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第1話 - あ

2024年01月04日

#恋愛

結城　真矢

リク

いい加減にしろよ！ちょっと買い過ぎじゃないか？

ミク

何を？

リク

ワインだよ

リク

もう、棚がいっぱいになってきたし

リク

空き部屋にも、置き始めてるじゃないか？

ミク

いいじゃない。空いてる部屋があるんだから

リク

でも、子供が産まれたら子供部屋にするんだから

リク

ずっと空き部屋なんかじゃないからね

ミク

わかってるわよ。そんなこと

ミク

ワインを集める趣味も、子供が産まれたらやめるわ

リク

本当にやめられるの？

ミク

どうしてよ？

リク

ワインのテイスティングだとか言って

リク

休みの日にはずっと、飲んでるじゃないか？

リク

みた感じ、簡単に飲酒を止められそうになさそうだけど？

ミク

そんなの、私が止めるって言ってるんだから

ミク

止められるのよ。今じゃないけどね

リク

ところで、ワインにお金をかけ過ぎてるんじゃないの？

リク

僕はよくは知らないけど、一本で100万円以上のワインもあるんだろ？

リク

さすがに、そんなに高いワインを買ってるとは言わないけど･･･

ミク

何よ！ちゃんと、私のお給料の範囲内で買ってるわよ

リク

君のバイトの給料でまかなえてるの？

ミク

そうだって、言ってるじゃない！

リク

本当かな？

リク

たまに１ダース単位で海外から輸入してるじゃないか？

ミク

それが？

ミク

そんなの、大した額にはならないわよ

リク

それに、年に一回はフランスやイタリアまで

リク

買い付けに行ってるじゃないか？

リク

旅費とかも高いんじゃない？

ミク

何よ！今日は色々うるさいことを言ってくるわね！

ミク

暇なの？

リク

つい最近の、君のワインの買いっぷりが

リク

限度を超えてきたから、気になってきてね･･･

リク

友達と話をしてたら、おかしいんじゃないかって

リク

言われたりするんだよ

ミク

何よ！あなたの友達のほうがおかしいんだから！

ミク

ワインは手の届く範囲の金額でしか買ってないし

ミク

旅費は格安のチケットで行ってるんだから

リク

そうだったらいいんだけど･･･

～三日後～

カイ

なぁ、お前の嫁会社を辞めたんだってな

リク

え？何だって？ミクが会社を辞めた？

リク

嘘だろ？ミクは会社に出勤すると言って

リク

毎日朝から出て行ってるよ

カイ

うちの嫁の友達が、お前の嫁と同じ会社で働いてるって

カイ

前に言ったよな？覚えてるか？

リク

うん。そう言えば、そうだったかな･･･

カイ

それで、お前の嫁の話題も結構出るんだってさ

リク

俺の嫁の噂話か？

カイ

それが、どこの御曹司と結婚してるんだって

カイ

みんな興味深々らしいよ

リク

どうして、そんな話になってるんだ？

カイ

年に一回はヨーロッパ旅行だろ、それに普段は一本何万円かの

カイ

ワインを飲んでるって言ってたそうだから

カイ

一般家庭の奥さんじゃ、無理だろ？

カイ

そうじゃなきゃ、お金持ちの愛人がいるんじゃないかってね？

リク

愛人だって？そんな素振りはないみたいだけど･･･

カイ

じゃあ、会社を辞めたのに毎朝どこに行ってるんだよ？

リク

うちの嫁が会社を辞めたのって、確かな話なのか？

カイ

ああ、間違いないね

リク

そんな、あいつどこに行ってるんだよ？

～翌日～

リク

毎朝僕より先に出て行くけど、どこに行ってるんだ？

ミク

どこにって、会社に行ってるわよ

リク

君が会社を辞めたって聞いたんだけどな

ミク

誰に聞いたのよ？

リク

いいじゃないか、誰でも！

リク

会社を辞めたんだろ？

リク

どうして、毎朝出社してるなんて嘘をついてたんだ？

ミク

すぐには、言い出せなかったの

ミク

あなたを心配させたくなくて･･･

ミク

毎朝、出かけたのは、ハローワークに通ってたからなの

ミク

すぐに転職できるって、自信もあったし

リク

ところで、どうして会社を辞めたんだ？

ミク

私、パートだから給料が少ないじゃない？

ミク

だから、もうちょっと多く稼ぎたいなと思って

リク

扶養範囲内で働くって言ってたけど

リク

それだったら、事情が変わってくるよね？

リク

結婚した時に決めたじゃないか

リク

仕事をしても扶養範囲内にするって

ミク

それは分かってるんだけど･･･

リク

なんだか、君のやってることって、ちぐはぐだよね

リク

聞いたんだけど、普段一本数万円もするワインを飲んでるだって？

リク

まさか、そんなに高いワインを飲んでるなんて思わなかったよ

リク

生活から変えた方が節約になるんじゃない？

リク

旅行だって、国内にとどめたら？

ミク

そういうわけにはいかないのよ･･･

リク

ワインは輸入してるんだから、わざわざ海外に買い付けに

リク

行かなかくてもいいじゃないか？

ミク

私はただ、ワインを買い付けたり飲んだりしてるだけじゃないの

ミク

本場の農園に行って、今年のブドウの出来を見たり

ミク

一緒にワインを作っているっていう醍醐味を味わいたいの

リク

子供が産まれたら、止めるんだろ？

リク

止めれるんなら、今止めたほうがいいんじゃない？

ミク

子供ができるまでは、自由にさせてよ！

リク

もう、十分だろ？

リク

結婚してから３年も好きなことをしてきたんだから

リク

暇なんだったら、料理教室にでも通いなよ

リク

料理が上手なほうじゃないんだから

～一週間後～

カイ

お前の嫁のことなんだけど

カイ

どうして会社を辞めたか知ってるか？

リク

いや、知らないよ

リク

嫁に毎朝どこに行ってたか聞いたんだけど

リク

ハローワークに行ってたんだって

カイ

お前、そんな話を真に受けたのか？

リク

えっ？どういうこと？

カイ

うちの嫁に聞いたんだけど、こんなこと言っていいのか･･･

リク

なんだよ、もったいぶって

カイ

なんでも、不倫でトラブったみたいだよ

リク

うちの嫁が？まさか、そんな…

カイ

会社の上司との不倫がばれて

カイ

その上司の奥さんが会社に乗り込んできたらしいぞ

カイ

すごい騒ぎになったそうだよ

リク

奥さんが乗り込んできただって？

カイ

そうなんだよ

カイ

奥さんが旦那の出張が多いから不審に思って

カイ

会社に電話したら、欠勤扱いになってて

カイ

それがきっかけでバレたらしいんだよ

リク

どうして、浮気相手がミクだって思ったんだろうか？

カイ

奥さんが、おかしいと思って

カイ

旦那の入浴中にラインの内容を見たらしいんだよ

リク

それだけじゃ、ミクが相手だって分からないだろ？

カイ

奥さんを信じたい気持ちも分かるんだけど･･･

リク

それで、どうしたんだよ？

カイ

それが、フルネームで登録されてたんだって

リク

うちの嫁に間違いないのか？

カイ

会社の人が、事実確認をして

カイ

間違いないと分かったそうだよ

リク

そんな･･･

カイ

それで不倫相手は左遷されて、奥さんはクビになったそうだ

リク

ミクは自分から会社を辞めたって、言ってたのに･･･

カイ

そんなこと、普通自分から不倫が原因で会社を辞めたなんて

カイ

言えないだろ？

リク

それは、そうだけど･･･

リク

ショックだよ

リク

俺はミクを信用してたのに･･･

カイ

俺もお前にこんなこと言いたくなかったんだけど

カイ

ちゃんと真実を知っていたほうがいいと思ったんだ

カイ

これは忠告なんだけど、お金の流れを確認しとくべきだよ

カイ

お前の嫁の金遣いが荒いから、ちゃんと調べたほうがいいよ

リク

忠告、ありがとう

カイ

それで、どうするんだ？

カイ

不倫相手とは別れただろうし･･･

リク

そんなこと、許せるわけないじゃないか！

リク

もちろん、離婚するよ！

カイ

まあ、そうなるよな

カイ

また、何かあったら協力するよ

リク

よろしく頼むよ

～翌日～

リク

知ってるんだからな！お前が会社を辞めた理由

ミク

へ？

リク

会社の上司と不倫して、クビになったんだってな！

ミク

どうして、そのことを？

リク

世間は狭いよな。友達に教えてもらったんだ

ミク

確かに、私は間違いをおかしてしまったわ

ミク

でも、もう終わったことだし

ミク

あなたは優しいから、許してもらえるわよね？

リク

どうして、そう思うんだ？おかしいだろ？

リク

許せるわけないじゃないか！

ミク

そんな！私は仕事を失ったし

ミク

家まで失くしてしまったら、どこへも行けないじゃない！

リク

実家へ帰ったらいいじゃないか？

ミク

両親になんて言ったらいいのよ？

リク

正直に、不倫が原因で別れたって言えばいいじゃないか？

ミク

ひどい！私の両親は厳しいから、勘当されてしまうわ！

リク

そんなの、自業自得じゃないか

ミク

許してよ！何度でも謝るから！

リク

俺が怒ってるのは、不倫についてだけじゃないんだ

リク

家のお金だって言って、貯金してたよな？

リク

残高を教えてくれないか？

ミク

それは、その～

リク

言えないだろ？

リク

そんなものは、どこにもないんだからな！

ミク

どうして、そのことを？

リク

お前が貯金しているっていう銀行に行って

リク

調べてもらったんだよ

リク

そうしたら、取引がないって言われたんだ

リク

それだけじゃない

リク

俺が独身時代から貯めていた金を遣っただろ？

ミク

えっ？

リク

黙ってたら、分からないとでも思ってたのか？

ミク

確かに、あなたの貯金を遣ってしまったのは悪いと思うわ

ミク

でも、すぐに返せる額だもの

リク

そんなわけないだろ！お前の金銭感覚はどうなってるんだ？

リク

500万円あったけど、それをほとんど遣ってしまってるじゃないか？

リク

簡単に返せる額じゃないじゃないか？

ミク

私、つい最近精神的に不安定なの

ミク

それで、週に一回心療内科に通院してるの

リク

それと、貯金を遣ってしまったことと

リク

何の関係があるんだよ？

ミク

心理的に不安定だから、返済はしばらく待って欲しいの

ミク

それと、離婚しないでくれない？

ミク

そんなの、辛くて耐えられないわ

リク

何を言ってるんだ！俺のほうが耐えられないよ

リク

子供の頃からコツコツ貯めていたお金まで

リク

あっという間に遣われていたんだからな！

ミク

ごめんなさいって、言ってるじゃない

リク

お前の両親には俺から話しておくよ

リク

それで勘当になっても、仕方ないじゃないか？

リク

それだけのことをしでかしたんだから

ミク

両親には、そのことを話さないで欲しいの

リク

そういうわけにはいかないよ

リク

それに、お前が離婚に承諾できないのなら

リク

弁護士に頼むことにするよ

ミク

お願いだから、大事にはしないで！

リク

無理だよ。俺の独身時代からの貯金と

リク

今までの家のお金の貯金分は返してもらうよ

リク

合計で1000万円にはなると思うから

ミク

そんなお金なんて、ないわよ！払えないわ！

リク

それだけ遣いこんだんだから、返すのは当たり前だし

リク

払える額だから遣ったって、さっき言ってたじゃないか？

ミク

悪かったわよ･･･

ミク

私は心療内科に通うほど、精神が弱ってるの

ミク

そのことを考慮に入れてよ

リク

弁護士に相談しておくよ

リク

ところで、仕事はクビになったようだし

リク

まずは、ワインを売って現金に換えてもらうからね

ミク

そんな･･･。苦労して集めたワインなのに･･･

リク

同情の余地もないね

ミク

ごめんなさい。悪かったから

ミク

せめて、返済額を少なくしてよ･･･

リク

無理だね！

ミク

そんな…

～後日談～

リク

ミクは離婚後実家に帰ろうとしましたが、不倫が原因の離婚

リク

多額の借金を抱えているということで、けじめがないからと

リク

謝金が返済できるまで、実家に戻ることを許されませんでした

リク

ワインを売ったことで、500万円が帳消しとなりましたが

リク

あと半額を返すために、海外に出稼ぎに行きました

リク

長時間労働で辛いらしいですが、返済の近道には違いないみたいです

リク

俺はというと、500万円を返してもらったのをきっかけに

リク

そのお金で企業することにしました

リク

夢が一つ叶い、日々幸せを感じています

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結城　真矢

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