も、本気では嫌がっていない騒がしさだった。
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コメント
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とうわああああ第5話も神回すぎた!!!😭💕💕💕 Telamon(Shedletsky)と1x1x1x1の関係性が尊すぎて倒れるかと思った…!!「プレゼント」って言って渡した乾燥ライム、1xが「…少しだけだ」って言いながら包みしっかり握ってるところ、無自覚にデレすぎでは?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!
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