僕
僕
僕
僕
今日は尊敬している先輩の卒業式だった
先輩は地元を出て東京で大学に通うらしい
笑顔の絶えない優しくて強い先輩で
1人だった僕に色々なものをくれた人
僕の退屈だった人生を先輩が変えてくれた
そんな先輩との毎日が
もう今日で終わりなのかと思うと
耐えられなかった
僕は一言、祝いの言葉を告げてすぐ
先輩から逃げるように帰宅した
部屋で1人、何時間も先輩の事を考えていた
それが尊敬ではなく恋心と気づいた頃には
もう、遅かった
でも
忙しいはずの先輩が、家まで来て
引きずり出されて
今僕達は
夜の浜辺を
2人きりで散歩している
雲一つない、綺麗な夜空だった
先輩は、ただ僕の手を引いて歩き続けて
何も言わない
後輩
後輩
いつもと違う空気に慣れなくて
話しかけてしまった
先輩
後輩
先輩
後輩
先輩
後輩
話してみたら
いつもと変わらない先輩だった
先輩
後輩
先輩の前で、柄にもなく泣いてしまいそうで怖かったけど
ここを逃したら、もう無いんだろうと思ったから
後輩
先輩
先輩
後輩
こういう時、先輩はいつも自分の上着やハンカチを敷いてくれる
僕は先輩の服が汚れてしまうからと断ろうとするけど
先輩は僕を汚させたくないって、絶対引かなくて
そうすると多分…断るのは逆に失礼だし
僕は断らなくなって
当たり前にあるわけじゃない親切を
当たり前の事のようにしてくれる
そんな先輩が、僕は好きだった
先輩
先輩
後輩
先輩
先輩
後輩
貝殻1つで、子供みたいに目をキラキラさせながら
話しかけてくるところも
先輩
先輩
後輩
先輩
先輩
僕との思い出、全部を覚えてて
大切にしてくれるところも
先輩
後輩
先輩
先輩
後輩
先輩
柔らかくて、暖かい笑顔で
僕に幸せを分けてくれるところも
大好きだった
…このまま、終わりたくない
後輩
どうか、僕の想いを
貴方の事が好きで堪らない後輩の、最後の我儘を
先輩
僕にできる精一杯の告白を
後輩
受け取って欲しい
後輩
先輩
後輩
まあ
後輩
そうだよな
後輩
わかってた
先輩
わかってたから
後輩
僕は、大丈夫
先輩
僕は…
……え?
後輩
後輩
先輩
その意味を理解する間もなく
先輩は僕を引き寄せた
唇に、何か柔らかい、甘い感触を感じた。
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