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西暦二ー三八年現在
DMMO-RPG という言葉がある.
〈Dive Massively Multiplayer Online Role Playing Game〉の略称であり
サバイバー技術とナノテクノロジーの粋を集結した脳内ナノコンピューター網──ニューロンナノインターフェイスと専用コンソールとを連結。
そうすることで仮想世界で現実にいるかのごとく遊べる体感ゲームのことである。
つまりはゲーム世界に実際に入り込んだごとく遊べるゲームのことだ。
数多開発されたそんなDMMO-RPGの中に、燦然と煌くひとつのタイトルがある。
Y G G D R A S I L 《ユグドラシル》
それは十二年前の二ー二六年に、日本のメーカーが満を持して開発したゲームであった。
ユグドラシルは当時他のDMMO-RPG と比較しても「プレイヤーの自由度が異様なほど広い」ゲームだった
基本となる職業{クラス}の数は基本職と上位職を合わせると ゆうに2000を超える。
職業はどれも最大で一五レベルまでしかないために、総合レベルの限界である100レベルに到達するまでに少なくとも七つ以上を重ねることになる。
さらには前提条件さえ満たしていれば「つまみ食い」も可能。
やろうと思えば非効率ではあるが一レベルの職を100重ねることだって可能だ。
つまりは意図的に作成しない限り寸分たがわぬキャラクターは出来ないように作られたシステムだった。
外装{ビジュアル}だって 別売のクリエイトツールを使用することで、武器防具の外見や内包するデータ、自らの外装、保有する住居の詳細な設定なども変化させることが出来た。
そんな世界に旅立ったプレイヤーに待ち構えていたのは広大なマップ。
アースガルズ、アルフヘイム、ヴァナヘイム、ニダヴェリール、ミズガルズ、ヨトゥンヘイム、ニヴルヘイム、ヘルヘイム、ムスペルヘイムの九つの世界。
広大な世界、膨大な職業、自らでも弄れそうな外装。
そんな日本人のクリエイト魂にニトロをぶち込むような弄りがいこそ、後に外装人気とも言われる現象を生み出す。
そうした爆発的な人気を背景に、日本国内においてDMMO-RPGと言えばユグドラシルを指すものだもいう評価を得られるまでになった。
──しかし、それも一昔前のことである。