ヒロインだけが正義じゃない

あははは

って、楽しそうな声

…ずる

高校で出会った2人

良家の次期当主でイケメンな彼と

地味で内気なヒロイン

孤独だった2人がお互いに惹かれ合い 結ばれる

彼のために可愛くなったヒロイン

とてもとても素敵なお話

その子を羨ましがる周りの女はみーんな悪者

もしもその周りの女の誰かが嫉妬したら

彼や友人達はヒロインを守ってその女をこらしめる

すべてはヒロインの幸せを守るために

好きな人と結ばれたヒロインに嫉妬することも許されない

少女漫画のようなすてきな話

酷いなぁ、って思う

そりゃあさ、ヒロインに怪我させたりしたならやばいかもだけどさ

悪者の女の子だって、ヒロインと同じように彼が好きで

なのに自分は選んでもらえなかった

だから嫉妬してるだけなのに

辛いのに、 目の前でヒロインと彼が仲睦まじくしている姿を見せられて

そりゃあ嫌がらせの1つや2つしてやりたくなるわけで

なのに彼らはヒロインだけを正義と決めつけてそうじゃない女の子を冷たい目で見る

どうやったってヒロインじゃない子は報われなくて、

そんなのおかしいじゃん

ヒロインになれなかっただけで

その人に想いを寄せることすら許されないなんて

おかしいじゃん

私だって、彼と一緒に過ごしたかった

同じ時に入学していれば

同じ時間を過ごしていれば

彼の隣に立っていたのは私だったかもしれない

2人が仲良く並んで歩いているのを見ることしかできない私にはならなかったかもしれない

隣に並べなくとも、彼の友達になれたかもしれない

一緒に過ごしてみたかった

ずるい

あの子だけ

私だって、五条さんと並びたい

あの輪の中に混ざりたい

たった3年、私が早く生まれただけなのに

あの子と私、どうしてこんなにも違うの

ずるい

ずるい

醜い嫉妬心で頭の中がいっぱいになって

いつも私たちは見送ることしかできない

私も戦って、いっその事死ねたらいいのに

そんでもって、呪いにでもなって

2人とも呪ってやる

そのくらいしないと、気が済まない

ここで全てを手に入れたあなた達

何も手に入れられなかった私

死んだ後なら、何しても構わないよね

××××年×月××日

1級呪霊の任務補佐についた補助監督

呪霊の攻撃に巻き込まれ死亡

死後呪霊に転じ

街で暴れる

等級は1級以上、特急未満

特級術師、五条悟により祓われる

呪霊は絶え間なく

何か言葉を発していた

私を見て

強くなった私を

これで、私を愛してくれる？

いつも悪役にされる子達

べつに、そんな事したかったわけじゃない

ただ見て欲しかった

羨ましかった

一概に彼女たちだけが悪いとは言えないのかも