おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ!
赤ん坊の泣き声が屋敷一体に響き渡った。
使用人
ご当主様、おめでとうございます。
使用人
男の子ですよ。
この屋敷の使用人が、当主であろう男に赤ん坊を手渡す。
男は、「ありがとう」と礼を言って赤ん坊を受け取り、ベッドに横になっている妻と、隣にいる娘に、産まれたばかりの赤ん坊を見せた。
妻と娘は、口々に「可愛いねぇ」とニコニコしながら赤ん坊を見つめる。
使用人
それにしても、今年度はよく、赤ん坊が産まれますねぇ。
使用人
そうだな。
11月には執事様のお子さんもお生まれになられたんだっけか。
11月には執事様のお子さんもお生まれになられたんだっけか。
使用人
はい。
そう。
昨年の11月29日に当主の執事の子が産まれたのだ。
そして、今日、2月8日に当主の子が産まれた。
使用人
じゃあ、お二人は同い年になられるんですねぇ。
使用人
ああ。
そんな、使用人2人の会話は、誰も聞いていなかった。