がたっ
大きな音を立てて、椅子が倒れる
H.
絞り出した声は震えている
僕は犯人が誰なのかたどり着いてしまった
ずっとずっと、知りたかった
でも、知りたくなかった
そんな複雑な気持ちが混ざりあっていた
犯人については前から予想がついていた
でも、実際に分かると
やっぱり、衝撃が大きかった
H.
H.
H.
わからない、自分のことなのに
なんでだろう、なんでこんなに悲しいんだろう
H.
その時、不意にある記憶が頭をよぎった
僕の苦い過去の話だ。
最初はごく普通のありふれた家庭だった
暖かい家族と、当たり前にある愛に囲まれて
この先の人生も過ごせると、子供ながらに思っていた
こんな、生活が周りが家族が
変わり果ててしまったのは
お父さんが社長になってからだったからかな
P.
笑顔で僕の頭をわしゃわしゃと
撫でてくれたお父さんはいつの間にか消え
失敗する事に厳しく叱るようになった
P.
幼いH
P.
P.
そんな罵倒と共に、振り上げられた手が頬に下ろされる
痛かった、すごく痛かった
でも、僕は痛みなんてどうでも良くて
お父さんに嫌われる方がずっと、怖かった
お父さんが、大好きだったから
それから数ヶ月後、お父さんは僕に何もしなくなった
話すことも、褒めることも、怒ることさえも
何もしない、
この時、子供ながらにわかった
僕はお父さんに諦められたんだって
捨てられちゃったんだって
僕がお父さんの期待に応えられなかったから
お父さんの社長の座を継げるような
完璧な人になれなかったから
幼いH
光を失った瞳で、ただただ同じ言葉を何度も繰り返した。
H.
思い出す度に、胸が苦しくなるような過去
だから、蓋をしてずっと、思い出さないようにしていた
考えれば全てが繋がった
お父さんはifくんの会社の社長だ
そして、ifくんはいつの日か言っていた
"最近、うちの社長がやらかしまくって
社長の座を降ろされそうなんよ"
つまり、お父さんは社長の座を下ろされそうになってる
ストレスを発散するために、僕を傷つけることにした
それで、Xを乗っ取ったり、僕がメンバーに嫌われるようにしてきた
そして、ある日
お父さんは僕とifくんがメンバーなのを知り
ifくんを刺せば、僕がもっと傷つくと思って刺した
H.
H.
H.
H.
沈んだ気持ちを入れ替えるため
1度外の空気を吸おう、そう思って上着を取った
H.
東京ではめずらしく、雪が降っていた
頬に当たる空気がとても冷たい
あれ、なんだろう、
すごく嫌な予感がする。
この予感が当たってしまうなんて
この時の僕は思いもしなかった。
リリン
リリン
リリン
リリン
リリン
𝐧𝐞𝐱𝐭…♡1000
コメント
29件
すごっ! しかもめっちゃ良かった!!続き待ってます!🎶
犯人おとうさんだったかー お父さん最低じゃん