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あの夏が緩和する

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あの夏が緩和する

1 - あの夏が緩和する

♥

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2021年08月31日

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これは雨の降る夏の日

昔の海斗

あー、雨うぜぇ…

俺が学校から帰ってきた時 隣の家の前に幼なじみの雫が 座り込んでいた

昔の海斗

雫?こんなとこで何してんの?

海斗…

私昨日人を殺しちゃった…

君はそう言った

昔の海斗

…………そっか

昔の海斗

とりあえず俺の家行こう

グスッ…グスッ…((コクコク

梅雨時ずぶ濡れのまんま 君は泣いていた

海斗の部屋

昔の海斗

雫…大丈夫?

夏が始まったばかりと言うのに

ブルブル…

君は酷く震えていた

海斗

そんな話で始まる

あの夏の日の記憶だ

殺したのは隣の席の
いつもいじめてくるアイツ

もう嫌になって肩を突き飛ばして
打ちどころが悪かったんだ

雫は震えた声で話してくれた

昔の海斗

……………

俺は雫になんて言えばいいのか 分からなくて無言で聞き続けた

もうココには居られないと思うし

どっか遠いところで死んでくるよ

雫が笑顔でそう言った瞬間俺は

昔の海斗

それじゃあ俺も連れて行って

迷惑かもしれない だけど雫を1人で死なせたくない

…………

いいよ

雫は優しい声で「いいよ」 と言ってくれた

昔の海斗

ありがとう。それじゃあ必要な物を
色々用意しないとな

うん。私1回帰って用意してくる

昔の海斗

わかった

雫が1回家に帰り

昔の海斗

さてお金は必要だよな

財布を持って

昔の海斗

死ぬにはナイフが必要だな…

キッチン

昔の海斗

ナイフを持って

あ、暇つぶしに

昔の海斗

携帯ゲームもカバンに詰めて

よし、雫の家に行こう

雫の家の前

早かったね

昔の海斗

うん。まぁな

雫はすでに家の前に立っていた

うん。あ、ちょっと待って

いらないものは全部壊していこう

昔の海斗

ん。あの写真も

ビリビリ…((破る

あの日記も((ビリビリ

いまとなっちゃもういらないさ

昔の海斗

よし、行こう

うん

人殺しと君と僕の旅だから

海斗

そして僕らは逃げだした

この狭い狭い この世界から

お母さん

あ、雫!どこ行くの!!

家族も

結衣

あれ?雫と海斗じゃない?

クラスの子

あ、本当だ!おーい雫!海斗!

海斗逃げるよ

クラスの奴らも

昔の海斗

おう

お母さん

あ、ちょっと!待ちなさい!!

全部捨てて君と2人で

昔の海斗

なぁ、雫

なに?

遠い 遠い

昔の海斗

誰もいないとこで

昔の海斗

2人で死のうよ

……………

もうこの世界に価値などないよ

や、やっぱり私…だけで

私があの子を
殺しちゃったのが原因だし

昔の海斗

何言ってんの?

え?

昔の海斗

人殺しなんかそこら中に
湧いてるじゃんか

君は何も悪くないよ

昔の海斗

雫は何も悪くないよ

うん。ありがとう。

疲れたしちょっと休憩しよう

昔の海斗

うん

公園

ねぇ私達が仲良くなったきっかけ

覚えてる?

昔の海斗

覚えてるに決まってんだろ

昔の海斗

俺達昔と変わらないな

うん

結局僕ら誰にも 愛されたことなどなかったんだ

昔の海斗

そんな嫌な共通点で

昔の海斗

俺ら簡単に信じ合ってきた((ギュ

君の手を握った時

……………

微かな震えもなくなっていて

昔の海斗

さ、そろそろ行こう?

うん

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