ク ー ル な あ の 子 は シ ス コ ン ら し い

そう満足げに言う焦凍。 私は苦笑いを浮かべる。

入学前、自分でデザインした コスチューム案を、

焦凍に見せたら 何度も却下された。

露出が多い、体のラインが 分かりやすいなど。

氷に耐性があるとは言え 体は冷えてしまうので、

焦凍に進められてポンチョの ようなデザインになった。

短いズボンから覗く太ももに 視線をやる焦凍。

いつから過保護になったんだか。

ルールを要約すると、敵が アジトに核兵器を隠していて、

ヒーローは敵を捕まえるか 核兵器を回収すれば勝ち。

敵は核兵器を守りきるか ヒーローを捕まえれば勝ち。

制限時間あり。 ペアはくじで決める。らしい。

波乱の1戦目が終わり、

緑髪の男の子が ロボットに搬送される。

観覧席からは 音声が聞こえなかったが、

どうやら対戦相手とは 面識があったらしい。

建物がボロボロになったので 場所を移し、

講評が終わり次第、 2戦目へ。

そう肩を軽く叩くと 焦凍は頷いた。

そして戦闘が開始した瞬間 建物全体が凍りついて、

2戦目は呆気なく 終わってしまった。

と、焦凍は建物の氷を "左"で溶かし始めた。

そう、焦凍の個性は 「氷結」じゃない。

轟焦凍。個性：半冷半燃。

その実力は学年内でも 上位に入る。

誰よりも余裕があるように 見えるけれど、

実際のところ彼が1番 焦っているんだと、

私は知っている。