テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
莉愛
かろうじてそう弁解する 私の声は、自分でも情けない程に 震えていた。
マイキー(万次郎)
万次郎の語気は更に強まり、私を 見下ろすその瞳は、疑念と怒りで 燃えている様だった。
莉愛
言い募ろうとする私の言葉を 万次郎は許さない。
マイキー(万次郎)
その言葉はまるで冷たい刃の様に 私の胸に突き刺さる。
浮気なんて考えた事すら無い。
でも今の万次郎には、どんな言葉も 届かないのかも知れない。
莉愛
私の否定は万次郎の怒りの炎に 油を注ぐだけだった。
マイキー(万次郎)
叫び声と同時に、ドンッッと言う 大きな音が響いた。
万次郎が私のすぐ横の壁に力任せに 手を叩きつけたのだ。
その衝撃と間近で響いた怒声に 私は思わず
莉愛
と、自分でも聞いたことの無い様な 情けない悲鳴を上げてしまった。
肩がびくりと跳ね上がり、心臓が 喉から飛び出しそうな位激しく 鼓動する。
万次郎の腕が私の逃げ道を完全に 塞ぎ、万次郎の体温と怒りが、まるで 物理的な圧力となって、私にのしかかって 来る様だった。
目の前の万次郎の顔は、普段の優しい万次郎とはまるで別人だった。
冷たく見開かれた瞳、硬く結ばれた唇。
そして額に浮かぶ青筋。
その全てが彼の激しい怒りを 物語っていた。
私は恐怖で体が硬直して、呼吸すら ままならない。
壁と万次郎の間に挟まれ、ただ小さく 震える事しか出来なかった。
万次郎の言葉が、行動が、私の中の 何かを少しずつ削り取っていくような 感覚に襲われる。
これが万次郎の愛情の裏返しなのだろうか。
私を大切に思うあまりの行動 なのだろうか。
そう頭では理解しようとしても 心は恐怖に支配されて、何も 考えられなくなっていた。
To be continued…