数日後、ついに月宮水雫が登校してきた
その姿を見つけた神風、詩音、黎の三人は、彼女のもとにすぐ駆け寄った
水雫はいつもの穏やかな微笑みを浮かべていたが、どこか以前とは違う、少し遠く感じるような表情だ
天野神風
おい、水雫!いきなり休むから、こっちも心配したんだぞ?
月宮水雫
あ…ごめんなさい
月宮水雫
ちょっと体調崩しちゃって…
水雫は軽く頭を下げ、申し訳なさそうに微笑んだ
だが、その笑顔がどこかよそよそしく感じられ、三人は少し違和感を覚えた
秋山詩音
大丈夫?
秋山詩音
無理して学校来たんじゃない?
月宮水雫
ううん、もう元気だから心配しないでね
彼女はそう言って少し目を伏せた
その姿が、なぜか隠しごとをしているようにも見える
神風がさらに一歩近づき、探るように問いかけた
天野神風
なあ、本当のところ、何があったんだ?
天野神風
なんか、隠してんじゃねぇか?
神風がさらに一歩近づき、探るように問いかけた
水雫は一瞬だけ驚いたように神風を見つめたが、すぐに笑顔を取り戻して軽く首を振った
月宮水雫
本当に、ただの風邪だったのよ
月宮水雫
だから心配しなくて大丈夫
黒崎黎
お前、嘘は下手だな
黒崎黎
顔に出てるぞ?
詩音もじっと水雫を見つめ、
秋山詩音
俺たちに話せないことがあるなら、別に無理に聞こうとはしないけど…
と優しく言った
しかし、水雫はゆるく微笑むだけで、心の内を見せようとしなかった
月宮水雫
ほんとに大丈夫だから…皆も心配しすぎだよ
その言葉に、神風が少し苛立ったように声を荒げる
天野神風
俺たちだって、ただのクラスメイトじゃねぇんだぞ?
天野神風
もうちょい頼ってくれたっていいだろ!
その瞬間、水雫の表情がほんの一瞬だけ曇ったように見えた
しかし、次の瞬間には再び穏やかな顔に戻り、微笑んだままで答えた
月宮水雫
ありがとう、でも本当に大丈夫だから
それ以上問い詰めようとする神風を、詩音と黎が軽く肩に手を置いて止めた
秋山詩音
分かったよ、水雫ちゃん
秋山詩音
無理に聞こうとしてごめん
秋山詩音
でも、俺たちはいつでも話を聞く準備があるからさ
黒崎黎
ま、話したくなったらいつでもどうぞってことだな
水雫は三人に軽く頷いて、また微笑んだ
しかしその笑顔は、どこか触れることのできない透明な壁で覆われているように見えた
三人はそれぞれがその壁を感じながら、どうにかして彼女の心の内を知りたいと強く思った