葡萄組は釣り合わない

sit side

ｶﾞﾗｶﾞﾗ(扉を開ける音)

体を起こして俺は扉を開けた人物を見る

それはやっぱり、

緑斗だった。

え？

え…？

まさか緑斗、先輩殴る気？

…止めなきゃ

下手したら退学になりかねない

俺のせいで緑斗が退学になるのはっ！

足が痛いのなんて今はどうでも良かった

扉を開けてそのまま廊下に出る

確かに見る限り緑斗が勝っている

じゃあなんで？

なんでそんなに言葉が途切れ途切れになってる？

ああ、そうだ

彼もクリーパーだった

ryo side

緑斗の目の色が変わった

白目のところが黒く染まり、緑はより暗くなる。

…反転目

昔どこかで聞いたことがある

「クリーパー」が出る、と。

クリーパー、それは何でも人を傷つける生き物

全ての人を傷つける生き物

クリーパーを正常な状態に戻すことができるのは、

クリーパーが一番大事に思っている、

その人だけだ

下手すればこの学校丸ごと壊れるだろう

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

反転目が 揺れた

sit side

俺にしか止められない、と直感で分かっていた

彼の目が揺れたあの瞬間から

人ならな、

だけど俺は、生憎クリーパーだ

知らなかったんだろう

恐れられると思ったんだろう

唯一の家族に嫌われると思ったんだろ

なあ俺はお前を恐れねぇよ

馬鹿野郎

仲間も意味を思い出すかのように緑斗は目を閉じる

これだ、と思った

ここを逃したらもう戻れない