デイリー・クロニクル新聞社
受付の男
受付の男は、落ち着いた声で言った。
ルシア
ルシア
受付の男
受付の男
ルシア
ルシア
ルシア
受付の男が皮肉気に笑う。
受付の男
受付の男
受付の男
受付の影
受付の影
受付の影
ルシア
ルシア
ルシア
私はぼーと呟いて、直後、ブチ切れた。
ルシア
ルシア
激情に反して、熱はない。
脳は冷たく冴えわたり、思考だけが冴えていく。
私は受付カウンターの奥へ視線を向けた。
新聞社の人間がせわしなく働く作業スペース。
そこで、ひとりだけ机に肘をつき、爪を磨いている女がいる。
淡い栗色の髪をゆるく巻いた、砂糖菓子みたいな女だった。
影の声に耳を澄ます。
嫉妬、虚栄、独占欲。
ルシア
私は女を指さした。
ルシア
ルシア
ルシア
ルシア
一瞬、空気が凍り付く。
三人の男たちが、アイコンタクトで、私の言葉が事実だと確かめ合う。
次の瞬間、新聞社は修羅場になった。
怒号と罵声、悲鳴と弁解が入り乱れ、紙束が宙を舞う。
ルシア
ルシア
ルシア
ルシア
私が言い捨てた言葉は、誰も聞いていなかった。
いつの間にか、喧騒は刃傷沙汰に発展している。
刃物を持った男が、傷だらけの男に取り押さえられているのが見えた。
私は荒れ果てた新聞社を後にした。
ラグナーク邸は、王都の北区にある。
左右の門柱に据えられた、牙を剥いた獣の石像に迎えられた。
ルシア
門扉には棘のような装飾が絡みつき、何だかものものしい。
正面玄関へ続く道の両脇には、黒薔薇の低木が並んでいた。
整然とした庭は、美しい。
一方で、すべてが出来過ぎていて、作り物めいた不気味さも感じる。
ルシア
ルシア
ノッカーを鳴らそうとしたとき、違和感を覚えた。
ルシア
ルシア
――そのときだった、男の悲鳴が響き渡った。
男の声
知らない声だ。
ルシア
私は門を押し開け、敷地の中へ踏み込んだ。
窓の外から中の様子を覗き込む。
玄関ホールでは屋敷の使用人たちが倒れていた。
外傷はない。薬で眠らされているようだ。
眠っていない人間は、三人だけ。
暗殺者の男
暗殺者の男
暗殺者の女
暗殺者の女
暗殺者の男
暗殺者の男
黒装束の男女二人組。
肌を刺すような空気を纏っている。
見るからに堅気の人間ではない
その足元には、膝をついた男。
モルドン
モルドン
モルドン
顔面蒼白、涙と鼻水で顔がグチャグチャだ。
あれが、醜聞王モルドン・グレイだろう。
ルシア
明らかに、暗殺の現場だった。
ラグナーク
螺旋階段をコツコツと音を立てて、男が一人、降りてくる。
黒幕公爵、ラグナーク様だった。
ラグナーク
公爵様が邪悪な笑みを浮かべた。
暗殺者の男女二人組が公爵様と目を合わせる
暗殺者の男
暗殺者の女
まるで長年の友のように公爵様に笑みを返す。
公爵の目はモルガンに向く。
ラグナーク
ラグナーク
ルシア
ルシア
ルシア






