片想い
オシロイバナ
人生楽勝だと思ってた
俺はいつも明るくて、
愛想もよくて
親には愛されてなかったけど
近所のおじさんおばさんは 優しくしてくれたし
小学校でも人気者だった
対して双子の弟は俺と真逆
暗くて、愛想もなくて
要領は悪いし
そんな弟が嫌いだった
いつも俺の後ろをついてくる 弟を突き放してた
見た目は嫌になるほど似ていた
見た目も声も同じ
違うのは性格だけだった
俺らはいわゆる放置子で
いつも公園で遊んでいた
弟はいつも1人だと思ってた
俺は夕方まで友達と遊んでいて
その時あいつは砂場で1人で遊んでた
友達と別れを告げたあと
砂場に目を向けると
日が暮れた公園にいるのは俺と弟と
桃色の髪の男の子だった
一目見てかっこいいと思った
弟は人がいても全然笑わない
話しても反応は薄いし
キャッチボールだって下手くそで
弟が取れなかったボールはいつも 桃色のあいつが取りに行ってた
弟なんかと遊んでも 楽しくないはずなのに
でもあいつには弟しか見えてなかった
俺はいつも夜の公園で1人だった
悔しくて仕方なかった
冬は寒くて仕方なくて すごい寂しかった
絶対俺の方がいいのに
どうしても見てもらえなかった
誰とでも仲良くできると思ってたのに
不思議と彼に対しては臆病な俺がいた
ずっと心の中で思うだけで
2年生になった頃
父親が出ていって、
母親が精神を病んだ
だから俺たちは祖父母の家に引っ越した
そこの小学校に転校した日
赤
にこりと微笑むとみんなが寄ってきた
中学に入ってから
気づいたら 愛想笑いしかできなくなっていたが
みんなが俺を好きでいてくれた
誰も教室の隅で座っている弟に 興味なんてなかった
特に意識なんてしてなかったけど
今の俺ならきっと彼に見てもらえる
そう思っていたんだと思う
彼への思いは強くなっていってたんだ
期待なんてしてないけど
なんとなく地元の高校へ進学した
弟も同じ学校なのが癪だったが
コースが違かったため あまり関わることはなかった
高校でもへらへらしながら なんとなく生きていたら
いつのまにか黄くんと仲良くなっていた
黄くんはおとなしくて真面目で
いつでも自然体な感じ
そこがどこか人の目を惹きつけた
移動教室の時2年校舎を通った
肩がぶつかり思わず荷物を落とした
赤
赤
視線を下に向けたまま謝罪をすると 急に手を掴まれる
桃
声を聞いて顔をあげるとそこにいたのは 昔公園にいた彼だった
隣には俺とは正反対の 爽やかな見た目の小さな先輩
先輩の反応を見て確信する
この人は弟のことを覚えていて
俺を弟だと思っていること
そして隣にいる人に 特別な感情を抱いていながら
弟を忘れられなかったこと
黄
赤
友達に名前を呼ばれたことを口実に その場を後にした
もっと話したいという 気持ちもあったけど
黄
赤
赤
高まってしょうがないこの気持ちと
自然と上がってしまう 口角を下げるのに必死だった
そのあとはトントン拍子だった
先輩とぶつかった時一緒にいた黄くんが 先輩の知り合いだったから
イんすたを教えてもらってDMして
最初の頃は会おうとしても
あの青くて小さい先輩のことを 優先してばかりだったけど
昔の話を出したらすぐ釣れた
先輩が俺と多くの時間を 過ごしてくれるようになってから
なんだか違和感が拭えなかった
赤
赤
思わず口に出してしまった
桃
疑問を目に浮かべる先輩を見て
お前は誰だと 言われている気分になった
でも口は止まらなかった
赤
多分腹が立ってたんだと思う
昔はあんなに自分を主張してて どこか寂しかったはずなのに
だれが先輩を受け入れたのか
桃
でも誤魔化す先輩を見て少し安心した
お前は別人だと言われたら
多分、俺は全てを 吐き出してしまっていたから
赤
赤
きっと先輩が求めているであろう 言葉を口にしたあと
そっと手を握った
赤
我ながら卑怯だと思った
桃
忘れられないと言われた 先輩はきっと断れないから
そのあと先輩に関する色々な噂を聞いた
元々は遊びが激しい人だったらしく
そんな先輩がみんなと関係を切ったと
それを聞いて俺が先輩に与えた影響を 実感して嬉しかった
でもみんな本命の俺よりも
いつも隣にいた 青先輩のことばかりだった
それに腹が立ったけど、
先輩と帰ろうと思い
気持ちを切り替えて
先輩の教室まで会いに行った
赤
呼びかけた先輩の一言を喉の奥にしまい
先輩の友達の声を聞いて 思わずドアの後ろに隠れてしまった
桃
胸の鼓動が早くなる気がした
桃
桃
ついでに繋がっていた 青先輩のストーリーを俺も確認する
俺も見れる全体公開になっていて
誰でも仲良くしよう!と書いてあったが
きっと行きたいと思ってるのは メンションされている人たちだろう
そこに先輩の名前はなかった
桃
桃
断った先輩の寂しそうな顔を見て とても一緒に帰ろうとは言えなくて
廊下を見ると黄くんの姿があった
その隣にいるのは青先輩
そして他のドアから出てきて 2人を追いかけるけど
2人が階段を曲がった時に止まる桃先輩
胸が苦しくなった
青先輩に全てを取られた気分で
そんなのはどうでもよかったはずなのに
馬鹿だなぁ俺、
何にもわかってないや
だれも幸せじゃないんだこれ
俺にも弟にも向いていない 先輩の気持ちを
無理矢理勘違いさせて
そんな行動正しくないなんて わかってたけど
自分の気持ちでさえ 間違ってるなんて思わなかった
俺は弟のことが羨ましかっただけだ
本当は臆病で1番弱いのは俺で
自分の気持ち隠してばっかで
先輩のことが好きだった訳じゃなくて
誰か1人に認められないのが不安で
ただ不安を、寂しさを 埋めるためだけだった
最悪だな、俺
俺が全部壊しちゃったんだなー
赤
赤
青先輩が羨ましいな
先輩の気持ちも俺の気持ちも 全部本物じゃないや
全部俺のせいだ
俺は臆病だから自分の気持ちを 表に出せなかった
青先輩のノートを開いて 浮気されろというフレーズを聞く
赤
赤
臆病な俺でごめんね
コメント
9件
続きが楽しみです🎶 リハビリ岸ばってください!!
やっぱのあちの小説大好きだよ〜〜〜〜〜‼️‼️😭(🍓さん降りた身ではあるんだけどのあちのは一小説として好き‼️素敵よ〜〜‼️
羨ましくなる気持ちめっちゃわかる〜〜 あのもやもやする感じがほんとに共感 なんかのあちゃんのつくる話話って登場人物の気持ちわかるからすごい楽しいすき