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読んだよ!えるが「ちゃんと話せた」って思うシーン、胸がじんわりしたわ。あるとの「今日は晴れそう」メッセージも優しすぎる…。保健室の静かな空気感と、ふたりの無言が気まずくない距離感がすごくリアルで好き。最後の「あるとも悩みを抱えてる」伏線で続きが気になりすぎる!愛いさん、素敵な世界をありがとうございます🌱
27
いつも保健室の前を通る男の子。
名前は――あると。
六月の雨の日だった。
保健室の窓を雨粒が静かに叩いている。
えるはいつものベッドに腰掛けていた。
一時間目は教室に行った。
でも途中で息苦しくなってしまった。
周りの視線が気になった。
誰も見ていないのに、見られている気がした。
笑われている気がした。
胸がぎゅっと苦しくなって、結局保健室へ来てしまった。
保健の先生
保健の先生が微笑む。
えるも小さく笑った。
える
その時だった。
コンコン。
保健室のドアがノックされた。
あると
入ってきたのは男の子だった。
少し背が高くて、髪が少しだけはねている。
制服の袖をまくりながら入ってきた。
あると
保健の先生
あると
先生は呆れながら救急箱を持ってくる。
男の子は椅子に座った。
その時、ふとえると目が合った。
えるは慌てて視線を逸らした。
胸がざわつく。
知らない人と目が合うのは苦手だった。
男の子も何も言わなかった。
先生に手当てをしてもらうと、
あると
と言って帰ろうとした。
でもドアの前で立ち止まる。
そして振り返った。
あると
えるの心臓が跳ねた。
自分に話しかけられるなんて思っていなかった。
える
男の子は少し考えてから言った。
あると
えるは一瞬固まった。
変な質問だった。
でも不思議と嫌じゃなかった。
える
あると
えるは驚いた。
いつも?
この人、私を知ってるの?
男の子は笑った。
あると
先生がすぐ突っ込む。
保健の先生
あると
保健室に少し笑い声が響く。
えるは思わず口元を緩めた。
男の子がそれを見て言った。
あると
えるは慌てた。
える
あると
顔が熱くなる。
恥ずかしかった。
でも、嫌じゃなかった。
男の子はニコッと笑った。
あると
えるは少し迷った。
でも、
える
と答えた。
それだけだった。
本当に短いやり取りだっ
それなのに、あるとが帰った後も胸の奥が少し温かかった。
その日の帰り道。
えるはふと思った。
える
知らない人と。
自分から名前も言えた。
たったそれだけなのに嬉しかった。
次の日。
えるが保健室へ行くと、窓際の机に紙が置いてあった。
小さなメモだった。
『今日は晴れそう』
丸っこい字。
下には小さく、
『あると』
と書いてあった。
思わず笑ってしまう。
その時、
あると
後ろから声がした。
振り向くと、あるとが立っていた。
あると
える
あると
える
あると
そう言ってあるとは椅子に座った。
沈黙が流れる。
でも不思議だった。
気まずくなかった。
無理に話さなくてもいい気がした。
雨上がりの光が窓から差し込む。
保健室は静かだった。
先生は書類を書いている。
あるとは窓の外を見ている。
えるも窓の外を見る。
誰かと一緒にいて、こんなに楽なのは久しぶりだった。
その時、えるはまだ知らなかった。
あるともまた、人には言えない悩みを抱えていることを。
そして二人が少しずつ、お互いの心の傷を知っていくことを。🌱
――続く。