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第1話 - あ

2023年11月04日

#恋愛

結城　真矢

ショウヤ

ねえ、アオ

ショウヤ

明日の昼ぐらい、少し電話してもいいかな？

アオ

え？お昼は無理だよ

アオ

だって、アメリカだと深夜になるもん

アオ

留学中は、緊急じゃない限りはメッセージにして、って言ったじゃん

ショウヤ

それは、そうだけど...

ショウヤ

でも、アオと話したいんだよ

ショウヤ

ダメ？

アオ

今、留学先の大学のテスト期間なの

アオ

ただでさえ授業のペースについて行くのに精いっぱいなんだから、無理だよ

ショウヤ

たったの5分とかでもいいからさ

ショウヤ

お願い

アオ

5分、とか言って大抵伸びるじゃん

アオ

ショウヤのたったの5分、は信じられないから

ショウヤ

そんな、冷たくしなくてもいいじゃん

ショウヤ

俺は、甘えたいのに...

アオ

ごめん、悪いけど...

アオ

私、初めての留学で、なかなか周りのペースにもついていけなくて...

アオ

今、必死で授業についていこうとしているところなの

アオ

だから、あんまり気が緩むようなことは、したくないんだ

ショウヤ

そんな、悩んでるんだったら相談してくれればいいじゃん

ショウヤ

なんで、いつもそうやって1人で頑張ろうとするんだよ

ショウヤ

俺ら、恋人じゃないの？

アオ

そんなこと言ってるんじゃなくて...

アオ

私は、今はただ自分のペースを乱したくないだけ

アオ

勉強の方に集中したいの

ショウヤ

まるで、俺がアオにとって邪魔みたいな言い方じゃん

ショウヤ

そんなに、俺といることが嫌なの？

アオ

だから、そうじゃないって

アオ

私も、ショウヤのことは好きだよ

アオ

でも、もう少しだけ、我慢して欲しいの

ショウヤ

アオは、1人で頑張りすぎなんだよ

ショウヤ

悩んでたり、困ってたりしてたら俺はその話を一番に聞いてあげたいのに

アオ

帰ったら、沢山話そうよ

アオ

あと2カ月の辛抱だから

ショウヤ

そうやって言うけど、留学してる間、1回も電話できてないじゃん

ショウヤ

そんなに俺と話したくない？

アオ

だから、そういうわけじゃないの

アオ

本当に、悪いけど許して

アオ

今は、自分のことで頭が精いっぱいだから

ショウヤ

そうかよ

ショウヤ

分かった

ショウヤ

じゃあ、勉強頑張って

～2か月後～

マミカ

アオ、もうすぐ帰国だね

アオ

うん、やっと帰れるよ

アオ

大変だったけど、めちゃくちゃ成長はできたと思う

マミカ

充実させれて、本当によかったね

マミカ

具体的な帰国日は、いつになる感じ？

アオ

3日後に航空券が取れたから、3日後に日本に着くよ

マミカ

そっか！

マミカ

会えるの、楽しみに待ってるね

～2日後～

アオ

ショウヤ、私、本当にがっかりしたよ

アオ

まさか、マミカと浮気してるなんて...考えてもなかった

ショウヤ

アオが悪いんだろ

ショウヤ

留学で大変だった気持ちはわかるけど、俺の電話には一切答えてくれなくて...

ショウヤ

それで、お互いの気持ちつなぎ留めれるとか、考えてたの？

アオ

私は、ショウヤのこと信じてた

アオ

今日も、せっかくサプライズで1日早く帰国して、びっくりさせようと思ったんだよね

アオ

それで、合いかぎ使って中に入ったら、マミカと一緒にいたじゃん

アオ

ほんと、最低だよ

ショウヤ

最低なのはどっちだよ

アオ

え？

アオ

浮気しておいて、私にも悪いところがあるとか言いたいの！？

ショウヤ

そうだよ！

ショウヤ

俺が電話したい、って言っても、なかなか許してくれないし

ショウヤ

たったの5分でもダメなんて、そんなのケチすぎるだろ

アオ

それは理解してくれてると思ったのに

ショウヤ

理解しようと、努力はしたよ

ショウヤ

でも、何度お願いしても、無理、しか言わなかったじゃん

ショウヤ

俺のこと、そんなに大事に思ってなかったんだろ？

アオ

そういうことじゃないって！

ショウヤ

じゃあ、少しでも頑張って努力して、

ショウヤ

俺のこと好きだ、っていう態度を見せてくれたらよかったじゃん

ショウヤ

そしたら、俺もまだ納得はできてたと思うよ

アオ

2カ月我慢して、って言ったら分かった、って言ったのはそっちじゃん

ショウヤ

我慢したよ

ショウヤ

でも、2カ月なんて長いと思わないのか？

ショウヤ

俺と話せなくて、アオは我慢できた、ってことは、

ショウヤ

アオは俺のこと、そこまで好きじゃない、ってことじゃん

ショウヤ

だから、もう俺たち終わりだろ？

アオ

あっそ、分かった

アオ

もう、終わりだね、私たち

～1週間後～

マミカ

ねえ、アオ

マミカ

お願いがあるんだよね

アオ

何？

マミカ

あのさ、私とショウヤ、結婚することになったの

アオ

は？ちょっと待ってよ...

マミカ

まあ、最後まで聞いてよ

マミカ

ショウヤがアオと別れたのは、アオがショウヤとの時間を作ろうとしなかったからなの

マミカ

それで、ショウヤは結局、愛情表現してくれる私のことを選んでくれたの

マミカ

それに対しては、別に文句ないでしょ？

アオ

文句とか、別にそういうこと言いたいわけじゃないけど

アオ

ショウヤも、気持ち入れ替えるのが早いな、って思っただけ

マミカ

あ、なんだ

マミカ

そういうことね

マミカ

じゃあ、私たちのことは応援してくれるんだね

アオ

別に、そんなことは言ってないんだけど

マミカ

まあいいや

マミカ

あのね、お願い、っていうのは、

マミカ

アオに結婚式を開くためのお金を貸してほしい、ってことなの

アオ

は！？私に！？

マミカ

うん

マミカ

実は、結婚式を開くのに、資金が少し足りなくてさ

マミカ

色んな友達に連絡して、少しずつ借りてるところなの

マミカ

それで、アオも信頼できる親友の1人だからさ

マミカ

お願いしてみよう、と思って

アオ

ちょっと待ってよ

アオ

元カノに、そんなこと頼むの、おかしいと思うんだけど

マミカ

元カノになろう、って決めたのはアオの方でしょ？

マミカ

別れる、って合意したのも納得してるんでしょ？

マミカ

なら、もう私たちの結婚のことは認めてくれてもいいじゃん

アオ

結婚に反対してるんじゃないよ

アオ

浮気して、私に謝罪もしてないのに結婚式のためのお金を貸してほしい、なんて...

アオ

そんなこと、納得できるわけないじゃん

マミカ

じゃあ、納得しなくてもいいから、お金貸して

マミカ

今、本当に困ってるの

アオ

困ってるとか、知らないけど...

アオ

私は、マミカとショウヤとは縁切ったつもりでいるから

マミカ

何それ...

マミカ

いくら何でも、縁切る、っていうのはないんじゃないの？

アオ

え？何で？

マミカ

何でって...

マミカ

ショウヤと浮気したのは悪かったけど、でも6カ月付き合ってきたんじゃん

マミカ

それを。そんな簡単に...なかったことにできるの？

アオ

できるよ

アオ

別に、もうお互いに思い合ってるわけじゃないんだし

アオ

私のことなんて、2人にとってはなんでもない人でしょ

マミカ

私、そこまで言ってないじゃん

マミカ

なんだ

マミカ

せっかく、アオのことも誘って仲良く友達のままでいようと思ったのに

アオ

私、友達に戻れるなんて思ってないから

アオ

だから、もう連絡もして来ないで

マミカ

分かった

マミカ

じゃあ、結婚式の招待状も作らなくていいね

マミカ

じゃあね

～1週間後～

マミカ

大変！アオ！

アオ

何？

マミカ

何って...アオもきっと知ってるでしょ！？

マミカ

ニュースで報道されてる結婚式場が、いきなり倒産したってやつ...

アオ

あ～今見てるよ

アオ

最近結婚式上げる予定だった人が、いきなり連絡もできなくなった、って苦情言ってるね

マミカ

この結婚式場、私とショウヤも契約してたところなの...

アオ

え？そうなんだ？

マミカ

私達、もうすでにお金も払ってて、準備を進めてたところなの

マミカ

なのに、今朝いきなりこのニュースをテレビで見て...

マミカ

もう、びっくりするしかない...

アオ

まあ、びっくりするだろうね

アオ

残念だったね、結婚式挙げられなくて

マミカ

まだ、式を挙げないとは言ってないでしょ

アオ

え？式、挙げれるの？

マミカ

アオに、新しい式場を見つけるのを手伝ってほしいの！

アオ

は！？何で私！？

アオ

2人のことなんだから2人で進めればいいじゃん

マミカ

ショウヤも、協力してくれてるけど...

マミカ

予約がいっぱいで、なかなか受け入れてくれるところがないの

マミカ

だから、お願い！

アオ

知らないよ

アオ

2人のことなんだから、2人でどうにかすればいいじゃん

アオ

っていうか、ショウヤの友達から聞いたんだけどさ

マミカ

え？何を？

アオ

ショウヤ、結婚式は挙げないから、って招待した人に言って回ってるらしいよ

マミカ

え！？何それ！？

マミカ

聞いてないんだけど！

マミカ

だって、ショウヤとは新しいところ、2人で見つけようね、ってお互いに合意してたのに

アオ

それ、本当に聞いたの？

アオ

うん、マジみたいだよ

マミカ

そんな...私はこんな必死になって新しい結婚式場、探してるのに...

アオ

婚約者のマミカに一番に言わないなんて、よっぽどショウヤから信頼されてないんだね

アオ

残念だったね

マミカ

アオに、そんなこと言われたくないから！

マミカ

ショウヤにフラれた身で、そんな偉そうなこと言わないで

アオ

私、ショウヤと別れててよかった～って思ってるよ

マミカ

え？なんで？

アオ

最近分かったんだけど、ショウヤ、結婚式で借りたお金、

アオ

少しずつ飲み会のお金に使ってるらしいよ

マミカ

え！？それ、マジで言ってるの！？

アオ

うん、それも、ショウヤの友達から聞いたんだけどね

アオ

この前、飲み会にショウヤのこと誘った時に、

アオ

「俺、今お金持ちだからおごってやるよ～って酔っぱらいながら言ってたらしくて」

アオ

そのお金が、結婚式開くために借金したお金だってこと、

アオ

その場にいる友達の大声でばらしたんだって

マミカ

嘘...何それ...

マミカ

ありえないんだけど

マミカ

道理で、最近一緒にご飯に行く回数が減ったと思った...

アオ

その時に、ショウヤもお酒入って、日頃のマミカへの不満が止まらなかったらしくて...

アオ

色々、愚痴ってたみたいだよ

マミカ

え？例えば...？

アオ

詳しくは聞いてないけど...

アオ

例えば、マミカが2人でご飯にいくことばかり求めてきて、束縛が強い、とか...

アオ

あとは、家に帰ってきても甘えてきてめちゃくちゃうっとおしい、とか...

アオ

そんな感じ？

マミカ

だって、ショウヤが甘えてくることが多かったから、そうして欲しいのかな、と思ったのに...

アオ

マミカも、空気読めないところあったんじゃない？

アオ

この空気で言うこと？って思うことでも、遠慮なく言っちゃうからね

マミカ

そんなに、私やばいこと言ってるかな？

アオ

ショウヤの前では、どうだったか知らないよ

アオ

ただ、結構イライラしてたみたいだよ

アオ

マミカの過剰な愛情表現と、束縛に

アオ

だから、ショウヤもそれが爆発して、飲み会に行く回数が増えたんじゃないの？

マミカ

え...どうしよう...

マミカ

私、ショウヤがいないとこれから生活なんて、していけないよ...

アオ

そういうところだよ

アオ

相手に依存しすぎちゃうの、あんまり良くないよ

マミカ

私の方が、全面的に悪い、って言うの？

アオ

そんなこと言ってるわけじゃないけどさ...

アオ

でも、ショウヤはもう結婚式のことは諦めてるみたいだし

アオ

もう一回、2人でお互いの子と話す時間取った方がよくない？

マミカ

言われなくても、そうするし！

マミカ

アオに頼った私がバカだった

アオ

そうだね

アオ

私に頼ることじゃないでしょ

アオ

あとは、2人で頑張って

～後日談～

アオ

その後、2人の今後のことを話した結果、結婚式を開きたいマミカと、

アオ

ショウヤの間で意見が食い違い、うまくいかなくて破局したみたいです

アオ

マミカはしばらくの間、彼氏を作らず1人でいることにするようです

アオ

一方で、ショウヤは飲み会で使いすぎたお金を補填するため、

アオ

バイトに明け暮れる毎日であることを聞きました

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結城　真矢

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