届くまで

ーーーーあるところにいた。

そこは、何処か見覚えがあって、人が沢山居た。

俺は、何もせずに突っ立っていた。

いや、身体が動かなかった。

少ししたら、空気をつんざく悲鳴が聞こえた。

そして、周りに居る人達はーー

何も居ないのに、身体が切り裂かれ、引きちぎられていた。

それはあまりにもリアルで、不快だった。

そんな時、俺に激痛が走った。

自分の身体を見ると、切り裂かれた様な跡と、

引きちぎられているような跡が見えた。

気がつくと、視界が真っ暗になっていた。

今でも覚えている、あの痛み、感触。

そしてーーー

恐怖。

ﾋﾟｯ(テレビを着ける

続いて、次のニュースです。

全国で被害者が続出している、「切り裂き事件」。

被害者は数万人で、殺され方がどれも同じだと言うことです。

身体が切り裂かれ、引きちぎられると言う不気味な殺され方、と言うことです。

そして、数日に何百人の人達が被害にあっているということでーー

～～さん、どう思いますか？

「いえ、やはり数日で数百人…」

「しかも、それぞれ違う県で起きていますからね」

「これは、人間じゃないものがこの事件を起こしている、」

「そうもネットで噂されていますが…」

「その確率もあるのかもしれませんね」

なるほど、ではーーー

ﾋﾟｯ

あまりに気味が悪くて、チャンネルを変えた。

さっき見た夢と、同じ殺され方だ。

いや、偶然かもしれないし、

どこかでそのニュースを見たのかもしれない。

でも俺には、

そうは思えなかったーーー

ﾋﾟﾛﾝ(入室音

ﾋﾟﾛﾝ

ﾋﾟﾛﾝ

人じゃない何かがやってる説

陰謀説

政府がいらない人間をーー

誰もいない。

いつもは、あんなに賑やかだったのに。

この町でも被害者が出てるのかとか、

そういうのを考えてしまう。

あの時はきらきらしてて、全てが夢に満ち溢れていた…

様な、気がしていた。

それが、何でーー

ここにいても、マイナスな思考になるだけだ。

また、

俺は逃げた。