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焦げ臭いにおいが鼻につく。 人の焼死体が置いてある。 そんな中、生ぬるいコンクリートを裸足で走った。 裕福な家ではあったと思う。 父も母もギャルブルはしなかった。 兄は…したけれど、生活が苦しむようなものではなかった。 歯車が狂い出したのは、いつだっただろうか。 いや、明確か。 兄が交通事故で死んだ時だ。 つまり言えば薬でラリって運転して死んだらしい。 俺には関係のないこと。そのはずだった。 あの馬鹿が、車にあんなもの乗せていなければ。 両親は詐欺師だった。人から金を騙し取り生活する。 足がついてこなかった。なのに、警察はどうやら有能らしく、両親は捕まった。 だからこそ、俺は失望した。 詐欺師の親を持つ子を迎え入れたいという、物珍しい人はいないらしく、親戚の家をたらい回しにされた。 もう、俺の人生は終わるのだと思った。 そんな時、父の弟…叔父が迎え入れてくれると俺に手を差し伸べた。 俺は手を取る。今思えば、これが一番いけなかった。 取らなければよかった。 叔父は優しく俺を導くと地下へと連れ帰った。 それはもう地獄だった。 檻に入れられ、暴力を振るわれた。 叔父を見れば、生意気だと腹を蹴られ、顔に大きな傷をおわされた。 叔父の彼女に煙草の火を向けられた時、屈辱で死にたくなった。 それくらい。地獄だった。 血腥い臭いとズキズキと痛む傷、流れ出したと思ったら止まらない血。 全てが俺を狂わせた。 なんとなく、その時に個性が芽生えた気がした。 火を見ると、操りたくなった。 だから、希望をかけて彼女の煙草を大きくしてやった。 燃えろ。燃えろ。全て燃えて無くなれ。 そんなことを思いながら、火力と大きさを上げていく。 彼女は悲鳴を上げながら焼け死んで行く。一酸化炭素中毒にもならずに純粋な炎に焼けて死んでいく。 程なくして、彼女を助けに来た叔父も燃えて行く。 口角が上がる。やっと、やってのけたのだ。殺したい奴を殺せたのだ。 二人が燃え終わり、個性を解除しようとした。 その時。ドンッと音がなった。 警察だと思った。ヒーローなんて頭になかった。 だから、だから、彼が来た時びっくりした。 炎の中を進んでくる。 可笑しい。火傷して、焼け死ぬはずなのに。 向けられた手はまるで叔父を彷彿とさせた。 俺じゃない誰かに向けた鋭い瞳は叔父を彷彿とさせた。 なのに、なのに、可笑しいんだ。 こんなにも、高揚したことは人生で初めてだ。 罪を犯した。人を殺した。 だから、もしかしたら、この人に殺してもらえるのではなかと、心臓がバカみたいに動いて仕方が無い。 手を取った。 殺した事がバレて、少年院に入れられた。 でも、彼に会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。アいたい。アいたい。アいたい。 あいたい。あいたい。あいたい。 そうだ。 逃げよう。そしたら、追ってきてくれるかもしれない! そんな子供心を身に宿したまま、少年院から逃げた。 簡単だった、全部焼けばいいだけだったから。 全部、全部。焼いて終わり。 それだけだ。 会いに来てくれなかった。 彼はやっぱり、ヒーローで俺に割く時間なくてなくて、まずまず血陰関係もない一介の子供に割くは時間はなくて。 気が狂ってしまいそうで……。 でも、それでもよかった。いつか会いに来てくれるなら、それでいい。 その時に、躊躇しないで殺して貰えるくらいのヴィランになろう。 そう思ったのが、始まりだった。
殺そうとしても、良心が働いた。 この人は、なにもしてないじゃないか。 ヴィランに必要の無い気持ちのせいで、罪を犯せずに21歳になった。
夜はいい。 逃げ隠れしやすい。 けど、夏は蒸し暑くて仕方が無い。 だから、体を冷やすつもりでコンビニに入った。 そしたら、そこで夏雄と会った。 すごくいい奴だと思った。 こいう奴が幸せな世界をヒーローは守っているのだろうと感じた。 …それだけ。俺はヒーローじゃないから、夏雄の幸せなんざ作れない。 離れなければ行けなかった。なのに居心地が良くて…。 離れられなかった。
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