誘拐

僕がここに来てから一週間が経った

それで分かったことは、

意外と紳士的だということだ。

もっと『ころん大好き大好き大好き今すぐにでも殺して瓶に詰めてしまいたい』とかそんな感じだと思ってたけど…

ふつーに優しいしひとつひとつに愛が籠ってる

愛といっても、歪んだ愛とかじゃなくて普通の、純粋な愛ね

怒ると怖いけど、それ以外はとっても優しい。

そんなさとみくんに僕は……ちょっと、ほんのちょっと…ほんとにちょっとね！

好き………になっちゃった…

でも……

でも……！

家族や友達のことがどうでも良くなった訳じゃない。

会いたい。また、会いたい。

でもそんなことを言ったって、

さとみくんに叶えてもらえるわけない。

言っちゃった。

怒られちゃう…かな？

またお口に指つっこまれちゃうかな？

さとみくんが見せてきたのは

血の付着した真っ赤な３つのビン。

一つ目のビンの中には、大きな男らしい手。薬指には結婚指輪が付いてる。手首に小さな火傷のあとがある。あとはぐちゃぐちゃでよく見えない。

二つ目のビンは耳と目。耳にはアスターの形をあしらったピアス、目は透き通った青い目。あとはぐちゃぐちゃでよく見えない。

三つ目のビンはケモ耳と左右非対称の黄色と紫色の目。濃い血に混じって１2本、彼の特徴的な赤い髪と左の方にだけある黒い髪が。

間違いない。これは……

父さん、母さん、莉犬くんだ…

好きなあの子をメロメロに！ 惚れ薬 ※注意 一気に全部飲むと効き目が出すぎてヤンデレ化、もしくはメンヘラ化してしまいます

あれ？

さとちゃん……どこ？

やだっ！さとちゃん！！

さとちゃんがいないなんて…

生きてる意味ないよ……