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逆転裁判の夢小説です。 成歩堂龍一と夢主が出てきます。 逆転裁判4以降のネタバレあります。 夢が苦手な人 ⚠️ネタバレされたくない人は注意⚠️
成歩堂法律事務所の 少し建て付けの悪くなったソファに深く腰掛け
成歩堂龍一は手元にある青い光沢を眺めていた
一度は手放し そして泥を払って 再びその胸に戻ってきた弁護士バッジ
その鈍い輝きを見つめていると 彼の思考は自然と とある一人の男の記憶へと手繰り寄せられていく
──── 学生時代からの悪友であり、最大の理解者 そして、現在の恋人。
今、事務所の窓から差し込む夕日は かつて彼と交わした泥仕合のような けれど、愛おしい日々の色に酷く似ていた
思い出すのは、まだ二人が若く 互いに己の正義を信じて疑わなかった頃の あの執拗なまでの「攻防」だ。
成歩堂は何度も、 本当に何度も────に想いを告げた。 法廷で真実を追求する時と同じような 引くに引けない執念がそこにはあった。 しかし────はその度に まるで、見えない壁を築くように 上手く躱し続けた。
あの夜もそうだった。 業を煮やした成歩堂の口調は 告白というにはあまりにもトゲ立ち、 お互いに キレ気味の空気が狭い部屋に充満していた。
────のその頑固さに 成歩堂の苛立ちはピークに達していた。 「何がそんなに気に入らないんだ」と詰め寄れば ────は挑発するように言葉を返してきた
言葉が途切れた瞬間 成歩堂は────の腕を掴んでいた。 ────が「待っ…」と声を漏らした時には もう遅い。 強引に奪うような、 それが初めてのキスだった。
成歩堂には絶対的な自信があった。 何故なら ────が告白を拒む度 彼の視界にはあの重々しい錠──── 「サイコ・ロック」 が 厳重に絡みつくのが見えていたからだ。
────がどれほど冷ややかに あるいは器用に言葉をはぐらかそうとも。 その心の奥底には 成歩堂を拒絶しきれない強固な秘密と 確かな情熱が眠っていることを オカルトじみたその鎖が証明していた。
そして唇を重ねた瞬間。 あれほど強固だったサイコ・ロックが 一瞬にして音を立てて霧散したのを 成歩堂は今でも鮮烈に覚えている。 秘密が解けたのではない。 彼の心が、 成歩堂の強引な熱に完全に降伏した瞬間だった。
けれど 運命というやつは 時に残酷なほどあっけなく足元をすくう
26歳の夏。 成歩堂は罠に嵌められ 弁護士バッジを剥奪された。 誇りも 職も すべてを失い 場末のロシア料理店で しがないピアニストとしての道を歩むことを 余儀なくされたあの時 ────は多くを語らなかった。
「……あっそ」 冷淡とも取れる たった一言だけを言い残して。 それからだった。 成歩堂の中で 何かが決定的に変わってしまった。 あんな惨めな姿のまま ────と顔を合わせるのがどうしても怖くなった。 かつて法廷で 隣に立つにふさわしい男でありたいと 願ったプライドが、 成歩堂の足をすくませていた
やがて────は 日本を離れてアメリカで 弁護士を続けることを決めた。 出発の日の空港。 ────は成歩堂に これが最後だと言わんばかりの口付けを残し 振り返ることなく、 飛行機の向こうへと去っていった。
だが 遠く離れても 絆が完全に切れることはなかった。 時折忘れた頃に届く短いメール。 そして成歩堂と 彼の養女となったみぬきが喜びそうな アメリカの風変わりな小物や 甘い食べ物が定期的に送られてきた。 箱を開ける度 成歩堂はその不器用な優しさに 胸を締め付けられるような思いがしたものだ。
そして、34歳になった今。 王泥喜法介という新しい光が 成歩堂の過去に隠された真実を暴き出してくれた。 その若き弁護士の熱に当てられるようにして 成歩堂はもう一度司法試験を受け 再びこの青いスーツに身を包む資格を取り戻した。
その報せが海を渡った時、 ────はすべての予定を投げ打つようにして 即座に日本へと帰国した。 久々に再会した────は 成歩堂の姿を認めるなり大股で歩み寄って その身体を強く抱き寄せた。 黒髪から漂う懐かしい香りと 耳元で聞こえる震える息。 ────は心底安心したように 成歩堂の肩口に涙を流していた。
その温もりに包まれながら 成歩堂はただ 己の不甲斐なさと、 それ以上の幸福感に圧倒されていた。 ────は 成歩堂を一度だって責めなかった。 世間がどれほど彼を「汚れた弁護士」と呼ぼうとも ────だけは 成歩堂龍一が証拠品の偽造なんて 絶対にするはずがないと 誰かの罠に嵌められたのだと ただ愚直に信じ続けてくれていた。
抱きしめられた成歩堂の目からも 堪えていたものが溢れそうになる。 彼は────の背中に手を回し、 その存在を確かめるように強く力を込めた。 「ごめん、待たせて」 とも 「ありがとう」 とも違う 言葉にならない掠れた声が、 成歩堂の喉から漏れていた。 ただ、────の流す涙が 自分の胸の凍りついていた時間を 一瞬で溶かしていくのを感じていた。 「……さてと」
成歩堂は小さく息を吐く バッジをポケットに収めると ソファから立ち上がった。 窓の外はすでに帳が下り始め 街の灯りがきらめき始めている。 あの涙の再会から 二人の時間は再び動き出した。 学生時代の青臭い意地の張り合いも 26歳のあの絶望も すべてはこの瞬間に繋がっていたのだと、 今の成歩堂なら思える。 デスクの上の時計を見る。 そろそろ彼が帰ってくる時間だ。 成歩堂は少しだけネクタイを緩め、 心なしか軽くなった足取りで 事務所の入り口へと視線を向けた。
「おかえり、────」
#逆転裁判
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コメント
5件
え、ちょっと待ってめちゃくちゃ良かったんだけど!!😭💕 成歩堂くんがサイコ・ロックごと夢主に心を奪われていく流れ、熱すぎてやばい……あの鍵が音立てて解ける瞬間、脳内で再生されました。弁護士バッジ失ってからの別れと、再会の涙のシーン、胸ギュッてなった。34歳になった今も「おかえり」って迎える側でいてくれるの、尊いっす……!💖 kaiko.さんの筆致、情感がぎゅっと詰まってて大好きです。続き絶対読みたいです!!