桃赤
レントリリー
小さい男の子
赤
5月24日。
赤の誕生日。
病室には、小学校低学年くらいの小さい男の子が来ていた
その子は自分で折った折り紙をプレゼントとしてあげていた
赤は本当に嬉しそう
病院服を来ているから、ここで入院している子だろう
小さい男の子
赤
小さい男の子
赤
小さい男の子
小さい男の子
小さい男の子
赤
赤はわしゃわしゃとその子の髪を撫でてあげる
辛くないのだろうか....
俺だったら素直に喜べない
小さい男の子
赤
すると、男の子はくるりと俺の方を向いて無邪気に笑った
小さい男の子
桃
男の子が行ってしまうと、俺は尋ねる
桃
赤
赤
赤は、優しい
だから、病院内の人達にも愛されてる
看護師も、医者も
入院している高齢者の人にも
桃
赤
桃
赤
桃
俺は作りたてのスノードームを赤の机に置いてやった
赤
星空をベースに
元々赤のスノードームにあった犬と追加した猫が
ちょこんと綺麗な海辺に座っている
逆さにすれば、キラキラ星が舞うようになっている
赤
桃
目を輝かせて喜ぶ赤に、口元が緩んでしまう
スマホで必死に作り方を調べ、赤に見つからないように作業するのは
中々骨の折れる事だったけど
赤
桃
赤の満面の笑顔を見れば、倍に報われた気分
赤
確かに眠そうな猫は俺に似てるかもしれない
橙が''この猫お前にそっくりだったから買ってきたw''
と言ってきたことを思い出し少しイラついたが
今は感謝しかない
桃
赤
桃
桃
赤
赤
桃
はにかむ彼を見て、来年も祝ってやろうと心に決めた
赤の誕生日パーティーは、黄先生や紫ーくん先生によって盛大に行われた
赤
桃
赤
いちごのショートケーキをほうばる赤は
病人なんて到底思えなかった
俺の治療は本格的になり
正直言って、かなりしんどかった
副作用で食欲は無いし
吐き気と頭痛が止まらない
常にだるさと、気持ちの悪さ
俺はベットで死んだように過ごした
歩くのも一苦労
それでも頑張れたのは
....赤がいたから
お互いに辛い時は、励まし合って
何度もハグをして
赤は何かあるとすぐに駆けつけてくれて
何も言わず、ずっと傍にいてくれた
赤が頑張った時には
決まって頭をポンポンして撫でる
赤がいなかったら俺は全て諦めていたかもしれない
そして、ついに夏休みを迎えようとしていた
赤
パタパタと走ってくる赤に俺は慌てて口を開く
桃
赤
桃
俺は赤の背中をゆっくりさすってやる
しんどかった日々と比べ、俺の病状はかなり良くなっていた
ひとまず一段落、というところだ
赤
桃
落ち着くと、赤は飛び上がりそうな感じで俺を見た
赤
赤
桃
赤
病院を出て、遊びに行ける....?
俺は単純に嬉しかった
自由が、どんなに素晴らしい事か
なくなった日常を振り返り、噛み締める
赤
桃
少し考え込むと、病院に貼られていたポスターを思い出した
桃
赤
桃
桃
赤
桃
赤
桃
赤
嬉しくて笑った
赤が一緒なら、俺は無敵な気さえした
でも、そんな願いは叶うわけなかった
桃
赤
赤は緊張している様子
俺は無事外出許可を貰い、後は赤の結果を待つばかり
桃
赤
赤は俺を見ると安心したように頷いた
看護婦
赤
桃
赤に手を振り返すと、俺はベットに寝転んだ
ふと、俺があげたスノードームが目に入った
本当に大事にしてくれてる
ニヤケが止まらなくなりそうだ
....でも、赤がはじめに持っていたスノードームは
どうして急に粉々になったのだろう
机の上に、しっかり置いておいたはずだ
重いから、風でどうこうって訳じゃないだろうし
誰かが壊した....?
いや、わざとじゃなくても
赤は恨みを持たれるような子ではないし
不思議だ
そうして、名探偵になったように推理をしていると
弱々しくドアが開いて赤が入って来た
壊れそうな、泣きそうな顔で俺に笑った
赤
俺は思わず絶句する
赤
赤
桃
俺がいつものように抱きしめると
赤は嗚咽を零しながら泣き始めた
出会った頃は、無理して笑っていたのに
俺の前で辛い時は泣いてくれるようになった
赤
桃
赤
桃
赤
桃
赤
赤はそのまま俺の腕の中で泣き疲れて眠ってしまった
夏休みに入り、セミが夏だぜ!と騒いでいる
....俺に出来ることは
桃
黄
桃
セミは夏だぜ!って鳴きませんよね ふざけましたw なんかめっちゃシリアスになりそうこの連載w ハート沢山ありがとうございます!
コメント
13件
連載ブクマ失礼します🤦♀️💕
やばいセミのインパクトが強すぎてw夜中に爆笑しましたw続き楽しみです((o(。>ω<。)o))頑張ってください(๑•̀ㅂ•́)و✧