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フォローありがとです♪ 素敵なお話でした!!これから、よろしくです( `・ω・´)ノ ヨロシクー
月の光が一人の人間を照らす
その人間は静かに涙の粒を流し、青く広がる深き水へ沈んでいく
その人間の後ろでは大きな声をあげては届きもしない誰かの名を叫び続ける
嗚呼、どうか
神様が居るならばこれ以上
彼女を悲しませないで欲しかった
唯、彼女が
心の底から笑うことを
唯それだけが唯一の願いだったんだ
静かな夜に綺麗な歌声が響き渡る
僕はその歌声を知っている
軋むドアを開けて夜の冷たい風が吹く
裸足で緑の高原を歩き広い湖のほとりを歩くと
柚月
そこには月光に照らされた歌声の主が座って湖に足を入れていた
何度も聴いてきたがこの子の歌声はとても心地よい
悠真
幾ら夏だとしても夜の外は冷える
柚月
悠真
会話は短く終わってしまった
何か楽しい話は有るだろうかと探り探っていると
彼女から話しかけてきた
柚月
悠真
ここは自然災害が酷く古くから神様に生贄を捧げるという風習がある
唯、古くからあるにもかかわらず、自然災害が収まったことは1度もないという
そして、次の満月ーーー明日にはこの湖に命を捧げる生贄がもう既に決まっていた
綺麗な声で歌を歌う
僕とは小さな時から一緒にいた
そして今も傍にいる彼女だ
彼女が明日の満月の夜にこの湖に命を捧げる
悠真
柚月
悠真
柚月
柚月
悠真
柚月
柚月
悠真
柚月
悠真
柚月
彼女はいつもそうだ
自分のためにではなく
常に誰かのために動いている
自己犠牲が鋭い
止めることは出来たのに
僕はその勇気さえもない
柚月
悠真
柚月
柚月
悠真
柚月
柚月
悠真
これが最後の夜になるのかと思うととても心が苦しい
何故彼女なんだと
何故こんなにも時間が経つのが早いんだと
後悔しても時間は戻せない
言いたかった
幼なじみという関係ではなく
恋人という関係になりたいと
幸せに
裕福に
この変な村を出て
一緒に暮らそうって
声をかけたかった
悠真
どうか
どうか
彼女の死が無駄にならないよう
彼女で自然災害が収まりますように
悠真
明日が素敵な一日に夜になりますように
いよいよ今日という今日がやってきた
朝から大人達は今夜の儀式のために忙しそうだ
彼女は何処だろうか
彼女に会いたい
最後くらい顔を合わせて話したい
柚月
悠真
背後から聞き覚えのある声に背中を揺らし振り返る
そこには生贄が着る白い服に身を包み軽く化粧をほどかされた彼女の姿があった
その姿はとても美しく天使が舞い降りたかのように見え見惚れていると
頭に激痛が走った
悠真
柚月
悠真
柚月
悠真
柚月
悠真
柚月
悠真
柚月
悠真
柚月
悠真
悠真
柚月
柚月
大人達
大人達
柚月
悠真
柚月
悠真
柚月
悠真
「うん」とは言えなかった
お願いだ
さようならなんて言わないでくれ
悠真
彼女の名は深い森の中へ消えていった
とうとう夜が訪れた
例の月は光り輝き湖を照らしている
湖を白い服を着た大人達が囲み湖の真ん中には生贄である柚月が立っていた
昼間とは違うその輝きは天女のようだった
こんなにも近くに居るのに
声をかけることも触れることも出来ない
大人達
大人達
嫌だ
嫌な予感がする
悠真
大人達
つまり、”彼女を湖に落とせ”
悠真
大人達
悠真
全身が震える
何故僕なんだ
これも神様の悪戯か
柚月
ばっと顔をあげた
柚月
柚月
彼女はそう言って笑っていた
なんでそんなことをしたんだよ
僕の気持ちも知らないくせに
悠真
悠真
僕は涙を流したまま彼女の背後に立った
悠真
柚月
大人達
柚月
早く押せって言うのか
悠真
悠真
柚月
悠真
柚月
悠真
柚月
悠真
柚月
柚月
悠真
愛してる
彼女は確かにそう言った
涙を流して微笑んで
水の飛沫が降りかかる
悠真
悠真
悠真
悠真
確かに僕の名を呼ぶ柚月の声が聞こえた
悠真
あの後
彼女の代で自然災害は起こらなかった
村の人達は大変喜んだ
でも、僕は
満月の夜を見上げては
彼女の名を呼ぶ
悠真
悠真
「私も」
そう言って彼女が心の底から笑っているように見えた