白銀色の世界
目を覚ますとここにいた
冷たい空気
凍ってしまいそうだ
靄を掻き分け進んでいくと
梨香
…!
梨香
あぁ、寝ちゃった。
梨香
まだ、終わってないのに。
机の上には〈鏡の国のアリス〉の原稿
中学校最後の発表は、私と新井君の書いた脚本でするのだ。
新井君が〈不思議の国のアリス〉私が〈鏡の国のアリス〉
私は正直、アリス役をやりたかったが、オーディションに落ちて脚本係になってしまった。
梨香
今週中には完成させないと。
梨香
新井君はどこまで進んだのかな。
〜翌日〜
梨香
あ!新井君!
新井
よぅ。どうした?
梨香
脚本、どこまで書いた?
新井
あぁ、もう終わったよ。
梨香
え?早くない?
新井
俺は天才だからな。
梨香
そうですか…。
新井
で?お前は?
梨香
全然。
梨香
どうしたらいいのか皆目見当もつかないよ。
新井
ま、頑張れよ。
梨香
ま、頑張りますか。
3日後、私はなんとか脚本を書き終えた。
正直、力作だ。
新井
あ、終わったんだ。
梨香
まぁね、私は天才ですから。
新井
もうこれで、俺らは何もすることないな。
梨香
そうだねー。
梨香
ちょっと寂しいかも。
新井
そうだな。
新井
あのさ、
新井
俺、多分お前のことが
新井
…嫌い
梨香
は?
新井
俺、もうすぐ学校来なくなる。
梨香
なんで?
新井
なんとなくわかる。
新井
そうすれば、お前に合わなくて済むから、
新井
ラッキーだな。
梨香
そうですか。
梨香
良かったですね!
次の日から
新井君は本当に来なくなった。