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幽霊が話を聞かない

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幽霊が話を聞かない

1 - 幽霊が話を聞かない

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2019年07月26日

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眩しい光を顔に浴びて手で顔を覆う。

暫く覆っていたが次第に光に慣れてきた為目を開けると面前に見知らぬ男性がいた。

部屋は間違いなく私の部屋で、しかしその男性は全く1ミリも知らない人。私は寝起きでボヤけた頭を一気に覚醒させ男性を恐怖の目で見詰めた。

もしかしたら泥棒かもしれない。 人の家に侵入し起きてから甚ぶり殺すつもりだったのかも。 そして一家惨殺してから金銭を奪う…なんて非道な男性だろうか。とどんどん妄想を膨らませていれば、

見知らぬ男性

あの、目覚めてますか?

相田

ひゃっ!?

見知らぬ男性

あー…すみません…びっくりしましたよね?

相田

は?え…あの…まぁ…そりゃあ

見知らぬ男性

ですよね

男性の瞳が緩やかに細められ、目尻にシワが出来る 口元が上がり人の良さそうな笑顔を浮かべた。 何故だかわからないがこの男性が泥棒な訳がないと否定する私がいた。

見知らぬ男性

こんなこと、君みたいな女の子に言うの変な感じなんだけれど…実は幽霊なんです

相田

え?幽、霊?

まさかの想像斜め上をいく回答。 確かに泥棒ではないとは考えたが幽霊だなんて誰も思うわけない。

見知らぬ男性

そう。昨日心霊スポット行った場所にいた幽霊です。

相田

心霊…ってあの廃墟の?

指田

雰囲気出てるね…

相田

怖い、ね…

指田

でも夏休みだしって乗り気だったでしょ?近所に幽霊が出る廃墟があるって教えたとき行きたいって言ってたの誰だっけ?

相田

う…それは私ですが…。

指田

そういうこと。結構古いから足元気を付けてね

日本の一般住宅地には不釣り合いな立派な洋館が出来たのは、私が産まれるずっと前。 ロンドンの夫婦が日本に引っ越してきてこの場所に大きな洋館を作った。しかし数十年前に夫婦が亡くなり住む人がいなくなり洋館は次第に寂れた廃墟となった、らしい。

相田

…出そう、だよね

指田

見た目からして出そうじゃない?
中は結構真っ暗ね…昼間にきて正解だったかも。

相田

…一応懐中電灯も持ってきてよかった。昼間でも暗闇なんて耐えられない

指田

行きたいとか言っていた癖に。
まぁ…確かに雰囲気で怖がるのもわかるけれどね

相田

っわ!床が外れた!

指田

ああ、古いから気を付けてって言ったのに!怪我はない?

相田

うん…平気…でもない…かも?

指田

え?!…わ、血が出てるじゃない?!馬鹿!あーもう!気を付けろって言ったのに!

相田

すみません…

指田

仕方ないから帰るよ。家で治療しないと細菌入ったなんて言ったら洒落になんない

相田

…はい

相田

…昨日の廃墟…?え、入り口までしか行ってないのに?すぐに怪我して引き返したのに?

見知らぬ男性

ああ、怪我は大丈夫ですか?

相田

あ、はい…それは、まぁ…大丈夫です。友人が素早く手当てしてくれましたので…。ありがとうございます…?

見知らぬ男性

それはよかった。ところで本題なんですが…

相田

え…ちょっと待ってください?幽霊?貴方幽霊なんですか?俄には信じがたいといいますか…

見知らぬ男性

ああ、そうですよね。すぐには信じてくれないですよね…?
これ、みてください

男性はやはりニコニコと笑みを浮かべ、身近にあったローテーブルへ手を伸ばす。

テーブルへ触れると思っていた手はすり抜けテーブルの裏側から出ていた。まるでマジックを間近で見ている様な感覚を覚える。 しかし良く見ると男性は太陽光に照らされ体が微かに透けていたのだ。

相田

…ひぇぇ

見知らぬ男性

信じてくれましたか?

相田

え…その、信じたくないです…

見知らぬ男性

信じてくれたのですね!ありがとう。本題なんですが

相田

ひぇぇ…勝手に話を進められるよぉ…

見知らぬ男性

成仏できないんですよ、僕

相田

は、はぁ…

見知らぬ男性

波長が合う人をずっと待っていたんです。そしてやっと見つけました。それが貴女なんです

相田

は、はぁ…

見知らぬ男性

どうか僕を成仏させてください

相田

は、はぁ…はぁぁぁ?!

相田

ちょっ!無理!無理です!私別に霊媒士とかじゃないですし!
どう考えたって普通の女子ですし!

見知らぬ男性

暫く貴女に憑かせていただきますね。よろしくおねがいします

勝手に話を進められ、勝手に成仏させられる方向へもっていかされ、更には憑かれることになるなんて…。 私は心霊スポットに行ったことに今更ながら後悔する。

見知らぬ男性

あ、ちなみに僕伏屋って言います

相田

知らないですし!どうでもいいですし!!

伏屋

よろしくお願いしますね

相田

勝手に話を進めないでぇぇ!

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