桃と初めてあったのは
海だった
足に波を打ち寄せさせながら 何処か遠くを見つめていた
悲しそうな思い詰めた横顔をみて 思わず俺は声をかけてしまった
橙
なぁ、何しとるん、?
桃
…、別に関係ないじゃん
橙
凄く思い詰めた顔しとる
橙
俺は、それが気にかかっただけ
桃
見ず知らずの人間じゃん、
橙
見ず知らずの人間やから
何話しても大丈夫やろ、?
何話しても大丈夫やろ、?
桃
おに~さん、面白いね、w
初めて見た笑顔は 花が咲くみたいな笑顔で
風で髪がふんわりと揺れて
橙
…名前、なんて言うん、?
桃
桃。 桃の花の桃!
橙
…え~名前やな、
橙
桃にピッタリな名前や、(撫
桃
んへへ、ニコッ
打ち解けるのに時間はかからなくて
お互いが惹かれあってきたのも 時間が経つにつれて 分かってきていた
しばらく連絡をとっていなかった
そんな矢先に来た 青からの電話
。。病院に来い それだけだった
嫌な予感しかしなかった
橙
桃ッ,!!
青
橙裙…、桃裙はッ…、
桃
す~ッ、す~ッ…
たくさんの管を体に着けて 酸素マスクをつけられて 静かに眠っている君がそこにいた
橙
なッんで…、
青
桃裙は、病気を持っててッ…、
゛もうすぐ、死んじゃうんだ ゛
橙
…は?
橙
やって、そんなこと一言もッ…!
桃
じぇ、…る…、?パチッ
橙
桃ッ?!
桃
橙 、 好 き 、 だッ た よ … ?
橙
俺もやからッ…!やからッ…!
桃
… あ り が と 、 ご め ん な 、
桃
大好き
橙
桃ッ、桃…?
青
橙裙ッ、どいてッ!
すぐにナースコールを押して 手術室へと運ばれていく彼女の姿
俺は呆然とみつめる事しか出来なくて
しかも親族である青しか 最後を見届けることが出来なかった
青
桃くんは…、幸せだったよ、
橙
ほんまに、そうかなぁ…
青
そ~だよッ…、ニコッ
苦しそうに笑う青は なにか隠しているような気もして
でも俺は 桃を失った悲しみで そんな些細な変化にも気づくことが出来なかった
俺は 桃が死んだことを確認していなかった
だけど青の言葉を信じて 死んだと【思い込んでいた】