桃赤
ご褒美は4
赤
気がつくと
俺は一緒にお酒を飲んでいた
あの男に支えられ
街中から外れた夜道を歩いていた
赤
そう言って男は
俺の腰当たりを
いやらしい手つきで触ってくる
俺を舐めるように見る
視線も気持ち悪くて
慌てて目をそらす
その一瞬で酔いが覚めて
さぁっーと血の気が引いた
このまま家に連れていかれたら
まずい、いやかなりまずい気がする
何とか男から離れようと
自力で立とうとするが
お酒のせいで全然体に力が入らない
赤
泣きそうになりながら
歯を食いしばると
前方から声がかかった
桃
聞きなれた声にびっくり顔を上げると
何故か制服姿の桃くんが
怪訝そうな顔で立っていた
赤
俺がちゃんと送ってくか、
桃
桃くんは吐き捨てるように言うと
男からぐいっと俺を引き離す
そして今までに見た事のない顔で
男を睨みつけ、低い声で言い放った
桃
イケメンの怒った顔は
大層怖いようで
男はビビりながら去っていった
赤
赤
一気に肩の力が抜けお礼を言うと
人が通るかもしれないのに関わらず
桃くんは俺を無言で抱きしめている
桃
桃
赤
桃
赤
桃
桃
桃
赤
何故かいい大人が道端で
高校生に怒られるという始末
俺がしゅんとしていると
桃くんの綺麗な顔が急に近づいてきた
桃
桃
赤
赤
何言ってるんだこの子は
思わず仰け反ると
ふらっと体が傾き
彼の腕にまた抱きとめられる
桃
赤
彼を睨みつけ顔を上げると
瞳が妙に真剣で
何故か逸らせなくなった
淡い青の、綺麗な瞳
桃
桃
桃
桃
桃
その瞳が波だって
無意識に彼の頬に触れてしまった
小さい頃から忙しい両親の元
中々甘えることが出来なかった彼
そんな顔させるつもりなんて....
なかったはずなのに
なんだ、俺はもうとっくに
目の前の彼の魔法に
かかってしまっていたようだ
めいっぱい背伸びをして
俯いている彼の服の裾を引っ張ると
ふわりと少し火照った桃くんの頬に
自身の唇を触れさせた
すると桃くんの目が丸くなって
ボンッと顔が真っ赤になった
赤
赤
赤
桃
赤
ぐしゃぐしゃ髪を掻き回す彼に
俺が満足気に笑っていると
首筋に顔を寄せられて
耳をぺろっと舐められて
ビクンと肩を震わせてしまう
赤
桃
赤
俺が顔を真っ赤にして
何も言えなくなっていると
自身の唇を少しぺろりと舐め
ニヤリと笑いながら手を伸ばされる
桃
赤
桃
赤
桃
赤
桃くんに首筋や太腿をまさぐられて
俺はもうキャパオーバー
そしていつの間にか唇を奪われていて
後頭部を固定され角度を変えながら
俺の反応を楽しむようにキスしてくる
でも1人でまだ立つことが出来ないので
彼にされるままだ
でも嫌という訳じゃなくて
ちろりと口内に入ってくる
彼の分厚い舌も受け入れてしまう
桃
赤
途中で誰かの足音が聞こえて
唇を離そうとすると
薄暗い建物の間に押し込まれた
そしてまだ足りないというように
唇を食べられてしまうんじゃないか
くらいの深くて甘いキスをしてくる
苦しくなって彼の胸を叩くと
名残惜しそうに離れていく
そしてまた俺の顔中に
キスの雨をふらせてくるものだから
慌てて彼を制す
赤
赤
桃
桃
桃
桃
赤
赤
桃
赤
そう呟きながらジュっと首筋を吸われる
頭がふわふわして
目の前の彼のことしか考えられない
桃くん、彼の名前を呼ぼうとした途端
ふわりと体が浮いた
俺を姫抱きにしてどんどん夜道を
歩いて行く彼。
赤
桃
赤
桃
桃
桃
''桃くんの欲しいものはなぁに?''
桃
桃
''....どうして?''
桃
桃
桃
''..........''
''....寂しくは、ない?''
桃
桃
人は変わる生き物だから
変化を大事にするものだから
母親の車の中で聞く
ベタなラブソングも
なんだかよく分からない
純愛ドラマも
人を好きになることも
何も、分からなかった
恋愛だなんて
くだらない、煩わしい
そう思ってた
はずなのに
赤
そんな俺に
欲しいものが出来た
赤
お金じゃ買えないし
赤
全然なびかない
赤
そんな人
君が現れて
全てが変わった
初めて欲しいと思った
初めてこの人のそばに居たい
隣に並びたい
そう思った
恋愛不感症みたいな俺は
誰かと共に一生を過ごすなんて
ありえないと思ってたのに
こんなに欲を掻き立てられる
やっと
やっと手に入れた
俺の、俺だけの赤
隣ですぅすぅと無防備に眠る
彼の吸い付くような綺麗な頬に
手を伸ばすと
んん、と少し声を漏らすので
胸の中で愛おしさが溢れて
そっと彼のおでこにキスをする
口では嫌々言いながらも
身体は正直で
俺を求めてくる姿は
想像していた何百倍も可愛くて
理性を切れさせるには
十分すぎる程だった
赤
赤
初めて繋がったとき
真っ赤な顔で恥ずかしそうに
でも大きな目に涙を浮かべて
不安そうに聞いてくる彼は
少しでも力を加えたら
呆気なく壊れてしまいそうで
なぜだか俺も泣きそうになった
だから
何度も何度も目の前の彼の
名前を呼んで好きだよ、
そう伝える俺は少し
カッコ悪かったかもしれない
貪るようにキスをする俺に
彼は必死に好きだと
愛を返してくれた
幸せだった
本当に幸せな時間だった
彼の綺麗な髪を撫でていると
長いまつ毛がぴくりと動いて
大きな目がゆっくり開かれていく
赤
名前を呼ばれた
ただそれだけの事なのに
嬉しくて嬉しくて
彼をぎゅっと抱きしめると
そのまま安心したのか体重を預けてくる
赤
まだ眠そうに笑う赤
そのぬくもりにじんわり目の奥が
熱くなって誤魔化すように
更に彼を強く抱きしめる
でも俺の大好きな彼は
とうにお見通しのようだった
赤
桃
桃
赤
桃
赤
赤が真っ赤な顔をして
俺をポカポカ叩くと
肩までかかっていた毛布が
パサリと落ちて華奢な肩が露になる
その白い肌にはいくつものキスマーク
桃
赤
慌てて毛布を頭までかぶり
そっぽを向く赤を丸ごと抱きしめる
桃
赤
潤んだ目で俺を見つめる瞳と
目が合って音もなくお互いの
唇を何度も重ねる
桃
赤
赤
桃
赤
こんなクソみたいな人生だったけど
神様はいると思う
赤
だって君という愛おしい
小さな幸せをくれたんだから__、
𝑒𝑛𝑑
皆さんお待たせしましたぁぁあ! タップ300越えですね笑 お疲れ様、そしてお久しぶりです((( いやあのですね、 最近ほんとに忙しくて....(´;ω;`) 週一投稿出来なくなっちゃうかも、 なんですけどよろしくお願いします 頑張ったので感想待ってます(((