契り交わして君に問う ~君と僕の契り~

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ガヤガヤと賑わう教室の中、

私は一人、隅の席で本の世界に入っていた。

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天霧 春霞［ｱﾏｷﾞﾘ ﾊﾙｶ］

普通でいたかった女子高生です。

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カクッと頭を下げようとすると、

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『コイツ…ミエテル……ミエテル』

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とくぐもった声が聞こえた

そして、その声と共に私の手元をつんつんとつつく感覚…

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ちらっと横目で自分の手元を見れば、

そこには小さな妖が……

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そう微笑んだあと、すぐさま持っていた本で自分の顔を隠す

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嘘です。

本当はバッチリと見えてました。

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そうわなわなと震えていると、

つついてきた妖は渋々とどこかへ行った

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そうため息をついて、本をゆっくり下ろす

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本の文末へとちらっと目を向ければ、

そこには、「普通になりたかった」、

という一文があった

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そう、私は［普通］じゃないのだ

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私は普通の人には見えない［妖］というものが見える

ほら、今だって男子の紙を毟る子供の妖が見えている…

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妖には色んな類がある

あの妖のようにイタズラをするもの、

人に危害を加えないもの、守るもの、優しいもの…

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そして、人に危害を加える悪いもの……

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ガシャンｯ……！！

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何かが落ちる音と共に響く女子生徒の声

音のした方へ顔を向ければ、

そこには水槽が床に落ち、零れた水で足元を濡らす女子生徒の姿があった

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周りには女子生徒の心配をする人たち

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女子生徒が私に向かってそう叫ぶと、

周りにいた生徒たちも、私に視線を向ける

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女子生徒の足元には、

蛇のようにうりょりとした黒いナニカが這い寄っていた

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女子生徒はそう言い放ったあと、取り巻きを連れて教室を出た

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『またアイツ？』

『これで何回目だよ』

『マジで祟られてんのな』

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そんな言葉たちが私に浴びせられる

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私は雑巾を持って、床に落ちた水槽に向かう

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私が普通じゃない理由はもう一つある

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『ほんとにアイツって呪われてんだな』

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そう…、私は［呪われている］

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ピチピチち尾びれを床に叩き付け弱っていく魚…

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♡50いったらつづきだします。

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