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誤字あったらすみません🙇♀️
どうやら橋の先で工事が行われているらしく、車の長い列が橋まで続いている。
これでは先に進めない────
女はハンドルを切ってUターンすると、道路を逆走した。スピードを上げ、向かってくる車の間を次々とすり抜けていく。
女の車を追っていた安室は、前方でクラクションがけたたましく鳴っているのに気づいた。次の瞬間────逆走する女の車が見えた。
安室 透(バーボン)
日照雨 遥(ブラン)
驚く間もなく、女の車がRXー7の横をすり抜ける。女の車は対向車をかわしながら左巻きの上り坂を走った。
カーブを曲がり終えて直線道路に出ると────道路の中央に赤のマスタングが停まっているのが見えた。道路に真横に停めた車のボンネットの上で、赤井が二脚をつけたライフルを構えてスコープを
覗き込んでいる────。
キュラソー
赤井のコードネームを口にした女は、不敵な笑みを浮かべた。
キュラソー
女はシフトレバーを握ってギアをシフトアップすると、アクセルを踏み込んだ。
赤井 秀一
スコープを覗いた赤井はフーッと大きく息を吐き、人差し指をトリガーにかけた。 スコープの十字線の中心に女の額を合わせる。
すると、ハンドルを握った女はニヤリと笑い、頭を下げた。女の頭がダッシュボードに隠れてしまった。
スピードメーターを振り切った女の車がマスタングめがけて突き進む────!
赤井は目を細めると、スコープの十字線を運転席から右前輪に移し、引き金を引く。赤井が放った銃弾は右前輪に命中し、パアァァンと乾いた破裂音が響いた。
コントロールを失った女の車が左右に揺れ、女は体を起こしてハンドルを握り直した。猛スピードで横滑りした車はすれすれでマスタングをよけたかと思うと、側壁に激突した。
バウンドして反対の側壁にぶつかった女の車はスピンしながら逆走した。その先には女の車に体当たりされた軽自動車と車体の後ろ半分が壁の外に投げ出された
タンクローリーが停まっている────
女の車に激突された軽自動車がタンクローリーを押し出した。三台の車が次々と壁の外に追いやられて落下する。
女は落下する車からすばやく脱出し、海に飛び込んだ。三台の車が次々と海沿いの倉庫の上に落下したかと思うと、ドオォォンと大きな爆発音がした。
爆風が押し寄せて黒煙が橋の上まで舞い上がり、周囲の明かりが次々と消えていく。
吹き飛んだガレキが水中に潜っていた女の周りを沈んでいった。女が海面を見上げた瞬間────
巨大な鉄柱が頭に激突、女は口からゴホゴホと息を吐き、鉄柱とともに沈んでいった────。
キュラソー
マスタングの奥から赤井がゆらりと立ち上がると、逆走してきたRXー7が斜め前で急停車した。
車から飛び出した安室は崩れた側壁走りより、倉庫街からもうもうと立ち上がる黒煙を呆然と見下ろした。
安室 透(バーボン)
RXー7の助手席に乗っている日照雨もこちらを睨みつけている。
安室が一歩踏み出したとき────遠くからサイレンが響いた。振り返ると、橋の向こうから赤いパトランプが血がづいてくるのが見える。
安室は拳をギュッと握り込むと、赤井をにらみつつ車に戻って行った。そしてギャギャギャ…とタイヤを高速回転させて去っていく。
RXー7があっという間に小さくなると、赤井はポケットから取り出したスマホを操作した。数回の呼び出し音の後、FBI捜査官のジェイムズが出た。
ジェイムズ・ブラック
赤井 秀一
ジェイムズ・ブラック
赤井 秀一
赤井は電話を切ると、マスタングにすばやく乗り込んだ。
首都高の下では、爆発した倉庫に駆けつける消防車や救急車の姿が見えた。倉庫の近くにあった変電所も爆発で破壊され、湾岸一帯は闇に包まれていた。
サイレンをけたたましく鳴らしながら通過する消防車の脇を、ふらふらと歩く女の姿があった。
全身ずぶ濡れになった女は、荒い呼吸をしながら細い路地へと入っていく。ふらついて壁に手をついた女は、ボロボロになったジャケットを脱ぎ捨て、
再び歩き出した。路地の先は海だった。その先には埋立地に建設された東都水族館があり、シンボルの巨大観覧車が見える。
すると突然────
海の向こうからパーンと乾いた音がして、花火が上がった。さらに色鮮やかなプロジェクションマッピングが観覧車に
映し出され、その前に高く上がった噴水オーロラのようにキラキラと輝く。観覧車映し出された五色の色の光が、路地を進む女の視界に飛び込んだ。
すると、女は不意に頭を押さえ、うずくまった。
キュラソー
頭を突き刺すような激痛が女を襲う。苦しそうに頭を抱えた女はカッと目を見開いた。
その途端────頭の中で五色の色の光の粒子が激しく飛び乱れた。そして書類をばらまいたように様々な過去の映像が一気にフラッシュバックした。
女の顔から汗がしたたり落ち、頭を抱える手がブルブルと震える。
キュラソー
女の絶叫は倉庫街に轟く爆発音やサイレンにあっけなくかき消された────