不良転校生

僕は昔からみんなに期待されてきた

だからこそ、その期待を 裏切っちゃいけないって思ってた

別に成績が少し落ちたところで 友達にバカにされることも 家族に何か言われることもない

ただただ愛想笑いされるだけ。

いつもそう自分に言い聞かせてきた

僕は頑張ることしか出来ない

優秀な僕でいなきゃ、 僕はそれしか取り柄がないんだから

ﾋﾟｺﾝｯ

まただ

最近こんなのばっか。 みんな本当の僕なんて知らないで 好意を押し付けてくる

『才能』

みんな僕の努力は知らないで いつもそう口にする

努力してなきゃ今頃底辺なのに

でもみんなの理想でいなきゃ きっと僕は誰からも嫌われる。

だから僕は優秀な自分を作り上げた

ｶﾞﾗｶﾞﾗ…ﾊﾞﾀﾝｯ

橙くんには、知られたくない

きっと本当の僕を知ったら ガッカリされちゃうだろうから

意外だ… 3人の中ではしっかりしてる方だと 思ってたけどちゃんと勉強してるんだ

まさか橙くんに教わることになるとは… この人本当に不良ですか？

ﾆｬｱ~

橙くんは 僕にないものいっぱい持ってるな

噂をすれば…

こんなにワクワクした気持ちになるの いつぶりかな

※ここからはメールのやり取りです

えっ！？

ちょっとそれは…

でも、すっごい楽しみ

なんやかんやで当日

ｶﾞﾀﾝｺﾞﾄﾝ…

満員電車ですし気のせいですよね

ｻﾜｯ

いや絶対おかしい こんなあからさまに当たらないでしょ！

橙くん気づいてないよね

ｷﾞｭﾑｯ(耳を塞ぐ

ﾊﾟｯ

助かった〜…タイミング良く着いて

学校じゃそんなに変わらないですし！

誰かとおそろいなの 初めてだからなんか嬉しい

こんな調子で僕達は一日中 遊びを満喫した

こんなに楽しくて自分を出せたのは いつぶりだっただろうか

ほんとにそう心から望んだ

でもそんなこと有り得る訳もなく 時間は良い事と悪い事 どちらも引連れて進んでいくものだ

この時はまだそんなこと 考えてもいなかった

〜おまけ〜

黄ちゃんどうしたんやろ

ｷﾞｭﾑｯ(耳を塞ぐ

顔真っ赤にしちゃって

ｸﾙｯ

ﾊﾟｯ

誰にも渡さない

絶対俺のものにしてやる