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美しい草木の香り 膝に流れる触り心地の良いシルクのドレス 顔に触れる少しくすぐったい髪

フィミアドール

まぁ、私は全て見たことないのよね

私の名前は フィミアドール・ローリス

この通り生まれた時から 目が見えない

サラ

お嬢様、失礼します。

フィミアドール

えぇ

ガチャ

サラ

気分はいかがでしょう?

この子はサラ。 私の専属メイド。

どうやら私は公爵家という 貴族の立場で生まれたらしい

フィミアドール

えぇ、元気よ。

フィミアドール

このセミサミルの紅茶
とても美味しいわ。

サラ

旦那様が珍しく他国の紅茶を仕入れましたので

フィミアドール

(確かに珍しい)

𓏲𓂅𓂅

サラ

風が少し強いですね。

サラ

窓をお閉めしましょうか?

フィミアドール

いや、いいわ

フィミアドール

草木の香りがとてもいいの。

フィミアドール

風も涼しくて気持ちいいし。

サラ

左様でございますか。

フィミアドール

そろそろまた本を仕入れてくれないかしら?

フィミアドール

もうすぐ読み終わりそうなの。

サラ

承知しました。

サラ

では失礼します。

フィミアドール

えぇ

バタン

𖠚ᐝ

フィミアドール

ふぅ

もうこの暮らしを始めて17年

私はまだこの世界を見たことがない。

社交界のパーティーには時々参加はするが

他の令嬢のように踊ってはいない

私も目が見えたのなら 人生を謳歌することができたのかな

フィミアドール

(…いや、充分贅沢な暮らしをしている。)

サラ

失礼します。

ガチャ

サラ

本を何冊か貰ってきました。

フィミアドール

ありがとう

フィミアドール

早速膝の上に置いてくれるかしら?

サラ

はい。

サッ

フィミアドール

私が読む本は必ず点字がある

フィミアドール

…サラ

サラ

はい

フィミアドール

題名的にまた恋愛小説ね

サラ

左様でございます。

フィミアドール

どうして最近恋愛小説が増えているの?

フィミアドール

昔は冒険譚とか動物の物語を持ってきてくれたじゃない

サラ

それは

お嬢様はもうすぐ 結婚適齢期ではありませんか。

フィミアドール

…え?

フィミアドール

嘘よね。私まだ17歳よ。

サラ

いえ、この内に婚約者様を探しておかなければ

サラ

すぐ未婚約者の巣に埋もれてしまいますよ。

サラ

…と奥様が。

フィミアドール

(母様〜…)

フィミアドール

はぁ、もうそんな時期なの…?

考えたこともなかった

自分が結婚だなんて。

フィミアドール

…とりあえず恋愛小説もいいけど

フィミアドール

何冊か別のジャンルも持ってきてちょうだい。

サラ

はい、かしこまりました。

フィミアドール

…結婚かぁ

こんな盲目な女に 殿方は寄るのかしら____。

盲目なミルクティー

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