フウ
ゲホッ…
起きた時にはあの城の外
周りには外壁や窓ガラスが飛び散っていて
様々なところから血の匂いがする
地面に倒れている俺を背に血を吐いている誰かがいる
青い着物服を着て狐のような耳としっぽがしてある
ポケットに入っている時計を見ると
11時57分
そして雲にかかった満月があたりを照らしている
トントン
どういう状況なん!?
セイカ
12時になる前にそのバケモノを気絶させておこうと思いまして
トントン
…!
そういえば人に化けたフウの姿が見える
カメラ越しでしか見えないはずなのに
セイカ
そのバケモノは人間に化けると姿が見えるようになるんですよね?
フウ
ゲホッゲホッ
セイカ
かといってあの小さな体で戦うこともできない…
セイカ
そうですよね?
フウ
お前らみたいな奴の家にとりつく座敷童の身にもなってみなよ
フウ
そりゃ逃げ出したくもなるさ…w
フウ
ゴホッ
トントン
…俺が死ねばいいんか?
小声でそう呟くと
セイカ
そうですよ
セイカ
あなたが死ねば、全てが解決するんです
セイカ
あなたの能力がないから私はあなたを育て、
セイカ
それを見て嫌になったそいつがこの事態を巻き起こしたんです
セイカ
これは、全てあなたが元凶なんですよ?
トントン
そうかぁ
フウ
トンまって、あと3分で…
トントン
もう大丈夫や
トントン
俺が死ねばすべてが解決するんやろ?
フウ
俺は生きてほしい!
セイカ
じゃああなたも死ねばいいじゃないですか
フウ
俺は死にたくない
フウ
こんなかっこ悪いとこで死ねないしね…
横に腹を抱えて血を吐いているフウを後ろに
俺は前に出る
お気に入りのマフラーが風に吹かれてひらひらと舞う
セイカ
早く死んでください
トントン
分かったよ
胸ポケットから小型用のナイフを取り出す
自分の心臓の音が聞こえる
そのまま首に刃をあてる
フウ
トン!
トントン
しゃーないしな…
あたりには血が飛び散る
綺麗な赤色のマフラーに
マフラーの赤色よりも濃い赤がつく
セイカがうっすら笑いを見せながら後ろに下がっていく
トントンがゆっくりと目を閉じていく
そのまま地面に倒れこむ
悲鳴も、何も言わない
ただ放った言葉は
トントン
俺が悪かったんかなぁ…