これは
俺が体験した話である
あの時どうすれば良かったのか
今だに悩んでいる
君たちもこんな経験があったら
どうか
いろんな人の視点で見て欲しい
らん
今日は混んでるね〜
こさめ
だね〜
なつ
う…ぁ…(口を押さえる)
らん
大丈夫?なっちゃん…
なつ
大丈夫…
こさめ
痴漢?
なつ
ちげえよ…
らん
(なっちゃん起立性調節障害者なんだよなぁ…)
起立性調節障害とは、自律神経の異常によって血圧や心拍数の調節が上手くはたらかず、立ちくらみやめまい、動悸、失神などを引き起こす病気。
こさめ
どっか座れるとこ…
こさめ
ないね…
らん
そりゃあ満員電車だもの…
ゴゴゴゴッ
らん
うぉ!!
こさめ
おわぁ!
なつ
ッッ!〈ぶつかる〉
おじさん
……〈睨む〉
なつ
ヒュッ…ごっごめんなさいッッ…
おじさん
……(新聞)
らん
……?
らん
(なんだこの人…目の前に辛そうにしてる人が分からないのか?)
らん
(ここ…優先席だよね?)
らん
(そんな年行って無さそうだし…)
らん
(怪我もしてない…具合も悪そうじゃない.)
らん
(なんで…“譲らない”んだろう?)
らん
あっあの…
おじさん
ん?
らん
大変恐縮なんですが…この子に席を譲ってもらえませんかね?
おじさん
なぜた
らん
この子が辛そうなのが見えませんか?
おじさん
彼はまだ若いだろ
らん
でも…彼は起立性調節障害者なんです…
おじさん
なんだねそれは…
おじさん
そんな嘘の病気
おじさん
勝手に作るな!
らん
本当にある病気なんです
おじさん
仮にあったとしても、まだ彼は立っていられるだろう
おじさん
こういうのは年上に譲るべきだ!
らん
そっそうかもしれませんが…
おじさん
私は2時間しか寝てないんだっ!あんたら何時寝たか知らないが
おじさん
私にはここに座る権利があるんだよ
らん
権利って…
らん
この子にも権利あると思いますが?
おじさん
私の方があるだろ
おじさん
それに!こいつが本当に座りたがっているか?
らん
えっ…
おじさん
君、座りたいかい?
なつ
えっ……だっ大丈夫ですニコッ
おじさん
ほら
らん
…ッッ
おじさん
彼は座りたがって居ないんだから別にいいだろ
らん
でもっもし倒れたらっ…責任取れるんですか?
おじさん
それは個人の勝手だろ
らん
(なんなんだこの人…)
らん
(眠いとか言っといて、新聞を広げて読んでるじゃないかっ)
らん
……
おじさん
なんだねその目は
おじさん
こっちは疲れてるんだ!君たち若者には分からないと思うが!
らん
疲れてるのに年齢なんて関係ないでしょ!
らん
個人差があるんですから!
おじさん
はぁ…これだから最近の若者は…
らん
ッッ…
らん
アンタも寝てないとか言っといて新聞広げて見てるじゃないですか!
なつ
らんっ…
なつ
大丈夫だから…な?
こさめ
らんくん落ち着こう?
らん
……
男性
あのっ良かったら座ってください
なつ
えっでも
男性
次の駅で降りるんで
なつ
あっありがとうございます…
らん
……
らん
(むしゃくしゃする…)
俺はこの時
どうすれば良かったのだろうか
叔父さんも仕事で疲れて居た
なっちゃんは障害を持ってる
俺も俺で言い過ぎた
これは…
誰が悪いんだろう…