これは雨の降る夏の日
昔の海斗
あー、雨うぜぇ…
俺が学校から帰ってきた時 隣の家の前に幼なじみの雫が 座り込んでいた
昔の海斗
雫?こんなとこで何してんの?
雫
海斗…
雫
私昨日人を殺しちゃった…
君はそう言った
昔の海斗
…………そっか
昔の海斗
とりあえず俺の家行こう
雫
グスッ…グスッ…((コクコク
梅雨時ずぶ濡れのまんま 君は泣いていた
海斗の部屋
昔の海斗
雫…大丈夫?
夏が始まったばかりと言うのに
雫
ブルブル…
君は酷く震えていた
海斗
そんな話で始まる
あの夏の日の記憶だ
雫
殺したのは隣の席の
いつもいじめてくるアイツ
いつもいじめてくるアイツ
雫
もう嫌になって肩を突き飛ばして
打ちどころが悪かったんだ
打ちどころが悪かったんだ
雫は震えた声で話してくれた
昔の海斗
……………
俺は雫になんて言えばいいのか 分からなくて無言で聞き続けた
雫
もうココには居られないと思うし
雫
どっか遠いところで死んでくるよ
雫が笑顔でそう言った瞬間俺は
昔の海斗
それじゃあ俺も連れて行って
迷惑かもしれない だけど雫を1人で死なせたくない
雫
…………
雫
いいよ
雫は優しい声で「いいよ」 と言ってくれた
昔の海斗
ありがとう。それじゃあ必要な物を
色々用意しないとな
色々用意しないとな
雫
うん。私1回帰って用意してくる
昔の海斗
わかった
雫が1回家に帰り
昔の海斗
さてお金は必要だよな
財布を持って
昔の海斗
死ぬにはナイフが必要だな…
キッチン
昔の海斗
ナイフを持って
あ、暇つぶしに
昔の海斗
携帯ゲームもカバンに詰めて
よし、雫の家に行こう
雫の家の前
雫
早かったね
昔の海斗
うん。まぁな
雫はすでに家の前に立っていた
雫
うん。あ、ちょっと待って
雫
いらないものは全部壊していこう
昔の海斗
ん。あの写真も
ビリビリ…((破る
雫
あの日記も((ビリビリ
いまとなっちゃもういらないさ
昔の海斗
よし、行こう
雫
うん
人殺しと君と僕の旅だから
海斗
そして僕らは逃げだした
この狭い狭い この世界から
お母さん
あ、雫!どこ行くの!!
家族も
結衣
あれ?雫と海斗じゃない?
クラスの子
あ、本当だ!おーい雫!海斗!
雫
海斗逃げるよ
クラスの奴らも
昔の海斗
おう
お母さん
あ、ちょっと!待ちなさい!!
全部捨てて君と2人で
昔の海斗
なぁ、雫
雫
なに?
遠い 遠い
昔の海斗
誰もいないとこで
昔の海斗
2人で死のうよ
雫
……………
もうこの世界に価値などないよ
雫
や、やっぱり私…だけで
雫
私があの子を
殺しちゃったのが原因だし
殺しちゃったのが原因だし
昔の海斗
何言ってんの?
雫
え?
昔の海斗
人殺しなんかそこら中に
湧いてるじゃんか
湧いてるじゃんか
君は何も悪くないよ
昔の海斗
雫は何も悪くないよ
雫
うん。ありがとう。
雫
疲れたしちょっと休憩しよう
昔の海斗
うん
公園
雫
ねぇ私達が仲良くなったきっかけ
雫
覚えてる?
昔の海斗
覚えてるに決まってんだろ
昔の海斗
俺達昔と変わらないな
雫
うん
結局僕ら誰にも 愛されたことなどなかったんだ
昔の海斗
そんな嫌な共通点で
昔の海斗
俺ら簡単に信じ合ってきた((ギュ
君の手を握った時
雫
……………
微かな震えもなくなっていて
昔の海斗
さ、そろそろ行こう?
雫
うん