桃
事後、彼の服を着てクッションを抱きしめながら余韻に浸っていた時
俺の髪を弄りながらさとみくんは口を開いた
赤
桃
赤
桃
女の人、か
赤
桃
もじもじと、目線をあちこちに動かす彼
赤
桃
赤
桃
ピクっと指先が動いた
クッションを抱きしめる力を強くする
そのクッションに顔を埋める
桃
赤
クッションから顔を覗かせてさとみくんを見る
赤
目を合わせて、ズラす
再びクッションに顔を戻すとギシ、と音をベッドが鳴って俺に体重がかかる
首筋に柔らかい感覚が伝わって、キリ…と少しの痛みが走った
桃
彼と目を合わせる為に仰向けになって彼の首に手を回す
暫く見つめ合ってキスを1つ
2人で布団に潜って、俺は彼の腕の中に入った
赤
スー…スー…
彼の規則正しい寝息が聞こえる
あー、どうしよう
さっきから胸の奥がムカムカして止まない
黒い感情が抑えきれない
強く掌を握る
ジンジンと痛む掌
何もない
そんな事は分かっているのに
爆発してしまいそう
落ち着け、落ち着けと何度も暗示をかける
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる
赤
朝起きてから何処にいようと何していようと莉犬がくっ付いてくる
やっぱり嫌だよな
桃
赤
スマホを弄る手を止めて莉犬を見る
表情は見えないが、しっかりと耳と尻尾が垂れている
その事に莉犬は気づいているのだろうか
桃
赤
その割には抱きしめる力強くしてますが…
この様子だと俺が行かなかったら逆に自分が原因とか思って落ち込むんだろうな
桃
赤
桃
赤
ずっと顔を上げない莉犬の頭を撫でて家を出る時間になるまで莉犬を甘やかした
桃
赤
彼は軽く着替えてスマホと財布だけをポッケに入れて靴を履く
立ち上がって振り向き、俺を抱きしめる
ちょっとして彼が離れていく
額同士をくっつけてお互い見つめ合ってはにかむ
赤
桃
俺から離れて玄関のドアを開ける
どんどん離れていく彼の背中に手を伸ばそうとして引っ込めた
パタン、と閉じるドア
そのドアに向かってポツリと呟いた
赤
どのくらい時間が経ったのだろう
エゴサをして、部屋の片付けをして、またエゴサをして、ペット達に餌をあげて
普段ならあっという間なのに
それなのに、時間は一向に進まない
次第に手は冷たくなって、足は震え始めた
怖くて、怖くて仕方ない
出したくもない涙が勝手に溢れて
俺はその場にしゃがみ込んだ
近づいてくるペット達が「クゥーン」とか「ニャァー…?」と心配そうに鳴く
拭っても拭っても止まらない涙
赤
ポタポタと床に滴が落ちる
嗚咽を出しながら目を押さえていると温かいものに包まれた
目を見開いて固まっていると、流れていく涙が拭われていく
桃
優しく頭を撫でられ、目が合う
桃
桃
頰に両手を添えられて額をくっつける
赤
桃
彼の優しい瞳に、優しい言葉にまた涙が溢れてくる
桃
赤
桃
くつくつと喉で笑う彼
若干の怒りを覚えて、彼の唇を奪った
赤
桃
少し止まった後、彼は不敵に笑った
ちゃんちゃんw
コメント
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ぶくしつです
良い話!もう莉犬くん( ´ཫ`)尊い..............
フォロー&ブクマ失礼しますm(*_ _)m