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1件
莉犬くん...無事で良かったぁーー!!! ずっと続き気になっていたので嬉しいです!!!ありがとうございます!!!今回も神作ですね!!!
莉犬くんが出ていってから数年が経った
俺達の後悔はいつしか怒りへと変わっていた
でも、その怒りは自分達に向けられていた
見て見ぬフリをしていた事
真実を嘘だと決めつけた事
誰も助けようとしなかった事
誰も気づかなかった
彼の痛みに
大切な弟だったはずなのに
いつしかその大切な弟には感心が無かった
誰も弟だと思っていなかった
苦しんでいたのは2人だけじゃ無かった
よく見ていたら気づけていたのかもしれない
よく聞いていたら気づけてたのかもしれない
彼の部屋から泣き声と咳込む声が聞こえていたのも
でも、誰も気づかなかった
俺達はもはや生死すら分かっていない弟の帰りを待っていた
それだからだろうか
家の中の空気が少し重くなっているのは
彼が出て行ってからは静かになった
誰もが「出ていけ」「うるさい」「静かにしろ」
そう言っていた
出て行ってからは誰もが考えているであろう
助けてやれなかった
静かになってしまった
物足りない
「静かにしろ」と言わなければよかった
と…
それから週に1回は彼の居そうな所に行く事にした
全員で
心当たりのある所に行った
だが、見つからなかった
彼がずっと行きたがっていた店にも行った
ずっと見たがっていた映画にも行った
ずっと欲しいと言っていた物が売っている店にも行った
今思えば彼は「我儘」だったのではなかった
いつも欲しがっていた物は誕生日の時だけに欲しい言っていた
それは参考書や文房具、百均に売っているぬいぐるみなどだった
いつも行きたがっていた店は兄弟の好きな物が売ってあった
その店に彼の好きな物は売ってはいなかった
そもそも、彼の好きな物すらも知らなかった
誰も知ろうとしなかった
いつだろうか
彼の好きな物をみんなで食べたのは
彼を心配したのは
抱きしめたのは
プレゼントを最後にあげたのは
彼が出て行ってからは誰かが
口座にお金を振り込んでいた
なぜか半年に1回
それも250万
いったい誰なのだろうか
ななもり。
るぅと
ころん
さとみ
ジェル
ころん
ジェル
るぅと
ころん
さとみ
ジェル
ななもり。
今日はカフェに行く
彼が居るかもしれないなら
もう、彼の行きそうな所が無かった
だから町のカフェを攻略している
店員
ななもり。
店員
店員
ななもり。
るぅと
ころん
さとみ
ジェル
るぅと
ころん
さとみ
ななもり。
ころん
さとみ
るぅと
ジェル
ななもり。
るぅと
ころん
さとみ
ジェル
ななもり。
るぅと
ジェル
さとみ
ころん
ころん
ななもり。
さとみ
さとみ
ななもり。
るぅと
ころん
ジェル
そう、そこに居たのは
紛れもない彼自身だった
だが、俺達の知らない彼でもあった
どこか大人びていて
どこか幼いようにも見えた
俺らの兄弟だった
るぅと
莉犬?
莉犬?
それが第一声だった
ころん
さとみ
ジェル
莉犬?
莉犬?
ななもり。
そう言った彼の瞳は少し揺らいでいた
思ったよりも映画を見続けていた
今日は歩いて家に帰る
そんな帰り道の出来事だった
るぅと
そう、呼ばれた
莉犬
どうしよ
あ、とりあえず誤魔化さないと…
莉犬
咄嗟に嘘を吐いた
ころん
さとみ
ジェル
掛けて欲しかった言葉なのに
俺にはどこか
痛く感じた
莉犬
莉犬
そう言って
その場を立ち去った
ななもり。
聞こえていた
でも、俺に答える資格なんて無かった
家に帰ってから
兄弟で話し合っていた
るぅと
さとみ
ころん
ジェル
ななもり。
そう言いながら
みんな、LINEグループを開いていた
そんな時だった
あの日から初めて
既読が6になった
さとみ
るぅと
ころん
ジェル
ななもり。
莉犬
莉犬さんが退会しました
ななもり。
るぅと
ころん
さとみ
ジェル
確かに本物だった
このURLだけを送ってきた
他に喋らずに