テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
瑞浪(みずは)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
春の陽射しが窓から差し込む中、私は緊張しながらドアを開けた。
「ガラッ」と言う音と共に、新しいクラスメイト達の視線が一気に集まる。
先生
先生の掛け声で、再び私へと視線が集中する。
〇〇
私が頭を下げると、疎らな拍手が静かな教室に響いた。
〇〇
私の心の内も知らず、再び教室は静寂に包まれた。 そんな静寂を打ち破ったのは、やはり先生であった。
先生
先生に釣られて指された方向に目をやると、隣の席の“つゆもくん”とやらと目が合った。
︎︎ 一瞬だが、時が止まった気がした。───
先生
先生に声を掛けられハッとした。 一体どのくらいの時間、彼を見詰めて居たのだろう。きっと、ほんの一瞬なのだろうが。
〇〇
自身の失態を隠す用に教壇を足早に離れ、指定された席へと身を預ける。
一息つくと、先生がホームルームの進行を再開した。もう皆の視線は私には無い。 しかし、私の視線は先生に向いていなかった。
〇〇
先程の事が脳裏にこびりついて離れず、気が付けば私の視線は“つゆもくん”に張り付いていた。
そんなに見ていたら当然、見られる側は気付く様で、つゆもくんもまた私を横目に気にしている様子だった。
けれどもそんな事に気が付かないほど、彼はキレイなのだ。 艶のある黒髪に赤色のメッシュ。整った容姿。スラリとした手。そしてなにより───
〇〇
つゆも
予期せぬ発言に、彼は素っ頓狂な声を上げる。 そしてそれを予期していなかったのは、私も同じなのである。
〇〇
急いで自身の口を手で塞ぐ。 嘘。声に出てた? そんな考えが頭を駆け巡り、動揺を隠せずにいた。
先生
気が付けばホームルームは終了していて、生徒たちが各々羽を伸ばしている様子が伺える。 かく言う私はと言うと、なんとか弁明をしないと。と言うことで頭がいっぱいであった。
〇〇
謝罪の言葉と共に頭を深々と下げた。 何も言わない彼に不安を抱き、恐る恐る顔を上げると、彼は俯いて小さく肩を震わせていた。
〇〇
私がもう一度謝罪の言葉を述べようと口を開くと、そんな心配も他所につゆもくんは吹き出し、ゲラゲラと笑いだした。
つゆも
きっと私はこの時、鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていたと思う。
つゆも
可愛らしい見た目とは裏腹に、豪快な態度の彼に私はすっかりペースを呑まれていた。いや、元から呑まれていたのかもしれない。
〇〇
つゆも
眩しい笑顔を向ける彼に、私の心臓は不覚にも脈打ったのであった。
つゆも
気持ちのいいほど真っ直ぐに私を捉える彼の握手の誘いに、私はのる以外の選択肢は無かった。
続く。
*
*
*