ヴォン
琳寧
え、なにここ。初めて見る場所なんだけど…
黒い鳩
そりゃそうでしょう。こちらは『正規のルート』なんですから
黒い鳩
今まで皆さんがこちらの道を通ったことがないのでしょう
黒い鳩
さて、この辺まで来ればもういいかな?
琳寧
なんの話…?
フワッ
イリガーウ
ふ〜う。やっぱりこっちの姿の方が楽ですねぇ
暁月
誰だ?
イリガーウ
あぁそうだ。アタクシの名は「イリガーウ」
イリガーウ
イザナミ様の従者ですよぉ
凛音
お前、女なんだな
イリガーウ
えぇ。男だと思っていましたか?
凛音
…(なんなんだこいつは…)
イリガーウ
アタクシは本当に普通のハトです。ただ、神様に選んでいただいて、このように話せるようになっております
イリガーウ
まぁ、「イリー」とでもお呼びください
イリガーウ
これから『長い付き合い』になっていくでしょうから、仲良くしましょうねぇ!
琳寧
うん。よろしくね!
暁月
…(おい凛音。聞こえるか?)
凛音
(あぁ?お前真名を貰ってから急に態度がデカくなったな)
暁月
(その話は後でいいだろう)
暁月
(それよりもあいつ…イリガーウなんだが)
凛音
(あぁ。そういえば、さっきイリガーウが「自分の正体は後からわかる」って言ってたが、わかるか?)
暁月
(わからん)
凛音
(あぁそうか…え?わからん?)
暁月
(でも…こいつじゃないかという予想はある。だがー)
琳寧
おーい二人とも!早く〜!
暁月
申し訳ありません。すぐ行きます!
凛音
(後から詳しく聞くからな)
暁月
(分かってる)
暁月
((当たってほしくない予想だけどな))
パァァァ
琳寧
わぁ不気味…
イリガーウ
一応死者の国ですからねぇ
琳寧
そっか…
イリガーウ
あ、それと、もう神力の方は解いてもいいですよぉ
琳寧
え?どうして?
イリガーウ
先ほどの正規のルートを通ったことにより、黄泉の国の仮住民のようになれましたぁ
イリガーウ
ですので、こちらの瘴気に侵されることは無くなりましたよぉ
琳寧
そうなんだ
凛音
(あれ、生きる者が瘴気にあてられる理由って、自分らから発生された空気によるものじゃなかったっけ?)
暁月
(確かにそうだな…)
琳寧
(多分、あんまりみんなには知られてない事なんじゃないかな?)
琳寧
(実際、イザナミさんに教えてもらうまで青嵐も知らなかったみたいだし)
凛音
(ならいいんだが…)
イリガーウ
もう少しでイザナミ様のところに着きますからねぇ
イリガーウ
…ところで琳寧殿。
琳寧
ん?
これから、貴女が何をしようとしているのかの自覚はありますか?
琳寧
え…
凛音
おいイリガーウ!!!
琳寧
分かってる。
凛音
!!…
イリガーウ
ほう…?
琳寧
イザナミさんからの手紙から察するに、イザナミさんは…
無理やり黄泉の国の王にされているんでしょ?
琳寧
それぐらい、私にもわかるよ。前にも何回か話していたしね
琳寧
イザナミさんすらも逆らえない相手…もし私がイザナミさんの救出に成功したら、その人たちが怒るかもしれない
琳寧
だけど私はあの人を助けたい!
イリガーウ
なるほど…その決意、しっかりと伝わりました
イリガーウ
アタクシも、できることは全てしましょう。協力します
琳寧
ほんと…!?
凛音
…イリガーウ、琳寧は優しい。だからすぐ他人に心を開く
凛音
だが、俺はお前を信用する気はない。仲良くするつもりもない
琳寧
凛音…
凛音
ごめんな琳寧。でも、こうさせてくれ。お願いだ
琳寧
…分かった…
イリガーウ
まぁ、人を疑うことはこの世を生き抜く中で大事なことですもんね
イリガーウ
いいでしょう。こちらも、あなたが心を開いてくれるよう、努力いたします
琳寧
…(大丈夫かな…)
数分後ー
イリガーウ
さて、着きました
イリガーウ
こちらにイザナミ様がお待ちになっております
琳寧
…イザナミさん?
イザナミ
…おぉ。来てくれたか
琳寧
ここは明るいですね
イザナミ
うむ。いいところじゃろ?
イザナミ
妾はこの場所が好きでのぉ…
イザナミ
こんな暗い国の、唯一の光があり、植物がある場所なんじゃ
琳寧
でしたら、場所を変えませんか?
琳寧
私も、あまりここを傷つけたくありません。闘技場のようなところはありませんかね?
イザナミ
…やはり琳寧は優しいのぉ
イザナミ
分かった。ならばそこへ連れて行こう
琳寧
ありがとうございます!
イザナミ
イリーよ。妾たちを乗せて行ってはくれぬか?
イリガーウ
お任せください
ズズッ
黒い鳩
[この姿になってめっちゃ巨大化しました]
黒い鳩
どうぞ。お乗りください
暁月
でしたら僕は神器になります
凛音
なら俺は琳寧の中に帰る〜
凛音
その方が軽くて済むだろ?
黒い鳩
感謝いたします
バサッ
黒い鳩
ここでよろしかったですか?
イザナミ
うむ。ありがとう
ぺこっ
イザナミ
さて琳寧よ。ここは広さの制限がない。存分に戦えるぞ
琳寧
ありがとうございます
琳寧
それでは…お手柔らかにお願いします
イザナミ
それはこちらの台詞じゃ。
イザナミ
イリー、開戦の合図を頼む
イリガーウ
承知しました。それでは…
イリガーウ
『まず両者、貴殿らは何を要求する?』
琳寧
『私は“イザナミの自由“を要求する』
イザナミ
『妾はー
“琳寧が妾を殺すこと“を要求する』
イリガーウ
『承知した。ならば、これより琳寧とイザナミの決闘を開始する!』
イリガーウ
『両者!構え!!』
琳寧
暁月…
ヴォン
暁月
(お任せください!)
イザナミ
…ニコッ
スッ…
出でよ『神器 “天逆鉾“』
ゾワッ
琳寧
!!…
暁月
(琳寧様、怯んではいけません。相手がどれだけ強大だろうと、決して勝てぬ相手ではないのですから)
琳寧
(うん。分かってる。今まで頑張ってきたんだから!!)
暁月
(その意気です!)
イリガーウ
『準備はいいか?』
琳寧
はい!
イザナミ
いつでも良いぞ
イリガーウ
『それではー』
『始め!!!!』