青柳冬弥
こ…れは
咲希の部屋の状態はお世辞にも綺麗とはいえないくらいの乱れようだった。
天馬咲希
…っうぅ
天馬司
はぁっ…はぁっ
天馬司
白…石……落ち着け
白石杏
なに?遺言なら伝えてあげない。
天馬司
咲希だけは…やめてくれ…っ
白石杏
なんで?
天馬司
オレの大切な妹なんだ…っ
白石杏
ただそれだけでしょ
天馬司
なっ…
部屋の中では杏に首を締めあげられた痕があり、苦しそうにしている咲希と
その咲希を守るように日本刀を構えて杏に立ち向かう司の姿があった。
ただ、司の体力ももう無いようで、肩で苦しそうに呼吸している。
杏は、司の言い分にもろともせず冷たい表情で司を見下ろしている。
東雲彰人
杏…どうしちまったんだ…
神代類
東雲くん、今はそれどころじゃない。
神代類
司くんと咲希くんを助けないと
東雲彰人
あぁ…
神代類
白石くん!
東雲彰人
おい、杏!今すぐセンパイ達から離れろっ
青柳冬弥
白石…お前どうしてしまったんだ…っ
白石杏
えっ神代先輩…
白石杏
彰人、冬弥…
白石杏
みんな…
白石杏
死にたいの…?
東雲彰人
……っ
青柳冬弥
どうしてこんな…
天馬司
お、まえら…
東雲彰人
っ!!
東雲彰人
司センパイ…目が…
止血もし、眼帯を巻いたはずの司の左目からは悪化したのか、再び血が滲んでいた。
神代類
司くん…っ
神代類
治療は後で必ずするよ。安心してくれたまえ。今は危険だからね。
青柳冬弥
大丈夫です
青柳冬弥
咲希さんも司先輩も死なせません。
白石杏
……っ
白石杏
いっつも!!邪魔しやがってっ
東雲彰人
おい、杏!落ち着けっ!!
白石杏
うるさいっ!!黙れ!
東雲彰人
…っ
青柳冬弥
彰人!!
神代類
東雲くんっ!!
咄嗟に避けることが出来ず、彰人は杏から肩を鈍器で殴られてしまった。
東雲彰人
い"…ってぇ
天馬咲希
ゲホッあきとくん…っ肩、から血が…
東雲彰人
こんくらい…大丈夫だ
東雲彰人
それより、天馬さんは無茶して喋らないでください。首締められてるんで。
天馬司
彰人…っ
青柳冬弥
本当に大丈夫なのか?
東雲彰人
もう、こんくらい大丈夫だっつーの!
東雲彰人
それより今は…!
白石杏
……
青柳冬弥
白石…
白石杏
…っ…やだ
神代類
え…?
白石杏
いやだっ!!殺した"くないっ!
東雲彰人
!?
青柳冬弥
白石…っ!
光を失っていた杏の目は、少しだけ光を取り戻し、涙を流していた。
初音ミク
ちょっとキミたち〜
天馬司
……ミク
初音ミク
ミクの杏ちゃんを壊さないで〜?
青柳冬弥
は…?
東雲彰人
お前の杏だと…?何言って…
初音ミク
だから〜そのまんまの意味だよ☆
初音ミク
ミクが杏ちゃんが寝てる間にちょっとだけ杏ちゃんを操ったんだよ♪
天馬咲希
えっ…!?
東雲彰人
てめぇっ!
初音ミク
あっはは〜♪
初音ミク
だって〜裏切り者になったのに、そこの天馬司を殺すのをちょっとでも躊躇ったんだよ〜?
初音ミク
だから、思い切り殺せるようにしてあげたの!ミク優しいからねっ
白石杏
あ…ぅう"
東雲彰人
杏!?
初音ミク
ふふっまぁミクが今操り直したから安心してね☆
初音ミク
それでは、よいデスゲームを〜♪
東雲彰人
おい!まて!ミク!
東雲彰人
くそっ…!
青柳冬弥
彰人、一旦白石から離れろ!
白石杏
う"ぅぁあ"っ…!
白石杏
死んでしまえっ!!
東雲彰人
…っぶね
神代類
東雲くん、白石くんを取り敢えずどうにかしなければ…!
東雲彰人
だけどどうやって…
神代類
…
神代類
みんな、いいかい?
青柳冬弥
ど、どうしたんですか?
天馬司
類、言いたいことがあるなら言ってみろ…
神代類
白石くんをもう…
東雲彰人
おい、まさか…っ
神代類
殺さないかい?
天馬咲希
えっ!?
青柳冬弥
そんな…
天馬司
類…っ本当にそれしか出来ないのか…?こんなことしたくなんてない…っ
神代類
もう、操られている限り、白石くんは元に戻ることは無い。
神代類
だから、これが一番手っ取り早いかな?
神代類
他に被害者を出さない為でもあるしね…。
青柳冬弥
……
東雲彰人
……っ
天馬咲希
そんな…
東雲彰人
…いいんじゃねぇの?
青柳冬弥
彰人っ!?
東雲彰人
だって…どうせ杏は操られたまんまなんだろ?そんな姿みたくねえし…
東雲彰人
今のみんななら、人狼だと分かった瞬間投票すると思うしな。
青柳冬弥
……それはそうだがっ
東雲彰人
冬弥だって、最初から分かってたはずだろ?こうなることなんて。
青柳冬弥
っ!!
東雲彰人
これは、オレ達の都合の良いようにしてるだけだ。人狼だと分かって生かすことなんて他人からみたらありえねえ。
青柳冬弥
…くっ
天馬咲希
とーやくん…
青柳冬弥
……
神代類
青柳くん…
天馬司
冬弥…
青柳冬弥
…わかりました
東雲彰人
…そうか
青柳冬弥
どうせ白石は裏切り者になった時点で殺されてしまう運命だった…
天馬司
冬弥…
青柳冬弥
すまないな、白石…
神代類
……
白石杏
さっきから何話してるんだよっ!
白石杏
そんなに隙見せて大丈夫…っ!?
東雲彰人
……杏
白石杏
あ"…っ
白石杏
う…そ
白石杏
な…んで
東雲彰人
すまねぇ、杏っ
東雲彰人
本当はもっと…生かせてあげたかった…すまねぇ。
天馬咲希
……っ泣
天馬司
白石…っ
白石杏
…ぅあ"
神代類
…白石くん、目の色が…
白石杏
…あ…きと?
東雲彰人
…っ!?
青柳冬弥
やめろ…っもう…
白石杏
とう…や
青柳冬弥
お前を、救うことは出来ないのにっ
白石杏
…そっか
白石杏
私…もう…だめなんだ
白石杏
でも、ありがとう…
白石杏
裏切り者である、私を…
白石杏
殺す決断をしてくれて
東雲彰人
…くそっ…!泣
白石杏
あはは、泣くなんて、らしく…ないじゃんか…
天馬司
白石…
天馬咲希
杏ちゃん…っ泣
白石杏
みんな…笑ってよ
神代類
…っ
白石杏
……
白石杏
ねぇ、彰人
東雲彰人
…どうした
白石杏
最期に…
白石杏
こはねに会いたい…
東雲彰人
……
東雲彰人
わかっ…た。
白石杏
こはね…だけでいいよ
青柳冬弥
あぁ、わかっている
青柳冬弥
すみませんが、神代先輩
青柳冬弥
小豆沢を連れてきてくれませんか
青柳冬弥
司先輩と咲希さんも怪我人なので…
神代類
了解したよ。
白石杏
ふふっ、うれ、しいなぁ
白石杏
こはねに、会えるんだ…ゲホッ
東雲彰人
杏、無理して喋るな
東雲彰人
こはねに会えなくなるぞ
白石杏
う、ん
青柳冬弥
…っ
神代類
…小豆沢くんを連れてきたよ
小豆沢こはね
杏…ちゃんっ
白石杏
ぁ、こはねだ
白石杏
よ、かった
小豆沢こはね
だめだよっなんで…っ!!
白石杏
ごめんね…こはね
白石杏
私、こはね置いていって死んじゃう
小豆沢こはね
置いて、いかないでよっ!
小豆沢こはね
みんなで、あの夜を超えるって…
小豆沢こはね
約束したじゃんっ!!泣
東雲彰人
こはね…
白石杏
約束…破っちゃって…ごめん
白石杏
でも、こはねは…私の最高の相棒だよ…ずっとね
小豆沢こはね
……っ
小豆沢こはね
杏ちゃんっ
小豆沢こはね
私も…だよっ
白石杏
…まだ、歌っていたかったなぁ泣
白石杏
今更、こう…かいしても
白石杏
おそ、いよね笑
小豆沢こはね
…っ
白石杏
だい、すきだよ、こはね
白石杏
ぜったい、私の分まで
白石杏
"生きて"
小豆沢こはね
うんっ…泣
小豆沢こはね
杏ちゃんの分まで…私っ
小豆沢こはね
頑張るっ
小豆沢こはね
頑張るからっ
小豆沢こはね
空から見守っててね
白石杏
う…ん
白石杏
ゲホッ
白石杏
じゃ…あね
白石杏
みん…な
小豆沢こはね
……っ
小豆沢こはね
うあ"ぁぁああっ
小豆沢こはね
嫌だっ杏ちゃんっ!泣
小豆沢こはね
こんな終わり方…っ
小豆沢こはね
誰も…望んでなかったよ…っ
青柳冬弥
…っ小豆沢…
天馬咲希
…っ泣
天馬司
くそ…っなんでこんな…っ
神代類
…もう…やめよう…っ
神代類
殺し合いなんて…っ
東雲彰人
ぁ…杏っ…
青柳冬弥
……
神代類
……
神代類
みんなのところへ行こうか。
東雲彰人
…そうっすね
東雲彰人
…い"っ
青柳冬弥
彰人っ…!!大丈夫か!?
東雲彰人
あ、あぁ…さっき、杏に殴られたところが少し痛んだだけだ。
小豆沢こはね
し、東雲くんっ大丈夫!?
東雲彰人
そんなに心配すんなって
青柳冬弥
彰人、怪我を治療してからにするぞ
東雲彰人
…わかったよ。
天馬咲希
お兄ちゃん…?
天馬司
…っ
天馬司
…ん?どうした、咲希?
天馬咲希
どうした?じゃないよ…
天馬咲希
辛そうだよ…しんどいんでしょ?
天馬司
しんどくなんて…
神代類
司くん、無理はしないで。
神代類
怪我も悪化してるみたいだ。
神代類
治療してからみんなのところへ行こうか。
天馬司
…っそうだな。
天馬司
咲希も首を冷やしておけよ…?
天馬咲希
うんっ…
東雲彰人
…っ
青柳冬弥
すまない彰人、もう少し我慢してくれ
東雲彰人
あぁ、わかってる
小豆沢こはね
東雲くんっ…
東雲彰人
そんな心配そうな顔すんなって
小豆沢こはね
だ、だって…
小豆沢こはね
東雲くんまで杏ちゃんみたいになっちゃったら…私…
東雲彰人
こはね…
青柳冬弥
大丈夫だ小豆沢。白石の分まで、俺らで生き残ろう。
小豆沢こはね
…っうん、絶対だよ!
天馬司
なぁ類。
神代類
どうしたんだい?司くん。
天馬司
オレのこの左目はもう使えないか?
神代類
…っ
神代類
残念だけど…
天馬司
勘違いはするな!オレは類達を責めたいわけでもないからな!
天馬司
でも…ちょっと
天馬司
お前たちの顔をはっきり見えなくなってしまって…少し悲しいな。
天馬咲希
お兄ちゃん…っ
天馬司
まぁ案ずるな!右目が使えるだけで十分だからな!
神代類
司くん…
天馬司
そんなに悔やむな!類らしくない!
天馬司
ほら、オレたちは生き残ってやることがある!だから
天馬司
絶対死ぬんじゃないぞ
天馬司
生きて帰ろう!
神代類
そうだね。
天馬咲希
う、うんっ泣
天馬司
ふぅ…
神代類
司くん、疲れているなら無理はしなくていいんだよ。
天馬司
あ、あぁすまない。
天馬司
さっきので体力を使ってしまってな。
天馬司
だがもうかなり回復したから大丈夫だ!
神代類
そうかい…?無理はしないでおくれ。
天馬咲希
そうだよ、お兄ちゃん。お兄ちゃんすぐ無理するんだから。
天馬司
わかったわかった。それより治療も終わったことだしみんなのところへいくか。
天馬司
他の誰も死んでいなければいいんだが…
東雲彰人
……
神代類
…
神代類
(そうか…司くんは放送を聞く暇もなかったのか…)
神代類
(宵崎くん…)
天馬司
彰人、冬弥、小豆沢。そろそろいくか?
青柳冬弥
はい、そうですね。
青柳冬弥
司先輩…大丈夫ですか?
東雲彰人
ひでぇ怪我だな…
天馬司
オレはこんなことくらい何ともないからな!それより彰人も大丈夫か?
東雲彰人
それで何ともないわけないでしょ…
東雲彰人
オレは司センパイよりも軽い怪我なんで平気ッスよ。司センパイ無理しないでくださいね。
天馬司
肝に銘じる。
神代類
それではいこうか