吸血鬼に愛される

スマイルの血を吸ってから

なんでだろうって、思ってた

今じゃ彼女の名前も覚えてないけど

血の味はこれだ

スマイルの血と全く一緒の味だった

最初に飲んだ時、驚いた

彼女と研究して一緒に作り上げた血と同じ味だったから

彼女が作った血を飲んだ人間などいない

俺が所持しているからだ

なのに、なんで

これほどまでに血の味が似ている

あるいは、全く一緒

なのか

…スマイルは、彼女の髪の色と同じ、栗色だ

まさかのことを考えた

でも、そんなの確率が低すぎる

彼女がこの血を作り上げた時に、誰かに飲ませたのか？

それならまだ確率としてありえる

その飲ませた人の子孫かもしれないから

できるだけ、多くの可能性を見出したい…

…

さっきから一言も喋ってくれないきんときに違和感を抱いた俺は、彼の名前を呼んだ

呼びかけには答えてくれた

…珍しい

気づくのマ？

きんときは、察したのか興味なさそうな声を出した

どういうこと？

少しだが、声が高くなった気がして、少し喜んでいるのがわかる

これ、褒められた…のかな？

「僕のだよね？」

…

所有物…？

ぶるーくって、俺のことどう思ってるんだろう…

友達？

同居人？

それとも、美味しい血をくれる人…？