気付いた時にはもう遅くて /安太
坂 口 安 吾 。
なんででしょうね。
坂 口 安 吾 。
こうも哀しいのは、
病室のベッドのすぐ横 その横には 横になって眠る一人の青年と その青年の手を強く 握るもう一人の青年の姿
坂 口 安 吾 。
花、取り替えてきますね。
つい先程まで 金木犀の香りが漂っていた 記憶もある。
「ねぇ、全部聞こえてるよ。」 「好きだよ。」 「君は居なくならないでね。」
何処からかそんな声が聞こえたような気がした。 だけど君、いや 太宰くんは眠ったまま。
坂 口 安 吾 。
まるで、眠り姫ですね。
「 。」
「 。」
坂 口 安 吾 。
さてと。次はどんな花にしましょうか。
「そうだ。桜桃にでもしよう。」
「全く、君らしいね、(笑)」
その次に来た時には、 桜桃と一緒に 花瓶の隣に 置き手紙が置いてあった。
⟬ 居なくならないでね ⟭
その隣には少し 癖のある字でそぅっと
⟬ 君こそね。 ⟭
そう書いた。
❦ℯꫛᎴ❧
歌詞引用⬇ SKETCH/秋山黄色 様 から。