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本作品は、DV、及び性的虐待等の描写が含まれます 苦手な方は自己防衛お願いします。
受け 山本結斗 ヤマモト ユイト 17歳 攻め 瀬戸ケン セト ケン 27歳
夕方、人の少ない店内に一人の男が入ってきた。
スーツ姿だが、ネクタイは緩く、 ワイシャツのボタンも一つ開いたまま。
金髪で、遊び慣れたような雰囲気の人
結斗
結斗
言葉は出たが、声はかすれて視線も合わなかった。 バイトに入ってもう2ヶ月 接客には慣れたはずだが男の目線が刺さる
男は俺の顔をみてわずかに口角を上げて言った。
ケン
そう呟き、席に座った。
結斗
ケン
結斗
男はメニューよりも俺の指先や 前髪で微妙に見えない俺の瞳をじっと見つめる。
結斗
結斗
俺はそう言って背をむけた。 いや、少し避けたんだ。
ケン
ケン
まるで獲物を値踏みするような発言が 微かに俺の耳に届いた。
コップに水を注ぎながら 結斗は自分の手を眺める。
手が震えて、氷が揺れる音が聞こえた。
結斗
そう思いながら、コップを両手で持ち カウンターに向かった。
視線を上げれないまま、結斗は そっとコップを置いた。
ケン
結斗
名前を呼ばれた瞬間、指がピクッと動き コップに当たってしまった。
結斗
ふと視線を上げると、男は笑っていた。 目は細くなっているのに、その奥が冷たい。
ケン
ケン
言葉は優しいのに、その声のトーンは 明らかに楽しんでいた。
震えてるのは手だけじゃなく、 声も喉も膝も、全部。
結斗
震えた声でそういいながら 伝票とペンを持った。
ケン
ケン
ケン
結斗
結斗はなにも言い返せなかった。 だが、肩がわずかに縮こまった。
ケン
そう言って椅子にもたれ掛かり足を組んだ。
ケン
ケン
その一言で結斗は喉がひくりと動いた。 図星だった訳じゃない、でも、その空気に呑まれ からだが勝手に反応してしまう。
ケン
ケン
結斗
男の声はずっと穏やかだった。でも、一つ一つの発言が 逃げ道のない檻のように結斗を囲っていった。
震える手で、また伝票とペンを持った。
ケン
結斗
思わずそう声が出た。
ケン
ケン
ケン
結斗
男はゆっくり立ち上がり、 ポケットから小銭を取り出した
代金はないはずなのに、何枚かの硬貨を テーブルに並べた。
ケン
そう言って俺の胸元にある名札をもう一度見た。 それは名前を呼んでいる目じゃなくて、 記憶に刻み込んでるように見ていた。
ケン
そう言って、店内から静かに消えていった。
結斗
制服を脱いだ結斗は、裏の休憩スペースで 静かに息を吐いた。
時計を見ると、いつもより体感で ずっと長いバイトだった気がする
ロッカーの扉を閉めたとき、 同じ時間にシフトに入っていた先輩に声をかけられた
先輩
先輩
結斗
先輩
先輩
先輩
笑い混じりに言われた言葉に なにも言えなかった。 でも…
結斗
その言葉が、変にリアルだった。
いつものようにハンガーに制服をかけて ベッドに横になった。
あの男が頭から離れない。 名札を見ただけなのに、名前を口にした。 それが妙に嫌なほど、頭のなかでうるさい。
無意識にスマホを取り出し、検索欄を開いた。
「山本 高校」「山本 飲食店」 そんなワードが頭に浮かんだ。
結斗
そう思いながら、布団に潜った。 目を瞑っても男の顔は忘れられない。
結斗
深夜0時過ぎ ケンはバスタオルを肩にかけたまま ソファに倒れ込んだ
髪をタオルで雑に拭きながら スマホをロック解除した。
「山本 ○○市」 「山本 ○○(バイト先名)」
画面に残っていた検索履歴を見て ふと笑みを浮かべた。
ケン
ケン
初めて見る顔、名前は名札で苗字だけ 年齢も知らないし、性格も曖昧
ただ、たった数分の会話…いや やりとりにもならなかったやり取りで 確かに彼への興味は植え付けられていた。
ケン
ケン
ケン
足を組み直し、 どこかで冷静を保とうとしている自分と 興奮を抑えきれない自分が葛藤していた。
ケン
夜は静かに更けていく だが、ケンの中ではもう物語が始まっていた。