マサイ
もしも 逃げなかったならば
マサイ
病弱な身体子供の頃から
マサイ
生死をさまよっては
マサイ
家に伝わる秘薬を
マサイ
飲み続けてた日常
マサイ
必要なこともろくにできない
マサイ
ただの役立たずだと
マサイ
亜属に疎まれ次第に
歪んでた心
マサイ
希望なんてどこにもなかった
マサイ
ただ生き続けるだけの日々
マサイ
15歳の時唐突にに組まれた
マサイ
縁談の話
マサイ
相手は他国の落ちぶれた
マサイ
貴族の娘
マサイ
お互いの意思などまるで無視の
ただ家柄のために
マサイ
自分が道具だと改めて理解をした
マサイ
豚のように太った少女
ンダホ
……
マサイ
それが彼女との出会いだった
マサイ
彼女もやはり一人ぼっち
マサイ
で少女時代を過ごしたそうだ
ンダホ
母は無くなり父は心を病んで
ンダホ
家は没落した
ンダホ
いつか世界中を旅したい
マサイ
それが彼女の夢だという
マサイ
二人で行くのも悪くないなと思った
マサイ
客人を招いて開かれた
マサイ
婚約のためのパーティ
マサイ
そこで彼女の闇を知ることになった
マサイ
出された料理を乞食のように
マサイ
貪い食らう彼女
ンダホ
残したら怒られる
マサイ
呟いていた言葉
マサイ
亡き母から受けてた虐待
マサイ
婚約は破談になった
マサイ
時が経った時耳に届いた
マサイ
彼女に関する噂
誰か
ゲテモノを食らう悪食娘になった
マサイ
と
マサイ
顔を変えてコックを装い
マサイ
彼女に雇われた
ンダホ
…採用
マサイ
そこにいたのは見違えるほど
美しくなった女
マサイ
禁じられた悪魔との契約
マサイ
彼女はもう人ではなくなっていた
マサイ
異常な料理作り続ける日々
マサイ
思わず口をついて出た言葉
マサイ
そろそろお暇をもらえませんか?
ンダホ
はぁ、
マサイ
失望する彼女
マサイ
わかっている自分はいつだって
逃げてばかりの負け犬だと
マサイ
またこうして彼女から逃げようとしている
マサイ
あのパーティーの日に君を
マサイ
受け入ることができたら
マサイ
君を救う事も出来たかもしれない
マサイ
未だに手放せぬ薬
マサイ
金の粉末入りの小瓶
マサイ
決意と共に握りしめた
マサイ
子供の頃から飲み続けてきた
マサイ
秘伝の薬
マサイ
扱いを間違えば毒にもなる薬
マサイ
たまには一緒に食事をしましょう
ンダホ
いいわよ
マサイ
そう彼女を誘い
マサイ
2人分のスープ
マサイ
どちらにも毒を入れた
二人で逝くのも悪くないだろ?
さあこれが僕らの最後の晩餐だ
マサイ
そして今の僕は食卓に並べられた
マサイ
料理の一つ
マサイ
彼女に毒は効かなかった
マサイ
死んだのは僕だけ
マサイ
意識を失う直前
マサイ
彼女はポツリとこう言ったんだ
ンダホ
あなたはまた逃げたのよ
私を置いて
マサイ
君のための料理になって
マサイ
僕ら君の胃の中へと
マサイ
そして僕は君の血となり肉となる
マサイ
もう僕が君から逃げることは
ないだろう
ないだろう
永遠に君と共に