強い証明、大音量の音楽、うねりのような歓声
既に数曲を歌い終えた会場は、ファンの熱気で溢れかえっている。
歓声を上げるファンに応えるメンバーは、 内心あることに気を取られていた…
仏
初兎
ないこ
ないこ
まろ
初兎
ないこ
ないこ
朝、色を失って白い顔であらわれた アニキ。
フラフラしていて危なっかしく、見ていられなかったないこがソファへ運んで寝かしつけた。
りうら
りうら
元気よく楽屋入りしたりうらも、ソファの前に集まるメンバーと、そこで眠る人影を見つけて声を低くする。
初兎
りうら
りうら
ないこ
まろ
仏
心配そうなメンバーは、後ろ髪を引かれる思いで悠佑とないこを楽屋に残し、練習を始めた
そして、今
この曲が終われば、子供組だけの歌となり、大人組には一旦休憩が与えられる
『この曲さえ終われば』
その気持ちは皆同じだった
不意に、アニキがよろけるのが視界の端に入った。
ないこ
思わず駆け寄ろうとして踏みとどまった。
しっかりアニキの横に立って、彼を支える頼もしい赤髪に、ないこは笑みを浮かべた。
ないこ
ボソッと呟いて、自身のパフォーマンスに全集中力を向ける。
一曲を無事に終え、りうらの手からアニキを受け取って舞台を降りた。
悠佑
悠佑
ステージの上ではそれでも元気に振る舞っていたアニキは、袖から近いトイレにフラフラと倒れ込んだ。
胃の内容物を止めどなく吐き出す姿はステージで見る何倍も小さく見えた。
ないこ
ないこ
悠佑
ないこ
ないこ
悠佑
まろ
ないこ
ないこ
まろ
ないこ
悠佑
ないこ
悠佑
ないこの手からペットボトルを受け取って口を濯いだアニキは、別人のように生き生きしていた。
固まる2人を置いて袖へ向かうアニキは、いつもの頼もしいアニキであった。
まろ
ないこ
ないこ
顔を見合わせて笑った2人は、アニキを追いかけてステージへ飛び出した…
この後、テンションが上がってはしゃぎ過ぎたアニキが高熱を出してみんなに叱られるのはまた別のお話。